若い世代は、テクノロジー、仕事、気候の変化を経験しており、それは広範な経済的・社会的変化の早期の兆候を示しうるものです。
Global Shapers Annual Summit 2026では、若い指導者たちが、世代間の協働、主体性、野心の新たな定義が、不確実性への対応をどのように形づくっているかを強調しました。
若い人々の声に耳を傾けることは、単に代表性の問題ではありません。彼らの実体験は、指導者がより良い意思決定を行う助けとなりえます。
どの世代も、変化の中で大人になっていきます。今日の若い世代にとっては、人工知能が仕事を変え、気候変動が地域社会と経済を変化させ、キャリア、リーダーシップ、制度に関する従来の前提が問い直されるなど、いくつもの大きな変革が同時に重なっています。
こうした変化は、若い世代にとって何を意味するのかという観点から語られることが多いものです。しかし、若い人々がこの変化について私たちに何を伝えられるのかに、より注意深く耳を傾けてみてはどうでしょうか。
世界経済フォーラムのGlobal Shapers Annual Summit 2026では、120以上の国と地域から30歳未満のリーダーがジュネーブに約500人集まりました。テクノロジー、起業、気候変動対策、リーダーシップに関する議論を通じて、若い人々は既に進行している変化を見極め、それへの対応策を提案し、制度に対してより異なる対応を求めていました。際立った示唆は次の5つです。
1. 世代を交えることで、より良いリーダーシップが生まれる
世代間リーダーシップは、代表性の問題として捉えられることがよくあります。すなわち、若い世代に議席を与えるにはどうすればよいか、という問題です。しかしサミットでの議論では、より野心的な考え方が示されました。異なる世代は、同じ課題に対して異なる知識、経験、視点をもたらします。それらを組み合わせることで、組織の意思決定を改善できるのです。
「名ばかりの参加ではなく、真のパートナーシップを」というのは、Lynn Malkawi(Amman Hubの Global Shaper)が、意味ある世代間リーダーシップのあるべき姿を説明した言葉です。彼女は、この関係は双方向に機能する必要があり、各世代がそれぞれ持つ価値と専門性を互いに認め合うことが求められると主張しました。
OECDの研究によれば、多世代の労働力は、高齢の労働者の経験と若い労働者のスキルとの補完性から恩恵を受けることができ、それが業績と生産性の向上につながるとされています。
したがって、その機会は単に権力を一つの世代から別の世代へ移すことではありません。両者を組み合わせることなのです。若いリーダーは新興技術や変化する社会的期待、新たな行動様式に近い立場にいることが多い一方、経験豊かなリーダーは、制度に関する知識、ネットワーク、長年にわたって蓄積された教訓をもたらします。
急速な変化に直面する制度にとって、世代の多様性は意思決定上の優位性となりえます。
2. 不安は主体性の源になりうる
若い世代は、それ以前の世代よりも個人的に、そして より長期間にわたって、いくつかの地球規模の課題を経験しています。気候変動はおそらく最も明確な例でしょう。世界的な調査では、10か国の16歳から25歳までの1万人を対象に、59%が気候変動について非常に、あるいは極度に心配しており、45%超がそうした感情が日常生活に悪影響を及ぼしていると回答したことが明らかになりました。
サミットでは、Kiara Winona Sweeney(Munich Hubの Global Shaper)が、 仲間たちに対して、パートナーシップの構築、ボランティアの動員、解決策の検証、失敗からの学習を通じて、「それを主体性に変え、その主体性を行動へと移す」よう呼びかけました。
「私たちは未来のリーダーではない」と彼女は述べ、続けて「私たちは今まさにリーダーであり、同時に自分たちの未来を守るためにもここにいるのです」と語りました。
Global Shapers Communityの各地では、こうした考え方が、地球規模の課題に対する地域主導の解決策として具体化しつつあります。主体性には確実性は必要ありません。制度は、若い人々に資源、関係性、そしてアイデアを試し、懸念を実践的な行動へと転換するための余地を与えることで、それを強化できます。
3. 若い世代は、AIを加速要因であると同時に破壊要因として経験している
