自然に着想を得たデザイン:アマゾンが人類の最大の課題解決にどう役立つか

A village of indigenous Yanomami is seen during Brazil’s environmental agency operation against illegal gold mining on indigenous land, in the heart of the Amazon rainforest, in Roraima state, Brazil April 18, 2016. REUTERS/Bruno Kelly
Biological systems in the Amazon are the result of millions of years of evolution. We must learn from themImage: REUTERS/Bruno Kelly
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アマゾンのシステムは、世界の温室効果ガス排出量の推定10年分を貯留し、毎年20億トンを超えるCO2を吸収するとともに、民族と言語の多様性が織りなすモザイクを呈しています。その生態系には陸上の生物多様性のおよそ25%が存在し、豊富な降雨は世界の海洋への淡水流入量の20%を生み出しています。

実際、アマゾンのシステムは、その機能が地球の健全性にとって重要であることから、現在の地質時代、いわゆる人新世における地球規模の共有財とみなすことができます。

アマゾンでは、土地利用の変化、気候変動、森林伐採という、環境変化をもたらす複数の大規模な要因が同時に作用しています。森林伐採が続けば、熱帯林に不可逆的な変化が生じ、生物多様性が大幅に失われるおそれがあります。地球システムモデルは、2050年までにアマゾンの森林の最大60%が消失し、その大半が、種の数がはるかに少なく、貯留する炭素も大幅に少ない乾燥サバンナに置き換わる可能性を予測しています。その結果、世界全体に壊滅的な影響が及ぶでしょう。

代替モデルを見つける必要性は、ますます差し迫っています。ブラジルの森林伐採率は2004年から2014年にかけて80%低下し、5,000km2に達しました。しかし、その後、伐採率は再び上昇し始め、2016年には約8,000 km2に達しました。

さらに、アマゾンの開発経路については、歴史的に次の2つの方式が主流でした。

1) 先住民族の居住地域を除き、広大な土地をあらゆる経済活動および人間活動から法的に保護する、価値ある自然保護の取り組み。

2) アマゾンの天然資源を、食肉や大豆などのタンパク質商品、地下の鉱物・石油・ガス資源、森林フロンティアにおける熱帯木材の生産に転換し、大規模な水力発電能力を整備することに重点を置く取り組み。

一方、アマゾンの生物システムは何百万年にもわたる進化の結果です。アマゾンの自然の形態、プロセス、生態系から学び、それらを模倣することで、いわゆる生物模倣資産が数多く生まれ、より持続可能な設計やイノベーションを創出できます。それらは、人類が緊急に必要としているエネルギー、水、食料、医療、素材、輸送の各産業の変革を加速させる基盤となります。

こうした資産を第4次産業革命の技術と組み合わせれば、自然に着想を得たナノサイエンスを可能にし、ナノ分子スケールの課題に向けて複雑な生物システムを再現できます。たとえば、環境に優しい新たなプロセスや、汚染の予防・修復技術、新しい繊維構造、新たなエネルギー生産・炭素隔離技術、ロボットの新たな応用、新しいセンサー、自動運転の共有型電気自動車向けの新たな人工知能アルゴリズムなどです。ほんの一例にすぎません。

さらに、世界の生物多様性に由来する天然物は約285,000種類ありますが、私たちが合成できるのはそのうち10,000種類にすぎません。アマゾンには陸上の生物多様性の大きな部分が集中し、私たちは3日ごとに新種を1種発見していることから、将来価値あるバイオ製品やバイオ素材を生み出すためのコードが数多く存在すると考えています。それらは、合成生物学、人工知能、ロボティクスと、アマゾンの生物資産を組み合わせて活用することになります。

しかし歴史的に、アマゾン諸国には、意図的か否かを問わず「バイオパイラシー」に対する根深い社会的懸念がありました。その起源は19世紀半ばにさかのぼります。英国人によるゴムノキの種子の「盗取」が東南アジアでのプランテーションにつながり、20世紀初頭にはアマゾンのゴム景気が終焉を迎えました。

こうした経緯から、私たちはアマゾン・サードウェイ(A3W)イノベーション・イニシアチブを立ち上げるに至りました。その長期目標は、「アマゾンの知的財産(IP)の現在および将来の価値を可視化し、森林の保全を通じてアマゾンの生物多様性に関するIPを守るための経済的インセンティブを大幅に高めると同時に、アマゾンの人々・先住民コミュニティと、世界各地のIPの商業利用者との間で利益を公正に分配できるようにすること」です。

アマゾンで生物に着想を得た起業家革命を始動し、加速させるため、私たちは世界経済フォーラムと連携し、志を同じくする有志連合の招集と構築を進めています。その目的は、ABC(アマゾン・コード・バンク)という、オープンな世界規模のデジタル公共財プラットフォームを設計・展開することです。このプラットフォームは、次の機能を備えます。

  • アマゾンの生物学的機能、生物模倣資産、生物資産をマッピングする

  • アマゾンの生物資産および生物模倣IP資産をブロックチェーン上に改ざん不能な形で登録・認証する

  • それらのIP資産の商業利用に伴う権利と義務を明文化し、最初からアマゾンの人々とIPの商業利用者との間で利益を公正に分配できるようにする

  • 「eBayのような」アマゾンIPの世界規模の市場を提供し、アマゾン諸国および世界各地におけるIPの提供者と利用者の間の検索・取引コストを削減する

アマゾンで生物に着想を得たデザインの展開を加速できれば、このアプローチを世界中の陸上および海洋の生物多様性ホットスポットに広げることができます。アマゾンの将来と、それが地球に及ぼす影響は、まさに岐路に立っています。時間は味方ではありませんが、私たちは今もサードウェイを選ぶことができます。

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