セルフケアで、コミュニティと地球をより健康に
世界中の人々が健康を手に入れるということは、個人だけでなく、地球のためにもより良いセルフケアが行われることを意味します。 Image: Vonecia Carswell/Unsplash
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メンタルヘルス
- 病気のケアからセルフケアへとアプローチを移行することは、人、コミュニティ、地球にとってもプラスとなります。
- さまざまな先進的な取り組みは、セルフケアに焦点を当てた視点が健康モデルをもたらします。
私たちは今、不確実な世界に生きています。変化と進化は絶え間なく、かつてないスピードで起きているのです。
そうした中、私たちは、紛争、インフレ、物価上昇、気候変動など、多くの地球規模課題にも直面しています。そのいずれも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が背景にあり、グローバルなヘルスケアシステムや経済はそこからのリカバリーに努めています。世界が変化する中、私たちのヘルスケアへのアプローチも変える必要があるのです。
健康と私たちの環境
このパンデミックが何かを教えてくれたとすれば、それは、健康とはもはや症状の治療だけを意味するのではないという事。健康は、私たちを取り巻く世界と分かちがたいほど結び付いています。
その例をご紹介します。
気温上昇と二酸化炭素の排出により植物の生育期間が長くなったため、アレルギーを単に「季節性」の症状とみなすことができなくなりました。生育期間の長期化が花粉の飛散期を長引かせ、喘息やアレルギー性鼻炎の発症頻度や重症度に影響を与えています。
消化器官は、ホルモンや気分、免疫システムを調整する役割を果たしていますが、私たちはその健康に十分な注意を払っているとは言えません。世界消化器病学会(World Gastroenterology Organization, WGO)によると、世界人口の3分の1は何らかの消化器症状を抱えており、最も多いのが腹部膨満感と便秘です。また、消化器症状のうち診断が十分に行われていないものに過敏性腸症候群(IBS)があり、世界人口の10~15%が罹患していると推定されています。不健康な食事やライフスタイルを採り入れる国が増えれば、結果としてIBSの有病率も上昇すると予想されます。
頭痛や腰痛など、よくある痛みの症状は、仕事に悪影響を及ぼします。そうした痛みの症状で現役の労働者が失う生産時間は、米国において年間612億ドルにのぼると推定されています。2017年の国際疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study)によると、腰痛(LBP)は依然、世界の障がい生存年数(Years Lost To Disability = YLTD)においてその理由の筆頭にあがっており、約10人に1人が罹患しています。
痛みに苦しむ人の大半は軽い痛みを訴えるにとどまっています。それでも、痛みに苦しむ人々のために雇用主は生産時間全体の10%を犠牲にしており、これは毎月2就業日の喪失に匹敵します。一日中座りっぱなしの仕事が多ければ、その数は急激に増加する可能性があります。
アレルギー、便秘、痛みは、ライフスタイルや環境によって悪化するよくある日常的な症状の一例です。しかしパンデミックのもと、人々の間では、自分の健康やウェルビーイング(幸福)にこれまで以上に積極的に働きかけようという行動の変化がみられます。こうした行動を支え、促進するために、各国政府と産業界が力を合わせ、人々がセルフケアを積極的に行える未来を構築していく必要があります。
未来に向けたセルフケア型健康モデル
私たちは病気のケアから脱却し、プライマリー・ヘルス・ケアと公衆衛生支援を基盤とした、包括的で誰もが利用できる健康モデルを構築する必要があります。世界保健機関はプライマリー・ヘルス・ケアを、生涯を通じた個人の身体的、精神的、社会的ウェルビーイングを目指すヘルスケアとしています。病気よりも人が中心のヘルスケアです。これには、個人、家族、コミュニティが自分たちの健康を自分たちで管理できるようにすることも含まれます。
ヘルスケアを身近なものにし、より良いセルフケアを可能にすることで、コンシューマーヘルスケア業界は今まで以上に強力な役割を果たし、この目的に貢献できるでしょう。コンシューマーヘルスケア業界こそがより良いセルフケアを可能にしなければならないのです。このことが、コミュニティや地球のケア向上に「ハロー効果」をもたらすでしょう。