若い世代はAIを積極的に受け入れていますが、同時に、AIがもたらしうる仕事の変化に最も直接さらされている層の一つでもあります。世界経済フォーラムの最近の報告書によれば、世界全体で若い労働者の3人に1人以上が、AIによる業務変化への中~高程度の影響を受ける職業に就いています。
Ben Pfeffer氏は、(Austin Hubの Global Shaper)は、より多くの若い人々が「自分自身に賭けて」、事業、非営利団体、その他の取り組みを立ち上げていると指摘しました。その一因は、AIによって事業構築がより速く容易になったことにあります。
サミットの開会全体会議で、Marc Benioff氏は参加者に対し、「人工知能は、人類の手に委ねられた中で最も強力な技術の一つである」と述べました。同氏は、AIが人類史上最も重大な影響をもたらす技術の一つになると主張しました。若い指導者たちへのメッセージは明快でした。「あなたがたがAI革命を主導することになる」。
そうしたリーダーシップには責任が伴います。若い人々がAIの最初期の採用者、構築者、起業家の一部となるにつれて、彼らはAIがどのように使われ、誰がその恩恵を受けるのかを形づくることにも関わっていくことになるでしょう。
4. 経済的不確実性が野心の意味を変えつつある
長年にわたり、職業的成功は、教育、入門的な職務、昇進、そして最終的なリーダーシップという階段として描かれてきました。しかし、テクノロジーが入門的な仕事の在り方を変え、若い人々がキャリアの進歩に関する従来の定義を見直す中で、そのモデルは以前ほど確かなものではなくなりつつあります。
サミットでは、Kacha (Shogun) Mahadumrongkul(Bangkok Hubの Global Shaper)が、入門的な機会が減るなかで、若い人々は「自ら主体性を持ち、自分自身の新たな機会を創り出さなければならない」と、ますます感じていると主張しました。さらに彼は、AIによって新しいことを始める際の障壁の一部が軽減されつつあると付け加えました。
新たなLinkedInのデータによると、Z世代の起業家のほぼ4分の3が複数の収入源を持っており、これはポートフォリオ型キャリアの広がりを反映しています。デロイトの世界的な調査では、一方で、Z世代およびミレニアル世代のうち、リーダーの地位に就くことを主要なキャリア目標として挙げた人は6%に過ぎないことが分かりました。
これは、若い人々の野心が低下していることを示すものではありません。むしろ、野心はさまざまな形をとりつつあり、主体性、学習、目的意識、柔軟性がより重視されるようになっています。次の世代は依然として前進を望んでいますが、その「前進」の定義が変わりつつあるのかもしれません。
5. 若い世代は、私たちが角の向こうを見る手助けをしてくれる
サミットから得られた最も重要な示唆は、同時に最も単純なものでもありました。若い人々に耳を傾けることで、次に何が起こりうるのかを理解する助けになるということです。
先見性は、新たな潮流や弱いシグナルが主流になる前にそれを見極められるかどうかにかかっています。世代が異なれば、変化を経験する視点も異なるため、注目するシグナルも異なります。若い人々は新技術の早期採用者であることが多く、今日下される決定の影響を最も長く受けることになるのです。
世界経済フォーラムの戦略的先見性マネージャーであるBryonie Guthrie氏は、次のように説明しました。「世代が異なれば、未来の理解の仕方も異なり、未来のシグナルの捉え方も異なります。」これらの視点を結集させなければ、制度は未来の展開を変えうるシグナルを見逃すおそれがあります。
世界経済フォーラムのYouth Pulseは、大規模に耳を傾ける一つの方法を提供しています。2026年には、ほぼ500か所の拠点から約5,000人の若い人々が、AI、経済安全保障、気候変動、制度に関して自らの見解を共有しました。その回答は、次世代が既に変化をどのように経験しているのかについての洞察を与えてくれます。
したがって、若い人々は、長期的な決定の影響を受ける利害関係者以上の存在として捉えられるべきです。彼らの経験は、新たな行動様式、期待、リスク、機会に関する有益な情報を提供しうるのです。
若い人々に耳を傾けることは、代表性以上の意味を持ちます。それは、制度がより良い問いを立て、将来についてより良い意思決定を行う助けとなりえるのです。





