第一生命保険が、全国の小学生・中学生・高校生を含む計3000人を対象に行った、第33回「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査結果を以下に紹介する。

医療従事者の働く姿が小学生の心にも響く

昨年は2020年から引き続き、連日新型コロナウイルス感染症についての報道が絶えなかった。前回調査と比較すると小学生男子では「医師」が6位(4.8%)に、小学生女子では「看護師」が2位(7.2%)、「医師」が5位(4.7%)にランクインし、医療関係の職種が上位となる変化があった。

小学生の「大人になったらなりたいもの」
小学生の「大人になったらなりたいもの」

小学生男子では、昨年に引き続き「会社員」が1位(9.6%)、「Youtuber/動画投稿者」が2位(9.3%)という結果が出た。また、「サッカー選手」と「野球選手」がそれぞれ3位と5位にランクインした。サッカーでは東京五輪でも大きな注目が集まった久保健英選手、野球では米大リーグで最優秀賞選手(MVP)も受賞した大谷翔平選手など、若い世代の選手による世界での活躍も目立ち、どちらも変わらぬ人気を博している。

一方、小学生女子では「パティシエ」が前回に続き変わらず1位(13.2%)、次いで昨年は6位であった「看護師」が「幼稚園の先生/保育士」と同率2位(7.2%)とランクアップした。また、TikTokなどの動画投稿SNSから新たなスターが生まれたり、視聴者参加型のオーディション番組が盛り上がりを見せたことからか、「YouTuber/動画投稿者」や「歌手/アイドル」といった職業もランクインした。

テレワークの普及で、ワークライフバランスの意識が一層高まる

中高生のランキングでは、昨年に引き続き全部門で「会社員」が1位となった。選んだ職業になりたい理由でも、「好きだから」や「誰かの役に立ちたいから」に続いて「働きやすそうだから」という回答が上位に入り、リモートワークの普及が加速したところで、働く場所を選ばない自由な働き方やワークライフバランスについて意識が高まっていることがうかがえる。

また、中学生女子では「医師」が上位3位にランクインした。厚生労働省によると、統計を取り始めた1968年には約1万6000人しかいなかった女性医師は、2018年時点で7万人を超えており、医学部入学者に占める女性の割合はおよそ3分の1となるほど着実に増加している。高校生女子でも「薬剤師」がランクインするなど、医療関係の職種がすべての年代で高い人気を見せた。

中学生の「大人になったらなりたいもの」
中学生の「大人になったらなりたいもの」
高校生の「大人になったらなりたいもの」
高校生の「大人になったらなりたいもの」
選んだ職種になりたい理由
選んだ職種になりたい理由
「第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
「第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
イメージ: 内閣府
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計表(2018)」
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計表(2018)」
イメージ: 「統計表2 医師・歯科医師・薬剤師数の年次推移」を参照のうえ第一生命作成

コロナ禍での子供たちの「憧れ」

今回の調査では、「大人になったらなりたいもの」で「会社員」と回答した方を対象に、会社員としてどんな分野の仕事をしてみたいかを聞いてみた。

「決まっていない」という回答も見られたものの、具体的なイメージを持って「会社員」と回答している人も多く、男子の小中高全てにおいて、「科学技術・ものづくり」が1位となった。第一生命の担当者は、「民間人の宇宙旅行が実現したり、新型コロナワクチンや治療薬の開発で製薬会社が話題になったりする中、ロボット・メタバースといった最新技術や研究職などにも関心が集まったのではないか」と話している。

テレビ等を通じて、実際に医療現場で働く方々の姿を目にする機会も多かったことから、人の命を救う姿に憧れを持った子どもたちが多かったのではないのだろうか。

「会社員」としてどんな分野の仕事がしてみたいか
「会社員」としてどんな分野の仕事がしてみたいか

第一生命経済研究所ライフデザイン研究部・主席研究員的場康子氏のコメント

『「人生100年時代」のライフデザイン』(東洋経済新報社刊)など多くの著書もある、第一生命経済研究所ライフデザイン研究部・主席研究員的場康子氏は、調査から見えてきた2つのポイントに注目している。第一生命が発表したものより以下、抜粋して紹介する。

「1つ目は、子どもたちが『働きやすさ』を求めて会社員になりたいと思っている、ということです。

図表では示していませんが、会社員を選んだ理由として、全学年を通して男女ともに『働きやすそうだから』が最も多い回答でした。コロナ禍でリモートワーク、週休3日制、時差出勤など働き方の多様化が進み、両親が在宅勤務をしている姿を見て、自分もこんな風に柔軟に働きたいと感じている子どもたちも少なくないのかもしれません。

『収入がよさそうだから』の回答も用意していましたが、『働きやすそうだから』の方が上回りました。子どもたちは『収入』よりも『働きやすさ』を大切にしたいと思っているようです。

2つ目は、子どもたちの多くが会社員となって挑戦してみたい分野に『科学技術・ものづくり』を選んでいることです。

コロナ禍でオンライン社会科見学など、全国各地のものづくりの現場にリモートで見学できる機会も増えました。こうした体験により、子どもたちは直接、ものづくりの素晴らしさ、それを支える人々の情熱に触れることができるようになりました。こうしたことの積み重ねが将来の仕事として、ものづくりの仕事を身近に感じさせるきっかけにもなるのかもしれません。

これからの新しいデジタル社会を創っていく子どもたちの挑戦を尊重し、応援することが、『ものづくり立国』日本の復活のカギになるのではないでしょうか」。

(参考)前回調査からの推移

小学生の「大人になったらなりたいもの」
小学生の「大人になったらなりたいもの」
中学生の「大人になったらなりたいもの」
中学生の「大人になったらなりたいもの」
高校生の「大人になったらなりたいもの」
高校生の「大人になったらなりたいもの」

* その他スポーツ選手は第 33 回(2021年)の調査から新たに選択肢を設置。

調査概要

調査対象:全国の小学生(小学校3〜6年生)、中学生、高校生
サンプル数:3000
調査方法:クロス・マーケティング社によるインターネット調査
調査時期:2021年12月

第一生命保険は1989年より毎年、全国の幼児・児童(保育園・幼稚園および小学1〜6年生)を対象に、「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査を実施してきた。従来の調査では、第一生命の障害設計デザイナーが訪問時にアンケート用紙を回収していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、前回よりインターネットアンケートによる調査へと調査手法を変更した。

編集=石井節子/我満萌香

*この記事は、Forbes JAPANの記事を転載したものです。