Seabin:海をきれいにする「浮かぶごみ箱」の力

Each Seabin, or a floating garbage bin, is capable of capturing 90,000 plastic bags every year for less than $1 a day.
Each Seabin, or a floating garbage bin, is capable of capturing 90,000 plastic bags every year for less than $1 a day.Image: Seabin Project
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  • 約毎年800万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいます。抜本的な対策を講じなければ、2025年までにこの量は倍増する可能性があると予測されています。

  • Seabin Projectは、海洋プラスチック汚染という世界的な問題の解決と海洋保全を目指す、大志を抱いたクリーンテックのスタートアップです。

  • 同社の商用製品は浮かぶごみ箱として機能し、ごみ、油、燃料、洗剤を回収します。

「陸にごみ箱があるのなら、水中にもあっていいのでは?」

この発想から、プラスチックなどのごみが海に流れ着く前に港湾の水面からすくい取る、浮かぶ「Seabin」を設置するプロジェクトが生まれました。

水をこよなく愛する二人と自らを語るアンドリュー・タートンとピート・チェグリンスキーは、2015年にオーストラリアでこのプロジェクトを立ち上げ、現在は2050年までに100都市をきれいにすることを目指しています。

「Seabinを始めたとき、私は問題の症状、つまりプラスチック汚染とその清掃だけに注目していました。この世界的な課題について、個人的にも職業的にも学びを深めるうちに、人間が引き起こすすべての問題に対する真の解決策は教育だと理解しました」と、最高経営責任者(CEO)兼共同創業者のピート・チェグリンスキーは語ります。

「私たちがもう少し賢ければ、プラスチック汚染は起きず、Seabinのスマート技術も必要なかったでしょう。そこで私は、データ、科学、教育、予防の取り組みを築くとともに、清掃のための革新的な技術を提供することに投資しました。

私たちが使うフレーズは、『清掃を続けながら、汚染の元栓を閉める』です。」

問題はどれほど深刻なのか?

使い捨てプラスチックへの依存は、環境、社会、経済、健康に大きな課題をもたらし、地球は「プラスチックで窒息」しかねない状況にあります。

プラスチックはひとたび環境中に流出すると、回収が困難です。耐久性が高く、周囲の環境に容易に絡みつきます。環境中に500年以上とどまり、ゆっくりとマイクロプラスチックに分解され、水や空気の中を自由に移動します。やがて人間や魚、カメ、鳥がプラスチックを飲み込み、動物が絡まって死ぬこともあります。

1950年から2015年までの世界のプラスチック生産量の増加を、年間トン数で示したグラフ。Image: Our World in Data;Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science Advances, 3(7), e1700782.

国連環境計画(UNEP)によると、毎年800万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいます。抜本的な対策を講じなければ、2025年までにこの量は倍増する可能性があると予測されています。

Seabinプロジェクトのチームは、人間の過剰消費と不適切な廃棄物管理が海を破壊していると理解していました。試行錯誤を重ねた結果、浮かぶごみ箱として機能し、ごみ、油、燃料、洗剤を回収する商用製品が生まれました。

「現在は第6世代(次世代技術)で、スマート技術、水質センサー、クラウドやIoTに接続するためのモデムを搭載しています」とピートは語ります。

世界経済フォーラムのグローバル・プラスチック・アクション・パートナーシップは、プラスチック汚染の根絶をより大きな目標に掲げ、プラスチックの循環型経済に向けた各国の解決策を推進しています。同パートナーシップのナレッジ・スペシャリスト、プーナム・ワティネ氏は、Seabinのようなプロジェクトが正しい方向への大きな一歩となり得ると考えています。「プラスチック汚染の緩和と防止には、革新的な解決策が不可欠です」と同氏は述べています。

「Seabinのように大きな影響力を持つ、意欲をかき立てる先駆者は、代替策を通じて差し迫るプラスチック危機にどう行動を起こすかについて、一筋の希望を与えてくれます。」

海を守るために河川を清掃する

問題の発生源で対処するため、いくつもの企業が立ち上がっています。ローテクながら革新的な解決策を持ち込み、すでに大きな変化を生み出しています。

Plastic Fischerはその一例です。「TrashBoom」と呼ばれる、低技術で低コストの装置を活用しています。川を横切るように浮かべた障壁で、流れに乗って下流へ運ばれるプラスチックごみを捕らえます。

Plastic Fischerのチームは、インドネシアのバンドンで同国の国軍と協力し、世界有数の汚染河川の一つでTrashBoomの開発と試験を行いました。

海洋プラスチック問題に革新的な発想で取り組むもう一社は、フィンランドのRiverRecycleです。同社は、海洋に流れ込むプラスチック汚染の量が最も多い河川に、清掃・リサイクル拠点を500カ所設置することを目指しています。プロジェクトには、インド・ムンバイのミティ川に設ける施設も含まれます。

Plastic FischerとRiverRecycleは、どちらもグローバル・プラスチック・イノベーション・ネットワークのメンバーで、UpLinkに参加しています。

「最終的な目標は、Seabinそのものが不要な状態を実現すること」

Seabinプロジェクトは、「2050年までに100都市」キャンペーンを通じて世界展開を加速させています。オーストラリアのシドニーに続く2番目の都市として、ロサンゼルスのマリーナ・デル・レイを選定しました。

チームは、世界のマリーナや港が海の清掃を始めるのに最適な場所だと考えています。「マリーナの中には外洋のような大きなうねりや嵐がなく、比較的管理しやすい環境なので、Seabinの設置に最適です」とプロジェクトは述べています。

Seabin Projectのチームは、世界のマリーナ、港、ヨットクラブが海の清掃を始めるのに最適な場所だと考えています。Image: Seabin Project

データによる推計では、Seabin1台あたりの技術で毎年9万枚のレジ袋を回収でき、費用は1日1ドル未満です。回収したごみはリサイクルするか、廃棄物処理施設に送られます。

マリーナ・デル・レイでの試験事業では、3年間でマイクロプラスチックやプラスチック繊維などを推定54トン回収する見込みです。また、フルタイムの雇用を最大5人分創出することも目指しています。

このプロジェクトは製品の販売から転換し、サービスと機材をリースで提供しています。最終的な目標は、Seabinそのものを不要にすることだとしています。

「現在の気候危機は深刻ですが、私はいつまでも楽観主義者です。解決できる、あるいは少なくとも、過ちから学ぶために最善を尽くせると信じています」とピートは語ります。

「Seabinが解決策、教育、啓発、予防の取り組みに積極的な役割を果たしていることをうれしく思います。そうした取り組みが、購入に目的意識を持ち、環境への影響や人権に基づいてより良い生活上の選択をする、意識の高い世代を育んでいるからです。

こうしたすべてが、あらゆる意味での繁栄につながります。」

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