船舶が激しい雷雨を引き起こしている

A lightning storm is pictured over the sea near the capsized cruise liner Costa Concordia lying surrounded by cranes outside Giglio harbour September 15, 2013. REUTERS/Tony Gentile (ITALY - Tags: DISASTER MARITIME ENVIRONMENT) - GM1E99G0I5501
Scientists at the Department of Atmospheric Sciences found that ships themselves cause electrical activity in the sky.Image: REUTERS/Tony Gentile
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世界中に商品を運ぶ大量の貨物を積んだ船舶は、航跡のように嵐や雷を残していく。

ワシントン大学の研究チームが立てた仮説によると、船舶からの排出物が激しい雷雨を引き起こしているという。

大気科学部門の科学者たちは、次のデータを分析した。世界雷位置情報ネットワーク(WWLLN)のデータを分析し、インド洋における落雷に一定のパターンがあることに気づいた。

このパターンは大気の状態では説明できなかった。しかし、落雷の発生地点を航路と照らし合わせると、説明の糸口が見えた。船舶そのものが、空中で電気活動を引き起こしていたのだ。

Image: Thomton et al/Geophysical Research Letters/AGU

汚染とのつながり

「船舶が雲量や雲に影響を与えることは、すでに分かっています」と、研究論文の筆頭著者であるジョエル・A・ソーントン氏は世界経済フォーラムに語った。「しかし、これまで注目されていなかったのは、雲のより高い部分、つまり雷雨や雷が発生する場所で何が起きているかとの関連です」

チームはWWLLNのデータを使い、2005年から2016年までの15億件の落雷の位置を調べ、海上の航路と重ね合わせた。その結果、世界有数の混雑した2つの航路の真上では、船舶が通らない海域の嵐と比べ、雷雨が著しく強いことが分かった。

実際、インド洋と南シナ海の交通量の多い航路の真上では、雷が発生する可能性が2倍を超える。

Image: REUTERS/Jamal Saidi

では、船舶はどのようにして嵐を引き起こすのだろうか。

船舶は航行中、排気ガスを空気中に吐き出す。「船舶の排気ガスに含まれる粒子状物質が雲の性質を変え、雷を増やすのです」と、ソーントン教授は説明する。

船舶の排出物によって雲の水滴が小さくなり、より高い大気層まで上昇する。その結果、氷の粒子が増え、雷も増える。

「船舶が周囲の空気の流れや温度を変え、何らかの形で雷を引き起こしている可能性も考えました。しかし、先行研究を見る限り、それだけで雷が発生するとは考えにくいのです」

ソーントン教授は、陸上で同じ現象が起きるとは考えていなかった。

「陸上では状況がずっと複雑になり、汚染が嵐に及ぼす影響を切り分けるのが難しくなります。ただ、都市の上空では雷が発生しやすいことを示す証拠もあります。

同教授によると、海上では汚染の影響も時間とともに頭打ちになった。つまり、粒子をさらに加えても、雲の電気活動が増え続けることはない飽和点に達したのだ。

自身の科学論文に触れ、同教授はこう語った。「この研究によって、人間が嵐や雷の性質をどう変えているのかを考える、新たな研究の道が数多く開かれます」

海運による汚染の影響

商業海運は、世界中で物資を運ぶうえで欠かせない存在であり、世界貿易の要でもある。世界の貿易量の約90%は船舶で運ばれている。

この地図は、2012年の世界の商船隊の動きを追跡し、海上交通の規模の大きさを示している。

この地図で使用されている名称および資料の提示は、いずれかの国、領土、都市もしくは地域、またはその当局の法的地位、あるいは国境や境界の画定について、世界経済フォーラムがいかなる見解を表明することを意味するものではない。

しかし、国際海運は温室効果ガスの大きな排出源でもある。欧州連合によると、海運は排出量が多く、増加傾向にある分野で、毎年、世界の温室効果ガス排出量の最大2.5%を占めている。

船舶による汚染は、人々の健康にも害を及ぼしている。昨年発表された報告書は、東アジアで排出量が増加したことにより、年間最大3万7,500人が早期死亡したと報告した。

排出量の削減

船舶の排出物には、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などの汚染物質が含まれる。大型クルーズ船1隻は、乗用車700万台より多くの硫黄を排出するとも報告されている。

しかし、昨年10月、国際海事機関(IMO)は、海運業界が硫黄排出量に上限を設けることに合意したと発表した。IMOの報道発表によると、この上限は「既存の排出規制区域を超えて、環境と人々の健康、とりわけ港湾都市や沿岸地域に住む人々の健康に大きな好影響をもたらす」という。

将来的には、3Dプリンティングによって、世界貿易に伴う海上輸送の多くが不要になる可能性がある。顧客は商品を注文し、現地でプリントしてもらうことができる。

ソーントン教授は、新たなIMO協定がもたらす変化に期待を寄せている。「これらの地域では、船舶からの汚染が大きく変化するでしょう。排出量の減少に伴い、雷も減るという変化が見られるはずです。そして、その影響はすぐに現れるでしょう」

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