EUは、農産物を同域内に輸入する事業者に対し、製品が森林破壊に関与していないことの証明を求める規制を導入しようとしている。
森林面積の大きい国は、他国より高リスクと分類される可能性が高く、論争が生じている。
高品質なデータを活用すれば、EUは環境規制の順守をよりきめ細かく確保できる。
EUはついに導入しようとしている。この画期的な規制は、農産物の輸入が森林破壊に関与していないことを企業に証明するよう求める。
推計によると、熱帯地域の森林破壊の90%超は農業に起因する。森林破壊と土地利用の変化は、さらに世界の炭素排出量の11%を占める。森林が豊かなブラジルでは、土地利用の変化に由来する国内排出量の割合は46%に上る。したがって、国際的な商品サプライチェーンに取り組まずして、気候危機を解決することはできない。
画期的な法律が成立した今、新たな課題が浮上している。輸出国、企業、環境保護団体は、デューデリジェンス要件がどのように機能するのかについても明確な説明を求めている。欧州への輸入を是正するだけでなく、自然を効果的に守る法律とするには、実施の詳細が極めて重要だ。
「高リスク」の表示
法律を成功させるには、欧州委員会が、公平で客観的かつデータに基づく枠組みに則って執行検査を行う方法を明確にする必要がある。国際的な議論では、疑念や混乱が生じ、一部からは特定の国や商品に対する「保護主義」や「差別」だとの批判も出ている。こうした見方を和らげるには、透明性のある説明と生産国との一層の協議が不可欠だ。
国を「高」「標準」「低」のリスクに分類する提案には、特に懸念が寄せられている。高リスク国からの輸入品もEU市場に入ることはでき、標準リスクとされた国と同じデューデリジェンス要件が適用されるが、執行機関による検査はより厳しくなる。
最大規模で森林資源が最も豊かな輸出国が、高リスクの表示を受け、それに伴う評判への打撃を懸念するのは当然だ。同時に、森林破壊に取り組むため、EUが早急に協力関係を築くべき相手もこうした国々である。
幸い、森林破壊データや分野別手法の改善は、有望な解決策をもたらしている。データの入手可能性は国や商品によって異なるが、EUが枠組みを策定する際、詳細さを犠牲にして幅広く網羅する「最低共通分母」のデータソースに限定すべきではない。森林破壊を効果的に抑制するには、入手可能な限り最良の情報を使う必要がある。
実際、作物や森林破壊の地図を含む比較的詳細なデータが、重要な分野のいくつかを網羅している。例えば、ブラジルの大豆や牛肉、インドネシアのパーム油が挙げられる。公式統計などの高品質な情報は、生産国自身がデータの透明性向上に多額の投資を行ってきたことを反映している。EUは、こうした資源を自らの取り組みに組み込む方法について、これらの国々と協議することで恩恵を得られる。
よりきめ細かな森林破壊リスク評価を、より公平に
特に有効な方法の一つは、国内の地域単位に焦点を当てることだ。規制はこの方法を認めており、これまで法律に向けられてきた批判の多くに応える可能性がある。
サプライチェーン・マッピングの進歩から、国全体では高リスクとされる場合でも、生産の大きな割合や多くの地域を、信頼性をもって低リスクに分類できることが分かっている。例えば、2020年のブラジルの大豆生産を調べた透明性向上イニシアチブのTraseによると、大豆を生産する約2,400の自治体のうち、わずか569自治体がブラジルの大豆関連森林破壊の99%を占めていた。

こうしたデータがある場合、国内の地域は、商品に関連する森林破壊の全国総量に占める割合に基づいて分類できる。例えば、合計で全国総量の1%未満を占める地域は、低リスクに分類できる。全国一律のリスク水準を設ける制度と比べ、貿易フローのより大きな割合について、簡素化された開示要件と、より軽度な執行検査を適用できる。
この制度は企業と規制当局の双方に利点をもたらし、規制の目的を損なうことなく順守コストを削減する。こうしたきめ細かなアプローチによって、法律の実効性を高められる可能性がある。最終的に、この規制は強力な執行があって初めて成功する。しかし執行機関は、新たな規制体制の下で開示される膨大な情報を評価するという難題に直面する。きめ細かなリスク分類があれば、限られた資源を、最も緊急に精査を要する輸入品に振り向けやすくなる。
EUは、分類を特定の商品ごとに設けることもできる。例えば、牛肉生産に伴う森林破壊が近年急増した地域でも、コーヒーの低リスク供給地である可能性はある。分野ごとの差異を認識すれば、すでに責任ある行動を取っている企業に負担を課さずに済む。
何より重要なのは、EUと生産国とのより広範な協力体制の中に、こうした分類を位置づけることだ。EUと南米の貿易圏メルコスールとの協議が再開すれば、こうした関係はさらに重要になる可能性がある。データや専門知識の交換を促すことに加え、EUは土地規制の執行を支援するための資金を拠出したり、森林破壊の危険が高い地域の農家に対し、森林を伐採しないよう地域に応じたインセンティブを提供したりできる。
EUは、商品生産に伴う森林破壊を、世界のサプライチェーン全体に及ぶ解決策を必要とする共通の問題として正しく捉えている。そうした解決策の実施コストも、公平に分担する必要がある。





