Davos Agenda

「人々は旅を求めている」-4人のリーダーが語る観光産業における変化と成長の兆し

世界の旅行・観光産業は、パンデミック収束後の回復に伴って旅行需要が戻り、その勢いは加速しています。

世界の旅行・観光産業は、パンデミック収束後の回復に伴って旅行需要が戻り、その勢いは加速しています。 Image: Unsplash/Anete Lūsiņa

Anthony Capuano
Chief Executive Officer, Marriott International Inc.
Shinya Katanozaka
Representative Director, Chairman, ANA Holdings
Gilda Perez-Alvarado
Global CEO, JLL Hotels & Hospitality
Stephen Kaufer
Co-Founder and Chief Executive Officer, Tripadvisor
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本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム 年次総会2022
  • 2020年だけでも、旅行・観光産業はGDP4.5兆ドル、失業者数6,200万人と多大な損失を被っており、回復への道はまだ長いと言わざるを得ません。
  • 世界経済フォーラムが発表した最新の「旅行・観光開発指数(Travel & Tourism Development Index)」は、同産業の今後の回復と成長に関する専門家の見解を示しています。
  • そこで、4人のビジネスリーダー が、旅行・観光産業の回復状況、パンデミックで得た教訓、観光地が発展する上で不可欠な条件について考察しました。

世界の旅行・観光産業は、パンデミックの収束に伴って需要が回復し、その勢いは加速しています。2021年1月と2022年1月の国際観光客到着数の差は、2021年全期間(2021年の1年間)における国際観光客到着数の増加分と同程度でした。しかし、2020年だけでも、GDPは4.5兆ドル、失業者数6,200万人と多大な損失を被っており、回復への道のりはまだ長いと言えます。

この分野の動向は、いくつかの要因によって大きく左右されます。例えば、渡航制限、ワクチン接種率、感染予防対策および医療保障、市場力学や消費者嗜好の変化、企業や渡航先の適応能力などが挙げられます。そのため、引き続き新しい課題や危機に直面することを念頭に、体制を整えておく必要があります。

世界経済フォーラムの最新の「旅行・観光開発指数」は、旅行・観光産業をより包摂的で持続可能、かつレジリエント(強靭)なものにすることで、より良く再構築することの必要性を強調しています。これにより、将来の経済的・社会的発展を促進する潜在力が引き出されるでしょう。

こうした状況を背景に、ビジネスリーダー4人に、旅行・観光産業の回復状況、パンデミックから得た教訓、観光地が発展する上で欠かせない条件について振り返ってもらいました。

「パンデミックによって生活や働き方が変わり、旅の形も変わりました」

トニー・カプアーノ氏(マリオット・インターナショナル、最高経営責任者(CEO))

新型コロナウイルスのパンデミックは多くの課題と被害をもたらしているものの、旅行・観光業界の未来は明るいといえるでしょう。世界各地で人々はすでに観光地に戻り始めています。旅行に対する需要はおどろくほど回復力が高く、ワクチン接種率の上昇や規制の緩和により、主にレジャーへの需要を中心に旅行・観光産業は急速な回復が見られます。

パンデミックによって生活も働き方も変わりましたが、旅の形も変化し、新しい旅のカテゴリが登場しています。その一つが、ビジネスとレジャーを組み合わせた「bleisure(ブリージャー)」です。ナレッジワーカーの多くがテレワークを導入するなど、柔軟な勤務体制が認められるようになったことで、月曜から金曜までの「9時から5時まで」という従来の勤務時間に縛られない、レジャーを兼ねた長期出張の機会が増えています。

新たな旅行体験に対する需要の高まりを最大限に活用するには、業界が各国政府や政策立案者と連携し、特に海外旅行に関しては、渡航が再開する前に適切な条件を整備することが必要です。これまでのところ、回復の大半は国内旅行とレジャー旅行によるものです。しかし、海外出張や海外旅行の分野が回復すれば、旅行・観光産業全体、さらに周辺の事業を収入源とする何百万もの人々にとっても、大きな意味を持つことになるでしょう。

公衆衛生、国際的な危機、気候変動の影響など、この分野の未来の課題を考えると、困難な状況を克服するには、グローバルな連携が不可欠です。海外旅行については、共通の、あるいは少なくとも互換性のある基準や意思決定の枠組みに関する国際的な合意が重要となってくるでしょう。既存の組織やプロセスを活用し、課題が表面化する前に合意を得ることで、リスクを軽減し、交流や往来を活発化させながら、協力関係を向上させることができるのです。

「旅行・観光産業は、バーチャル市場とサステナビリティに対する意識の高い旅行者に適応しなければ、生き残ることはできません」

片野坂真哉氏(ANAホールディングス株式会社代表取締役会長)

今回のパンデミックにより世界中で人々の移動制限が行われる中、我々は改めて、人々の「旅行がしたい」「ビジネスやVFRを目的に移動がしたい」という強い欲求を感じることができました。

