変化する世界における気候、移住、紛争

Libyan migrants on a wooden boat await rescue by the migrant search and rescue vessel MV Seefuchs of the German NGO Sea-Eye in the search and rescue zone some fifty nautical miles north of the Tunisian-Libyan land border, September 30, 2017. REUTERS/Darrin Zammit Lupi - RC1AED6D7160
Image: REUTERS/Darrin Zammit Lupi - RC1AED6D7160
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この記事は、世界経済フォーラムの地政学プラットフォームの一部です。

避難を余儀なくされる人々が過去最多となり、気候変動が加速するなか、世界はより暴力的な未来へ向かっているのではないかと、多くの人が懸念しています。

政策立案者、実務家、外交官、平和構築の担い手のいずれにとっても、気候変動、移住、紛争の相互関係は、さまざまな形で根本的な課題を突きつけています。

ウィルソン・センターの研究複雑さを読み解く:変化する世界における気候、移住、紛争は、こうした課題への知見を示し、政策対応を検討することを目的としています。

気候変動は、さまざまな形で人々の移動に影響を及ぼすと予想されています。

同時に、気候変動が暴力的紛争の形態、種類、発生場所に影響を与える可能性も大きく懸念されています。

こうした動きについての理解は急速に進み、ときに意外な結果も生まれています。実際、人々が移動する理由や移動する人数、移動がもたらす影響については、大きな誤解が広がっています。

網羅的な分析ではありませんが、著者らは主要な議論の流れを示し、次の問いへの答えを探ります。気候変動、移住、暴力的紛争の関連性について、何が分かっていて、何が分かっていないのでしょうか。また、建設的な成果の可能性を最大限に高めるには、何ができるでしょうか。

複雑に絡み合う要因

気候変動に起因する移住に関連した暴力的紛争や不安定化のリスクは、地域の状況に大きく左右されるという点で、専門家の見解はおおむね一致しています。移動や武力紛争への参加を決める際、気候要因を他の重要な要因から切り離して考えることは非常に困難です。経済的、政治的、社会的要因は、気候変動、移住、紛争を分析するうえで、常に重要な要素となります。

それでも、気候変動と大規模な人口移動が、社会や統治に大きな課題をもたらすことは明らかです。政府、国際機関、市民社会は、対応する準備ができているかどうかにかかわらず、対処を求められています。

この報告書は、関連文献の概観と、政策に資する教訓を見いだすためのダルフールとシリアの注目事例の詳細な分析を提示しています。

この研究から得られる主な知見は5つあります。

1)「気候難民」といった呼称は誤解を招きます。こうした用語を定義する法的枠組みが現状では十分に整備されておらず、正式な保護や地位もなく、人々が移動する理由も複数あるためです。

2)移住や避難の大半は国境内で起きるため、慣習的な制度を含む地域の制度を強化し、資源に関する権利を柔軟に運用することで、新たに到着した人々を平和的に受け入れやすくなる可能性があります。資源に関する権利が重要であることから、環境平和構築の原則は、気候問題が起こりやすい地域の脆弱性を軽減するのに役立つことも示唆されます。

3)気候変動と避難が大きな役割を果たす紛争は、共同体レベルで始まっても、急速にその範囲を超えて広がることがあります。そのため、関連する和平プロセスは、複数の地理的・政治的レベルで進める必要があるでしょう。

4)環境変化に応じた人々の移動には長い歴史があり、適切な政策によって可能になるなら、移住は気候変動への適応を成功裏に、平和的に進める手段となり得ます。行動を起こすことは不可欠ですが、気候変動が移住、避難、紛争に及ぼす影響を単純化して分析すると、的外れな対応を招きかねません。脆弱性を理解するには、物理的な気候変動の影響にさらされる度合いと同じくらい、政治的、経済的、社会的な背景が重要です。

5)気候変動に対処する仕組みのなかには脆弱で、政策の変更に左右されやすいものがあります。ダルフールのハクラ土地保有制度は、その一例です。この制度は解体されるまで、資源をめぐる緊張の緩和に役立っていました。

実際、気候変動への対応が人々の避難や社会的紛争につながることもあります。基本原則は「害を与えない」ことです。ただし、「何もしない」という意味ではありません。政策環境がどれほど整っているかにかかわらず、人々は置かれた状況に適応し、ほかに選択肢がほとんどなければ、破壊的な対応に向かう可能性もあります。

複雑さを読み解く:変化する世界における気候、移住、紛争、シュイラー・ヌル、ローレン・ハーツァー・リシ、ウッドロウ・ウィルソン国際学術センター

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