毎年4月22日は、「アースデイ(地球の日)」。地球環境について考える記念日は、今年で50周年を迎えました。科学者たちがずっと予言してきた世界的な健康危機のまさにその中で、この節目を迎えました。私たちは、科学が警告していた悪夢のシナリオに突如として直面し、全世界で人びとと社会に悲劇が及んでいます。新型コロナウイルスの大流行は、今後、何年にもわたって経済に影響を及ぼし続けるとみられます。

言うまでもなく、今なお進行している気候と環境の危機に対しても、科学は警鐘を鳴らしてきました。例えば、次のようなことが分かっています。

このような傾向は疑いなく断ち切るべきであり、逆転させる必要があります。

これ以上の環境崩壊という耐え難いリスクを回避するため、アースデイという年に一度の機会に目を向けなければなりません。失い、破壊し、排出しているものばかりではなく、達成し、取り戻し、低減できているものもあるということを。

持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の達成には、この10年のうちに、温室効果ガス排出量を全世界で急減させ、生態系の再生を実現する必要があると、科学は告げています。企業や政策立案者、イノベーター、消費者にとって、これは、個人と集団の行動を根本から転換することを意味しています。このステークホルダー資本主義という新しい変革の中心になるべきものが、森林なのです。

健全な森林は、生態系の中でも極めて重要なもののひとつであり、人の文明は森林なしでは存続も繁栄もできないと言っても過言ではありません。森林は最も生産性の高い二酸化炭素吸収源であり、貯水機能を持ち、天候の調整を助けているほか、食料や医薬品の源泉であり、都市や地上全体の空気の浄化に貢献しています。

さらに、近年多くの研究機関が、森林が人の健康と幸福の役立つことに注目しています。森林破壊の拡大が、新しい感染症の流行を助長しているのです。森林面積の減少は、ここ17年の間に着実に進んでいますが、ニパウイルスやジカ熱、エボラ出血熱など、新たな疾患の流行のうち31%は森林破壊に関係していると言われています。

見逃されがちですが、森林は私たちに必要不可欠な職も与えています。世界銀行によれば、林業部門は既に世界全体で5,400万人以上に職を提供。アメリカの研究では、100万ドルの投資を森林再生や持続可能な森林管理に行った場合、化石燃料への同額の投資に比べ、7倍以上もの雇用を創出できるとされています。16億近い人たち、つまり世界人口の25%以上が森林資源によって生活を支えられており、その大部分である12億人が農場で木を利用して食料と現金を得ています。

イメージ: The World Bank

今年1月に開催された、世界経済フォーラムの第50回年次総会において、政府、企業、市民社会、草の根運動などのリーダーたちの支援のもと、「1t.org」による「1兆本の樹木プラットホーム」を立ち上げたのも、こうした背景があったからこそ。1t.orgは、2030年までに樹木1兆本を保全、再生、育成するためのグローバルなプラットホームで、その目的は、数百万人規模のグローバルな森林再生コミュニティを活性化、支援し、人々を結集させ、その潜在能力を解き放つこと。大きなスケールと素早いスピードで、樹木1兆本を10年内に確実に保全、再生できるよう、コミュニティの活動を支援しすることを目的としています。このようにして1t.orgは、国連食糧農業機関(FAO) と国連環境計画(UNEP)が先導する「国連生態系回復の10年 2021~2030」に大きく貢献することを目指しています。

世界の気候問題と持続可能な開発の解決策として、森林再生が特に重要なのは周知の通りです。そして、森林再生を支えるためには、産業の脱炭素化に向けた野心的な取り組みと、今ある森林の保護・保全が必要であると広く理解されています。さらに、それらは環境に責任のあるやり方で、一体となって進める必要があるのです。こうしたことを実行し、森林再生を経済、社会および政策の課題の最優先事項に加えれば、10年後、アースデイ60周年の日には、「受け渡しの10年」の成果を祝うことができるでしょう。そして、その10年の間に、人類は自然の再生が誰にとっても必要なことだと受け入れているはずです。

新型コロナウイルスの惨禍を乗り越える中で、私たちは、これまでとは違う環境に配慮した成長のパラダイムへ転換できるかもしれません。それは、人の健康を取り戻すための必然的手段として、健全な地球環境を再生するという考え方です。健全な地球なくしては、健全な社会や経済は存在できないのです。