• WHOは、新型コロナウイルスの感染拡大による重症化、入院、死亡の予防という点で、ワクチンが十分に機能していることを示すデータがあるとしています。
  • ほとんどの場合、新型コロナウイルスワクチンの追加接種が必要であるという決定的な科学的根拠はありません。
  • 米国や英国など一部の国では、高齢者やリスクの高い人を対象に追加接種を行っています。
  • 一方、WHOは、ワクチン接種率の低い低所得国に焦点を当てるべきだとしています。

新型コロナウイルスワクチンの追加接種は必要なのでしょうか。そして、その安全性と有効性についての根拠は何なのでしょうか。

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の検討している国もあり、世界各地でこの重要な疑問が投げかけられています。米国では、米食品医薬品局FDA)の諮問委員会が高齢者およびリスクの高い人に追加接種を推奨しており、英国では、ケアホームの入居者、医療・社会福祉従事者、50歳以上の人、基礎疾患のある人は3回目の接種を受けられるようになっています。

このような新型コロナウイルスワクチンの追加接種の提供は、激しい議論を巻き起こしています。ワクチン接種率にこれほどの偏りがある中、追加接種を検討する必要があるのかという疑問を呈している国もあります。世界保健機関(WHO)によると、これまで世界中で55億回のワクチン接種が行われていますが、そのうち80%は高・中所得国が占めています。

ワクチンの効果

WHOの免疫・ワクチン・生物学担当ディレクター、キャサリン・オブライエン博士は、大半の人にとって新型コロナウイルスワクチンの3回目接種は必要がないとしています。ワクチンは重症化、入院、死亡を予防し、十分な効果をもたらしているからです。

「人々が受けたワクチンの効果が十分に発揮されていることは、データで示されています」と彼女は述べています。「それが、ワクチンの本来の目的です」。

オブライエン博士は、次の3つのケースに当てはまれば3回目の接種を検討すべきだとしています。それは、最初の2回の接種で十分な効果が得られなかった場合(免疫に欠陥がある場合など)、最初の接種で得られた免疫が衰え始めたことを示す証拠がある場合、そして、新たに出現した変異株に対するワクチンの性能が不十分な場合です。

「最初の投与で十分な効果が得られなかったために、ごく一部の人が3回目の投与を必要とする可能性があることを示すデータがあります」と彼女は述べています。しかし同時に、新型コロナウイルスワクチンの幅広い追加接種の必要性や、その効果や安全性を示す科学的根拠は、ほとんどないと語っています。実際、大半の人には3回目の接種は必要ないことを、データが示唆しています。

ワクチン供給の不平等を招く、追加接種

WHOは追加接種に反対しており、裕福な国はワクチン接種率の低い国に、追加分を分け与えるべきだとしています。

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接種のペースに偏りがある新型コロナワクチン
イメージ: Our World in Data

データで見る私たちの世界(Our World in Data)」がまとめたデータによると、ケニア、エチオピア、ナイジェリア、タンザニアなどでは、ワクチン接種を受けた人は5%にも達していません。一方、より豊かな国の多くでは、国民の70%以上がすでにワクチンを接種しており、高齢者への追加接種を開始しています。

「ワクチンの不平等が長引くほど、ウイルスの循環と変異が進み、社会的・経済的な混乱が長く続き、ワクチンの効果を低下させる変異株が増える可能性が高くなります」と、WHO事務局長のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス博士は述べています。

パンデミック(世界的大流行)の終焉

低所得国へのワクチン供給拡大は、知的財産権の放棄、サプライチェーンの自由化、技術移転など、製造規模の拡大に関わるすべての障壁を取り除くことで達成できるとWHOは言います。

さらに、「高所得国が約束した10億回以上のワクチン寄付のうち、これまでに実現しているのは15%以下です」とも述べています。

「全員がワクチンを接種するまでは、誰もが安全ではありません」とオブライエン博士は語ります。そのためにはワクチンと同時に、マスクの着用、手洗い、社会的な距離の取り方、換気の仕方など、他の対策にも引き続き力を入れる必要があると、彼女は主張しています。

また、彼女は次のようにも語っています。「ワクチン接種に加えて、こうした対策があなたを守ってくれます。これらが一体となってこそ、このパンデミックを終息させることができるのです」。