ローマ条約は1957年3月25日に調印され、欧州6カ国間の経済協定を確立した。これが最終的に、今日の欧州連合への道を開いた。
その春の日、フランス、ベルギー、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、そして当時の西ドイツは、全加盟国にわたる物品、労働力、サービス、資本の単一市場を目指し、関税同盟を結ぶことで合意した。各国は、自由で関税のない貿易がすべての加盟国に利益をもたらすという考えを基盤に、欧州経済共同体(EEC)を設立した。
ローマ条約から60年を経て、EECはEUとなった。貿易からテロ対策、観光まで、幅広い分野で協力する28の加盟国から成る連合だ。
EUがなかった場合に欧州がどうなっていたかを知るすべはないが、流血の歴史が長いこの大陸にとって、過去60年間はかつてない平和と繁栄の時代だった。
ブレグジットと欧州懐疑論の高まりがEUに深刻な課題を突きつける今、過去60年間の主な成果を振り返る。
1. 5億人に、どこでも暮らし、学び、働く自由をもたらした
人の移動の自由はEU単一市場の主要な原則の一つであり、移民への懸念がポピュリズムの反発を招くなど、議論の多いテーマでもある。しかし、現在のEUでは5億人を超える人々が、28の加盟国のいずれでも暮らし、学び、働く権利を享受していることを忘れてはならない。EU市民のおよそ1,400万人は、別の国に暮らしている。2014年の統計による。
EUはまた、シェンゲン圏を創設した。4億人を超える人々を対象とする、パスポート不要で国境を越えて移動できる地域だ。EU加盟国の大半に加え、EU非加盟国のアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインも参加している。シェンゲン協定があれば、理論上はパスポートを提示せずにビリニュスで列車に乗り、バレンシアで降りることができる。難民危機やテロ攻撃を受けて一部の国境検査が再開されたものの、協定は今も有効だ。
2. 世界最大級の単一市場を創設した
労働市場での移動の自由に加え、物品、サービス、資本の自由な移動によって、EUは世界でも最大級の単一市場の一つとなった。2004年と2007年の大規模な拡大で、主に中・東欧の12カ国が加わった。昨年の欧州連合のGDPは16兆5,000億ドルで、IMFによると、世界全体の22.8%を占めた。
個人の立場でいえば、フランスの消費者がポーランドからベビーカーを、あるいはイタリアからコーヒーメーカーを注文しても、輸入税を心配する必要はない。より広い視点では、ビジネスのしやすさが経済を大きく押し上げる。欧州統合はグローバル化というより大きな潮流と並行して進んだため、効果を正確に数値化するのは不可能だが、貿易障壁の撤廃が富を生み出すという点では経済学者の見解は一致している。
「もちろん、EU全域で事業を拡大しようとする民間部門にとって、これは利益になります。その結果、EUの消費者は競争力のある価格で幅広い選択肢を得られます。ただし、国ごとに残っていて、まだ調和されていない基準、規則、慣行もあります。それでも、特にデジタル分野では進展が期待できます」と、世界経済フォーラムの貿易・投資専門家、フランチェスカ・ビアンキ氏は述べた。
3. 2012年にノーベル平和賞を受賞した
ノーベル委員会はEUを称えた。その理由は、「60年以上にわたり、欧州における平和と和解、民主主義、人権の進展に貢献してきた」ことだった。
EUに加盟するには、3つの基準を満たす必要がある。政治面では民主主義を支える安定した制度、経済面では機能する市場経済、法制度面ではEU法とその運用の受け入れが求められる。この過程を通じて、かつての独裁政権や衰退した旧共産圏の経済が、平和的な移行を遂げた。
世界全体では、開発援助の半分以上がEUとその加盟国から拠出されている。
4. 死刑を廃止させた
1983年、欧州人権条約は新たな議定書によって改定され、死刑を廃止することになった。これはEUが直接成し遂げたことではないが、EU加盟への期待が欧州での死刑廃止に重要な役割を果たした。EUに加盟するには、まず人権機関である、より広範な欧州評議会に加盟する。死刑を廃止しない国は、欧州評議会に加盟できない。
5. 123万トンのバターの山を築いた
EUの共通農業政策(CAP)が議論の多い複雑な制度だったことは、熱心な親EU派でさえ認めるだろう。1980年代、苦境にある農家を支援するため、EUは農産物の価格を保証し、その結果、悪名高いバターの山やワインと牛乳の湖が生まれた。EUの砂糖政策も批判を招いた。特に、2002年のオックスファムによる批判は、欧州の精製業者への輸出補助金が、貧しい国の農家の競争を妨げているというものだった。EUは現在、輸出補助金を段階的に廃止している。
6. 欧州の海水浴場から汚水をなくし、パリ協定を批准した

EUは、世界最大規模の環境関連法制度を有している。その中には水浴場の水質基準も含まれ、多くの海辺のリゾート地で下水問題への対策が進んだ。昨年、EUは世界のCO2排出量を抑制するため、パリ協定を批准した。世界経済フォーラムの気候変動部門責任者、エミリー・ファーンワース氏は次のように説明している。
「欧州連合は、気候変動に関する国際合意の実現を力強く後押ししました。28カ国が別々に発言するのではなく、結束した一つの声として発言できたことが、気候交渉で大きな力となりました。大きな市場の存在は無視できません。
EUは初の主要な炭素市場を設立し、気候・エネルギー政策パッケージを通じて、野心的な排出削減、エネルギー効率、再生可能エネルギーの目標に合意しました。最初の目標年は2020年で、現在は2030年を目指しています。
生息地指令も好例です。25年にわたり、地域全体で欧州の生物多様性を保護してきました。この指令は、効果的な自然保護には政治的な境界線ではなく、自然環境を考慮した取り組みが必要だと認識しています。」





