ケニア、スマートIDカード発行で違法伐採と違法漁業の取り締まりを目指す

Fishermen prepare to cast a net from the beach in Shela, Lamu, an island in the Indian Ocean off the northern coast of Kenya July 13, 2014. REUTERS/Siegfried Modola (KENYA - Tags: SOCIETY) - GM1EA7E01PV01
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カードによって、ケニア沿岸でマングローブ林を違法に伐採したり、魚を密漁したりする人の特定が容易になることを目指す。

ケニア北岸の漁業コミュニティが、まず「スマート」身分証明カードの恩恵を受ける。このカードは、本物の漁師や伐採業者と、水域に侵入して魚を密漁し、気候変動の脅威を和らげるうえで重要なマングローブを伐採する密猟者とを見分けることを目的としている。

政府発行のムブビカードにはそれぞれ、登録者本人の写真と指紋が記録されている。「ムブビ」はスワヒリ語で「漁師」を意味する。

当局は、近距離無線データ通信を可能にする通信ソフトを搭載したスマートフォンを使って、カードを読み取ることができる。

政府によると、ケニアの保護対象マングローブ林の約60%があるラム郡でまずカードを導入し、治安を強化するとともに違法漁業と違法伐採を抑制できると当局は期待している。

「漁師を装って海に出ながら、マングローブを違法に伐採している人たちがいます」と、ラム郡コミッショナーのサムソン・マチャリア氏はトムソン・ロイター財団の電話インタビューで語った。

「マングローブの過剰な伐採は、沿岸や島々の海岸線一帯における気候変動の影響や生態系に影響を及ぼします」と同氏は付け加えた。

環境科学者たちは、地球温暖化の脅威を軽減するうえでマングローブ林が果たす重要な役割を長年強調してきた。

マングローブは、気候変動の主な要因の一つである二酸化炭素を吸収・貯蔵する能力が陸上の樹木よりはるかに高いと、科学者たちは指摘する。

樹木の根は堆積物を捕らえて保持し、嵐に対する沿岸の緩衝帯となり、洪水から守る。また、重要な魚の産卵場も形成する。

国際自然保護団体WWFによると、世界のマングローブ林はすでに35%以上が失われ、他の森林の3~5倍の速さで減少している。

ケニア環境・森林省が公表した統計によると、同国では1985年から2009年の間にマングローブ林の約20%が失われた。

残存するマングローブ林のうち、推定40%が劣化している。

「マングローブ林では『立ち枯れ』を目の当たりにしてきました。マングローブがただ乾燥していく現象です」と、WWFケニアで持続可能な森林管理に取り組むジョン・ベット氏は語った。

ベット氏によると、ラム郡では過去10~15年で気候変動の影響が加速している。また、木から泥の上に種が落ちることで自然に起こることもあるマングローブの再生速度は、「大幅に低下した」という。

同氏の説明によると、ラム郡でマングローブを伐採できるのはケニア森林局に登録した伐採業者に限られ、定められた割当量と区域の範囲内でのみ認められている。

しかし、水上に誰がいるのか正確に把握できなければ、違法に漁をしたりマングローブを伐採したりする人々を取り締まるのは難しいと同氏は強調した。

Image: REUTERS/Anjali Nayar

塩害が進む土地、魚が減る海

ケニアの沿岸コミュニティは、すでに気候変動の影響に苦しんでいる。

世界各地の科学者は、炭素排出の影響で水温が予想をはるかに上回る速さで上昇していると警告している。

海洋が温暖化すると膨張し、海面上昇を招く。さらに、天候の変動が激しくなることで、農地は洪水や不作のリスクにいっそうさらされる。

海水温の上昇は、より強力なサイクロンなどの嵐も引き起こし、塩水を陸地に押し寄せさせることがある。

沿岸の土地を守るマングローブ林が減るなか、土壌は塩分を含んで作物を枯らし、または大雨で流されていると科学者たちは指摘する。

海洋の温暖化は魚にも脅威を及ぼしている。特に、ケニアのようにサンゴの白化を経験した地域では深刻だ。

「漁師たちは、水温上昇やサンゴの損傷、白化の進行によって一部の魚種が姿を消し、産卵場所が大幅に減ったと報告しています」とWWFのベット氏は語った。

ベット氏は、地元の漁師たちが貧しくなり、追い詰められていく様子を見てきた。漁獲量がますます減るなか、より大きな危険を冒す人もいる。一方で、漁を完全にやめた人もいるという。

「漁獲資源の減少を目の当たりにしてきました。漁師たちは今では、以前よく漁をしていたサンゴ礁を越えて、さらに遠くまで行っています。10~15年前なら、サンゴ礁の近くで漁をしていたでしょう」と同氏は語った。

ベット氏はまた、伝統的な漁法と小型の木造船を使う地元の漁師たちは、より近代的な漁具を使う外国船との競争に苦しんでいると指摘した。

セキュリティー上の課題

欧州連合(EU)と米国際開発庁(USAID)の資金提供を受けたムブビカード事業は、2018年に開始された。試験導入では、ラム郡のキワユ島の漁師に250枚のカードを配布した。

システムにセキュリティー上の不備が見つかったため、カードは最終的に無効化されたと、キウンガ青年ブンゲ・イニシアチブ(KYBI)のプログラムマネージャー、マテンゲ・ンドゥング氏は説明した。

地元の市民社会団体が、カード発行に向けた漁師の募集と登録を担っている。

同団体は現在、参加者の個人情報の安全性を高めるため政府と協力しており、データベースを保存するために政府のサーバー上の領域を割り当てる件について協議中だと、ンドゥング氏は述べた。

その間にKYBIは漁師700人を登録し、月末までに全員にカードを発行したい考えだ。

「第1段階では漁師1,000人へのカード発行を目指しています」とンドゥング氏は語った。

気候変動、密漁、マングローブの喪失が重なり、すでに深刻な圧力にさらされている漁業をムブビカードで守れることを期待していると同氏は述べた。

キワユ出身のアリ・テワさん(34)は、16歳で学校を卒業して漁を始めた。ラム郡周辺の海に魚が豊富だった頃を覚えている。

「あの頃、1990年代には、30分から3時間ほど沖に出れば、約200キログラム(440ポンド)の魚が獲れました」と彼は語った。

「今では、一日中漁をしても何も獲れないことがあります。」

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