では、こうした環境はどのように実現できるでしょうか。ヘルスケア関連機関は、目的を持って先導する必要があります。サノフィ社にとって、科学的根拠に基づき消費者を触発する製品を提供し、人々が自分自身や大切な人を守ることに貢献できることは大きな名誉です。しかし、真の変化を起こすには、これらの製品が手の届くものである必要があります。セルフケアはどこでも、誰でもが手に入れられるものでなければなりません。そのためにはパートナーが必要です。
協力の重要性
セルフケアを支えるためには、一貫性のあるヘルスケア政策と規制が必要です。各国政府と保健当局は、国民にセルフケアの力を与えることが持つ影響力を理解する必要があります。なぜなら、セルフケアは最終的に、生活の質の改善、生産性の向上、財源圧力の緩和などの多大な社会経済的メリットをもたらすからです。
世界セルフケア連盟(Global Self-Care Federation)の新しいレポートは、セルフケアの価値と効果を明らかにしています。
データには説得力があります。セルフケアが利用しやすくなるほど、責任も大きくなるということを、我々ヘルスケア業界は認識しています。私たちは、科学的根拠を曲げたり、品質を低下させたりすることなく、消費者のためにイノベーションに取り組み続けています。消費者の健康リテラシー向上を私たちが守らなければならないのです。健康リテラシーは、変化を起こすための重要な起爆剤。リテラシーにより、一人ひとりが健康にまつわる信頼できる情報を理解し、これに基づいて行動し、自身の健康を積極的に自己管理できるようになるのです。
同時に、私たちは、さらにその先を目指します。
セルフケアを推進する重要なイニシアチブ
世界中の人々が健康を手に入れるということは、個人だけでなく、地球のためにもより良いセルフケアが行われることを意味します。そこで私たちは、人、コミュニティ、地球にプラスの影響を与えることを目指す目的主導のブランドを通じ、セルフケア向上を活性化する取り組みに着手しました。
Shaquille O’Neill Foundation(シャキール・オニール財団)と提携したGet Game Ready initiative(ゲット・ゲーム・レディ・イニシアチブ)は、新型コロナウイルス感染拡大による予算削減の影響を受けた米国の21の学校のスポーツプログラムに資金を提供しました。このプログラムは学生たちの競技の場とのつながりを保ち、心身の健康をサポートしました。
また、Comebaq Court(カムバック・コート)プロジェクトでは、都心部の公共のバスケットボールコートを改修。そこに集う若いアスリートに、練習したり、プレーを楽しんだり、ほかの子どもたちと交流する機会を与えることを目指しています。このプロジェクトは、健康的な活動を通じてコミュニティを結集させるという、その重要な役割を際立たせています。
メキシコでは、セーブ・ザ・チルドレン(Save The Children)と提携し、小児死亡率の低下を目的とした衛生・栄養習慣に関する教育プログラムを指揮しました。このプログラムは10万人を優に超える人々を対象に展開され、セルフエンパワーメントの力を証明するものとなりました。健康リテラシーの向上は、セルフケアや他者のケアに関して、人々が知識に基づく意思決定を行う一助となります。
環境回復を目指す慈善団体、Greening Australia(グリーニング・オーストラリア)は、町や都市空間を再緑化する取り組みの一環として、カーボンニュートラルに向けた詳細なロードマップを策定しています。製造施設へのソーラーパネルの設置、「ブリスター包装」の廃止、持続可能な方法で調達されたことを示す原材料の産地の可視化など、革新的なあらゆるアイデアがここに盛り込まれています。こうしたイニシアチブは、カーボンニュートラルの達成や、環境負荷の抑制、製品の環境プロファイルの改善を後押しします。
目下の不確実な時代においては、より良いセルフケアが確実性を高めます。それは、より良いセルフケアこそが、最終的に「わたし」を超え「わたしたち」をケアすることができるからです。セルフケアは、今日人々が求めている、目的主導のアクションです。コンシューマーヘルスケア業界がセルフケアに取り組むと同時に、政府、市民社会、医療専門家、産業界のパートナーとの連携が強化されれば、さらに計り知れないほどのことを実行できるのは、間違いないでしょう。
私を信頼してください。そして、私たちにご期待ください。
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