第四次産業革命が水不足を解消する5つの方法

Children play with water in Madureira Park in Rio de Janeiro, Brazil.
With blockchain-enabled water management, shortages should be a thing of the past.Image: Reuters/Pilar Olivares
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世界的な水と衛生の危機は、いまに始まったことではありません。世界水の日を迎えるたびに、私たちはすでに見慣れつつある厳しい統計を振り返ります。2050年までに世界の水供給と需要の間に40%の隔たりが生じるとの予測。水インフラの整備に今なお必要とされる数十億ドルの追加資金。安全に管理された衛生サービスを利用できない45億人。そして、水危機が潜在的な影響の大きさという点で、世界の主なリスクの一つに7年連続で挙げられているという事実です。

こうした統計が示すのは、従来どおりの取り組みだけでは、世界の水と衛生の問題を解決できないということです。この分野でイノベーションを起こすことは、もはや選択肢ではなく必須です。第四次産業革命(4IR)がもたらすテクノロジーと情報の急速な進歩を活用すれば、水を含む地球規模の共有資源の課題に対する管理方法を改善できる可能性があります。では、この可能性をどう現実に変えればよいのでしょうか。

世界経済フォーラムのグローバル・ウォーター・イニシアチブは、世界銀行の水資源グローバル・プラクティスおよびスイス開発協力庁と連携し、この問いを探る取り組みを過去1年間進めてきました。水政策の専門家、起業家、技術革新者を一連のワークショップや会合に招き、水分野で変革が期待される複数の領域について貴重な知見を得ました。心強いことに、必要な解決策の多くはすでに手の届くところにあることも分かりました。4IRが水不足を過去のものにするうえで役立つ5つの例を紹介します。

水資源管理を改善するブロックチェーン

当事者間の取引を記録する、安全で透明性の高い分散型台帳を提供するブロックチェーン技術は、水資源の管理と取引のあり方を根本から変える可能性があります。何より、この機能を活用すれば、家庭、産業分野の利用者、水管理者、政策立案者など、誰もが水質や水量に関する同じデータにアクセスし、より十分な情報に基づく判断を下せるようになります。こうした透明性は、いつ水を節約し、いつ使うかという消費者の判断にも役立ちます。また、地方自治体が水質データを改ざんしたり隠したりする動機が生じうる状況で、不正行為の防止にもつながります。

ブロックチェーン技術は、特定の流域における水利権のピアツーピア取引も支援できます。十分な水を持つ、あるいは余剰資源を地域の他の利用者と分かち合う意思のある水利用者が、中央機関に頼らず24時間いつでも取引できるようになります。同じ流域の農家が、最新の気象データ、作物価格、市場動向、長期的な気候傾向に基づいて割当水量を取引するかどうかを決める場面を想像してみてください。その情報の多くは、すでに携帯端末から利用できます。

このように透明性の高いリアルタイムの水管理手法は、情報へのアクセスを民主化し、データ改ざんを防ぐことで、地域内および地域間の緊張を大幅に緩和できる可能性があります。Power Ledgerは水分野でのブロックチェーン活用を先導する企業の一つです。オーストラリアのフリーマントル市と現在進めている取り組みでは、スマート水道メーターのデータを活用したブロックチェーン基盤の取引システムを構築しています。

2017年、バングラデシュのクトゥパロン難民キャンプにいるロヒンギャの子どもたち。Image: Reuters/Hannah McKay

分散型の水再利用システム

2050年までに、73億人、つまり世界人口のほぼ70%が都市に居住すると予測されています。この都市人口増加の90%以上は新興市場で起こると見込まれており、資金面の制約、ガバナンス上の課題、気候の変動性などを理由に、大規模な中央集権型の水インフラが実現困難または望ましくない場合があります。

こうした環境では、分散型の解決策が従来の手法を補完し、安全な水と衛生サービスへのアクセスを広げるうえで重要な役割を果たします。サンフランシスコを拠点とするNGO、Imagine H2Oの代表スコット・ブライアンが指摘するように、「過去10年間の膜分離活性汚泥法(MBR)技術のコスト低下と効率向上に一部後押しされ、水の再利用は都市の建築環境や工業地帯で一般的な実践になり得ます」。

モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの4IR技術を活用した革新的な金融ソリューションやビジネスモデルは、こうした分散型の解決策を大規模に展開し、都市の健康とレジリエンスを高めるうえで不可欠となるでしょう。

水リスク管理に役立つ流域レベルの知見

南アフリカのケープタウンが現在直面している状況は、壊滅的な干ばつと水貯留量の長期的な減少を受けて蛇口が止められる「デイ・ゼロ」の事態をかろうじて免れたように見えますが、厳しい現実を映し出しています。世界各地の流域は、気候の変動性、人口増加、産業用水の利用など、水不足を引き起こすさまざまな要因によって、圧力が高まっています。

しかし今日、水に関連するリスクを追跡し、軽減する能力はかつてないほど高まっています。たとえばWWF、コンサベーション・インターナショナル、ダウ、アース・ゲノムなどが、流域の健全性を監視する有望な手法に着手しています。衛星画像をはじめとする地球観測に、リモートセンシング、IoT、AIなどの先端技術を組み合わせれば、流域リスクをより早く検知できる可能性があります。

さらに重要なのは、こうしたツールによってリスクを定量化し、それに応じた管理策を特定して実行できることです。次のケープタウンになり得る場所を10か所予測するだけでなく、壊滅的なリスクが現実になるのを防ぐ具体的な投資判断まで特定できたとしたら、どのような可能性が開けるでしょうか。マイクロソフト、オービタル・インサイト、アース・ゲノム、IBMなどの企業・団体は、水分野の内外ですでにこうした能力の一部を活用しており、実現可能性を示す貴重な例となっています。

フィリピンのマニラ湾の汚染水に飛び込む10代の若者たち。Image: Reuters/Romeo Ranoco

新たな水源を生み出す先端材料

地球上の水のうち、人間がすぐに利用できるのはわずか0.05%にすぎない世界では、増大する需要を満たすために新たな供給源が必要です。水不足に対処するあらゆる解決策において、先端材料の改良が重要な役割を果たします。

新たな種類のグラフェンベースの膜は、ここ数年着実に成長してきた海水淡水化市場に革命をもたらす可能性があります。また、材料の進歩により、科学者たちは空気中から水を取り出すことを、湿度に頼らず、より容易に実現できるようになりつつあります。この進展は、乾燥し水に乏しい地域に大きな変化をもたらす可能性があります。

水と衛生に配慮したスマートシティ

IoT、AIなどの先端技術を組み合わせることで、都市の水・衛生サービスの提供と維持管理に、前向きな変革をもたらすことができますし、今後もそうなるでしょう。都市のレジリエンスを高める改修でも、拡大する都市部のニーズに応える基礎的なサービス提供システムの設計でも、こうした技術は新たな知見と経済機会を生み出しています。

たとえば、トイレ・ボード連合は、インドのプネーなどで「衛生のデジタル化」に関する先駆的で意欲的な取り組みを進めています。こうした地域のトイレ網にセンサーやWi-Fiを組み込めば、公衆衛生や消費者行動、維持管理システムの質、ごみ収集・運搬ルートを最適化する必要性について、貴重なデータや情報が得られます。

これらは、国連の持続可能な開発目標6「すべての人に水と衛生へのアクセスを確保する」の達成を加速させるために、4IRが切り開く新たな解決策のほんの一例です。いま私たちにある機会は、こうした個々のイノベーションを結びつけ、規模を拡大することです。

これは自動的に実現するものではありません。技術を磨くことに加え、適切なガバナンスの枠組みと政策、社会の関与と受容、投資環境と資金調達モデルを整えることも重要です。官民の新たな協働やビジネスモデルの革新が、この課題の中核となります。

単一の技術で世界の水と衛生の問題を解決することはできません。しかし2018年の世界水の日には、確かに祝うべきことがあります。必要な解決策は、すでに手の届くところにあるのです。

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