その上で、最大の変化は「旅行」の概念そのものでしょう。 その最たる例が「バーチャル旅行」市場の急拡大です。この流れはデジタル技術の進歩のみならずコロナ禍の長期化が加速させていると言えます。われわれはこの新たな「旅行」市場に適応していかなければ生き残れません。しかしながら、これは「リアル」から「バーチャル」へのシフトという単純なものではないのです。「バーチャル」な体験が「リアル」な体験価値の再発見へと還流し、そして、より明確な、より多様な目的での「リアル」体験への希求という形で「リアル」旅行需要の喚起へと繋がり、この産業に相乗効果をもたらすものと大いに期待しています。

もう一つ、コロナ禍が加速化させた変化として見逃せない動きが、旅行者の「サステイナビリティ」意識への高まりです。とりわけ航空業界にとっては「脱炭素と航空利用の両立」という大きな課題に直面しています。この動きは、「サステイナブルな旅行」という観点から「旅行そのもののあり方」や「旅行者とのコミュニケーションのあり方」の見直しを余儀なくさせるものの、他方、この取り組みには業界全体での連携強化が必要であり、このことがコロナ禍でダメージをうけたこの業界の再活性化において重要な役割を果たすものと考えています。

「観光業界は、中小企業の保護強化を求めて、声を上げなければなりません」

ジルダ・ペレスアルバラド氏(JLLホテルズ&ホスピタリティ グローバルCEO

国や旅行先、地域のサステナビリティ分野の取り組みを意識し、関心を持つ旅行者が増えており、今後数年間で、サステナビリティの実践はより一般的になっていくと思います。水や空気といった環境の核となる要素、サステナビリティに対する一般的なアプローチの両方が重要なのです。

また、気候変動や天然資源は旅行者にとっても優先事項になるため、旅行先の都市や国がどのように取り組みをアピールするかという意味においても、環境保護はますます重要になると言えるでしょう。

さらに、野外という場所は、自然なソーシャルディスタンス、あるいは自然な感染対策となり得るため、アウトドアイベントへの関心が高まっています。屋外での食事、ハイキング、フェスティバルなどの野外アクティビティは、密になりがちな屋内イベントやスペースよりも魅力的な選択肢かもしれません。

この数年間、さまざまな教訓を得ましたが、中でも最も大きかったのは中小企業の重要性です。業界全体として、中小企業の保護を強化しなくてはなりません。厳しい状況に直面した中小企業に対し、事業の継続を支援する制度を導入することが必要です。

パンデミックの影響で、多くの中小企業が倒産を余儀なくされており、事業再開は難しいと思われます。観光地に個性や独自性をもたらすのは中小企業であり、旅行・観光産業ではその存在は非常に重要です。自宅で同じ体験ができるのであれば、わざわざ旅行したいと思う人はいません。そこでしかできない唯一の体験があるから、旅行するのです。もし、ある旅行先から中小企業が全てなくなるとすれば、まったく違う体験になってしまうでしょう。

「旅行者の大半が、没入感のある体験型の旅行を求めていることをデータが示しています」

スティーブ・カウファー氏(トリップアドバイザー CEO・共同創立者)

今、時代は旅行ルネッサンス期を迎えようとしています。パンデミックによって、世界の旅行体験は中断されたものの、人々は徐々に自らに課していた自粛制限を解除しています。ただし、万全な感染対策など、旅行中も安全に過ごしたいという要望は続いていることを企業は認識しなければなりません。トリップアドバイザーの調査によると、現在も、旅行者の4分の3(76%)が「新型コロナウイルスの感染率が低いこと」を基準に旅行先を選んでいることが分かります。

そのため、施設の徹底クリーニングや手指の消毒液の常備など、旅行者に配慮した感染対策を今後の観光事業で定着させることが必要です。

しかし、他の面においても旅行業界は進化していくでしょう。業界全体としてデジタル化を意識し、物理的なスペースの使い方を再構築するための備えが不可欠なのです。

ホテルは、新しいハイブリッドな働き方でチームの絆を深めるためのダイナミックなミーティングの場となるでしょう。主要な企業の本社の近くにあるホテルでは、長期滞在する従業員の予約が殺到するかもしれません。また、出張とレジャーを組み合わせた「ブリージャー」トラベラーにも対応できるようにすることで、ユニークな立地のホテルは、ワークスペースとして活用される可能性もあるのです。企業は、現地での会議の後、従業員が休息とリラクゼーションのために数日長く滞在することを想定しておく必要があります。

パンデミックを経験した今、人々はこれまでと違う方法で世界を知り、新しい場所を訪れ、新しいことをしたいと考えるようになっています。弊社のデータでは、大多数の人が没入感のある体験型の旅行を求め、歴史や文化をより身近に感じたいと考えていることが明らかになりました。例えば、これまでのニューヨークでの観光といえば、エンパイアステートビルの最上階から街を一望することが定番でしたが、ブルックリンで代々続くピザ職人一家の料理教室に参加するなど、より親近感のあるアクティビティに注目が集まっています。こうした体験型アクティビティが旅行・観光産業の大きな成長分野となることは間違いありません。

各国政府も同様に対策を協議し、世界共通のワクチンパスポートや入国制限を見直す政策を含め、次の公衆衛生の危機に備えるための国際的な戦略を検討しなければなりません。

国際的な移動を活性化し、継続させるには、各国政府、都市、観光事業者がこうした重要な動向、例えば感染対策の継続やユニークな体験への需要を理解し、次の危機に備えておくことが不可欠となるのです。

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