第四次産業革命

HowからWhatへ:第四次産業革命における企業の戦い方

Image: Xan Griffin on Unsplash

Naonori Kimura
Partner and Managing Director, Industrial Growth Platform Inc.
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第四次産業革命

近代産業史を紐解くと、第一次産業革命の端緒である蒸気機関の発明以降、電力の活用による大量生産・コンピュータによる自動化と、約200年の年月をかけて漸進的な進化を遂げてきた。現在は、AIやIoT技術をベースとする第四次産業革命の真っただ中ではあるが、これまでの産業の発展の中で、企業が生き残りをかけてきた戦い方とは全く異なる、新たなる戦い方が求められている。

第三次産業革命までの200年間は、早く作る・大量に作る・効率的に作る、といった連続的な進化の過程を辿ってきたと言える。これらの時代のキーワードは、より早く・より高品質に・より安く、といった“より”がつく、いわゆる改善型の事業活動が経営の基軸となっていた。そのため経営におけるアジェンダは明確で、よりよくすることに向かってどう進んでいくかという、“How”から始まる問いが中心であり、そういった問いに対して他社より早く正解に到達するかの競争である。同時に、より高度・より強度・より大きいオペレーションを目指し、どんどん機能を追加して内製力を高めていくフルスペック経営が王道でもあった。要は「長い時間軸の中で明確なゴールに向かって機能増強していく」事が勝ちパターンだったのである。

一方、第四次産業革命においては、AIやビッグデータ等を活用して、どこまで大きな世界観を描けるかが勝負の起点となる。先端技術を活用した業務の効率化・ものづくりの高度化といったプロセスイノベーション領域はまだ連続的な進化の域であり、その先にある全く新しい製品・サービスを創出する、更には未知のビジネスモデルを構築するといったイノベーションは、現状延長の先に答えは見出しづらい非連続なイノベーション領域である。この段階における経営アジェンダは、何をやるか、その前段として何故やるのか(つまり当社は何を目指すのか)といった、“What”から始まる問い、つまり正解のない問いを解いていく能力が求められる。更にこのイノベーションをどうやって実現するかという点もそうそう容易ではない。多くの経営者が、新たなるビジネスモデルを“自分達だけで”構築したいと考えているが、必要となる先端技術やビッグデータ等を全て内製するのは殆ど不可能で、実際は誰とどういったアライアンスを組むのか、というのが現実解となりうる。この現実解を解く上では、やはり「自分たちは何にフォーカスして、何は諦めるのか(≒捨てるのか)」という、上述と同じ“What”の問いに行きつく。「短い時間軸の中で自らWhatのアジェンダ設定をし、柔軟に会社・事業の形を変えていく」事こそが、これからの戦い方となっていくであろう。

日本を中心としたアジア企業の中で、オーナー系企業を除いた多くの企業が、長い時間をかけた連続的な成長を遂げる過程において、丁寧にボトムアップで意思決定を進めていく官僚型の組織構造を形成してきた。このスタイルは、「長い時間軸の中で明確なゴールに向かって機能増強していく」上では極めて有効に働く。あくまで社内の事業構造・組織体制を是として、改善を積み重ねていく前提だからだ。しかしながら、第四次産業革命下における「短い時間軸の中で自らWhatのアジェンダ設定をし、柔軟に会社・事業の形を変えていく」という経営環境下では、時には現状の事業構造や組織体制をも否定しつつ大胆な戦略転換をしていかなければならない。こうした問いは、個々の既得権を代表の集合体である官僚型組織には、コンセンサス形成に相当の時間がかかる、中々結論が出にくい等の理由で、極めて相性が悪く、誰かが強いリーダーシップを発揮して決め切らない限り、“落し所”は見つけられない。

第四次産業革命を勝ち抜いて行くためには、大胆な戦略転換に向けたWhatの経営アジェンダ設定をし、スピーディかつ果敢にリスクテイクした意思決定をしていくリーダーシップをどう担保するかが問われており、これまでのような小手先の改善だけではなく、リーダーシップの在り方・戦略・オペレーション・組織文化含めた、変革へ向けての強い経営の意思と実行力が鍵である。

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Vidhi Bhatia

2023年8月3日

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