• 「ジェネレーション・レストレーション(再生の世代)」と呼ばれる、地球環境を最優先に考える新しい世代の若者やエコ起業家が登場しています。
  • こうした若者主導のムーブメントは、環境問題に精通した世代が、健全な地球環境の実現に向けて具体的な変革をもたらす力を示しています。
  • この取り組みを支援するため、世界経済フォーラムでは、若いエコ起業家をサポートする「#GenerationRestoration Youth Challenge」を始動します。

私たちは、自然界のバランスが大きく変化し、その原因ともいえる人間界がこの変化に対処する状況を目の当たりにしています。気候変動の影響は、地球の回復と人類と地球の関係性を回復させることを中心据えた生き方を目指す、若いエコ起業家世代が登場したことと深いつながりがあります。

彼らのモチベーションとエネルギーの根底には、強力なマインドセットの変化があります。気候変動や地球資源の枯渇に対する警告が差し迫ったものとなる中で彼らは成長してきました。無秩序な成長が環境、野生生物、人類に及ぼす影響を目の当たりにしてきた世界中の若者たちは、創造的で希望に満ちた変革のためのソリューションを考え出し、それを回復の原則に基づいて実現しようとしているのです。

こうした原則を実現するには、地球からできる限り多くのものを採取して、手っ取り早く利益を得ようとする「採取型」のマインドセットから脱却し、地球を共有する人間と人間以外の生物にとって最善の利益を長期的に追求することを目指す必要があります。再生的アプローチは、自然を尊重し、自然から学ぶことを基本とします。必要な自由と機会が与えられれば、このアプローチは自然の再生能力に触発された希望に満ちたものになります。

現在、ジェネレーション・レストレーションが前進の原動力となり、生態系の回復と再生のための行動が主流になってきています。若い世代は広い視野を持ち、自然との関わり方の問題点を解決するためのコラボレーションの機会を探っています。実際に、世界中で新たなプロジェクトやスタートアップ企業が次々と誕生しています。地球を守ることへの強い意志が力強い指針となり、良い行いをすることで良い結果を出すことができる意義深いキャリアやチャンスを追求するよう、若者たちを駆り立てているのです。

こうした取り組みの形は、驚くほど多岐に渡ります。サヘル地域の森林を回復させるための原生種の植林や砂漠化を防ぐ活動も、その一環です。また、海中の生態系の基盤となる人工リーフの建設を通じて、海洋生物の再生に貢献しているものもあります。さらに重要なカギを握っているのは、森林コミュニティの持続可能な活動を可能にする信頼性向上技術の開発や、土地所有者、認定投資家、企業を結びつけ、自然資本への投資を促進するために活用されている新興テクノロジーです。

多くの優れたジェネレーション・レストレーションのアイデアは、まずは地域レベルで導入され、革新的な効果をもたらしています。こうしたイノベーションが人々の目に止まり、より幅広く、さらにはグローバルレベルで再現されることで、プラスの効果を飛躍的に増幅させることができます。たとえば、ペルーの自然保護団体、ECOANが行った、先住民族のコミュニティによる森林再生の草の根活動の成功からインスピレーションを得たのが、Acción Andinaプロジェクトです。このプロジェクトは、グローバル・フォレスト・ジェネレーションが、アンデス山脈の水、生物多様性、コミュニティの生活を守るため、ラテンアメリカで展開している再生活動です。最終的には7か国にまたがり25年の歳月をかけて行われる、数世代に渡る再生プロジェクトです。

修復、再生、更新、再利用、再緑化、再野生化。これらの単語は、この世代が唱える強力なスローガンです。こうした新しいマインドセットによって、若い世代の夢、ライフスタイル、消費パターンが変化し、企業、投資家、政策立案者がそれに耳を傾け、ゆっくりとではあるものの風向きが変わりつつあります。

6月5日の「国連生態系回復の10年」(2021-2030年)の開始は、世界的な再生と修復を促す行動のきっかけとなるでしょう。ジェネレーション・レストレーションは、こうした取り組みの中で大きな役割を果たすと期待されています。ひとつはっきりしていることは、気候変動によって最も影響を受ける可能性があると同時に、この課題に取り組む上で最適な立場にある若い世代が持つエネルギー、才能、意欲を育み、支援することがかつてないほど重要であるということです。

エコ起業が新たな規範となるためには、研修、教育、政策、能力開発、ビジネススキルや技術スキルの向上について見直す必要があります。若い起業家、メンター、投資家から成る地域のグループを育成することも重要でしょう。グローバル・フォレスト・ジェネレーションは、アップリンク(UpLink)とともに、#GenerationRestoration Youth Challengeを始動する世界経済フォーラムの「1t.org」イニシアチブの諮問委員を務めています。この取り組みは、生態系を保全と回復のための若者主導のソリューションを世界的に呼びかけるもので、若いエコ起業家や創造と変革を生み出すチェンジメーカーたちから、インパクトのある刺激的なソリューションを求めています。大胆なアイデアを発掘・支援し、発展を促すことによって若者主導のエコ起業家精神を育むことが狙いです。

最終的には、「国連生態系再生の10年」の成功は、成長した樹木や森の数だけでなく、どれだけ多くの若者が生態系再生に関わる仕事や組織、生活を構築できたかによって評価されるべきでしょう。

待ち受けている課題は途方もなく大きく感じますが、いかに解決させるかに私たちの未来がかかっています。