従業員の補充には多額の費用がかかります。退職する従業員の年収の5分の1に達することもあります。では、雇用主はどうすれば従業員に長く働き続けてもらえるのでしょうか。
求人情報サイトのGlassdoorによると、仕事を辞める最大の理由は、企業文化がより優れた会社に移ることです。
Glassdoorは5,000人を超える人々の転職を調査し、従業員はほぼ常に企業文化を示す6つの指標(総合評価、キャリア機会、報酬と福利厚生、文化と価値観、仕事と生活のバランス、経営幹部の質)で、より高い評価を得ている雇用主へ移っていることを明らかにしました。
企業はどうすれば従業員を引き留められるのでしょうか。
一方で、従業員が現在の職場にとどまりたいと思う明確な理由もありました。Glassdoorは、自社ウェブサイトに掲載されている企業(60万社超)の評価やレビューを従業員の離職率と比較し、企業の総合評価や提供するキャリア機会、そして価値観が、従業員の優先事項の上位にあることを突き止めました。
企業の総合評価(1〜5段階)が1つ星上がると、従業員が次の仕事も同じ会社で続ける確率は4%高まります。キャリア機会と文化・価値観の評価が同じく1つ星上がると、従業員が次の異動先として社内を検討する可能性は5%高くなります。
予想どおり、給与も優先事項の上位にありますが、最も重要な要因ではありません。基本給が10%上がると、従業員が会社にとどまる可能性は1.5%高くなります。別の会社に転職すると平均5.2%の昇給を得られるにもかかわらず、こうした結果になっています。
興味深いことに、調査結果では仕事と生活のバランスはほとんど影響していませんでした。上司を好きかどうかも同様でした。
Glassdoorの調査結果は、ある学術研究によっても裏付けられています。この研究では、評価の高い企業ほど応募が多く、求職者の希望給与が低いことが明らかになりました。
従業員はどのくらいの期間、同じ仕事を続けるのでしょうか。
同じ仕事に就く平均期間は15か月です。一方、政府機関で働く従業員はより長く勤め、平均18.6か月でした。航空宇宙・防衛、メディア、IT、電気通信、非営利の各分野でも、平均より長く仕事を続けていました。
これに対し、建設業の従業員は平均10.6か月ごとに転職していました。バイオテクノロジーや不動産も、人の入れ替わりが速い業界です。
従業員は、入社1年目、2年目、3年目の節目ごろに退職する可能性も高くなります。Glassdoorは、雇用主が年次評価を行う時期と重なることが多いためだとしています。
Glassdoorによると、職場の文化を改善し、競争力のある給与を提示し、従業員がキャリアの階段を上れるようにすることで、雇用主は人材を定着させる可能性を高められます。
キャリアアップを目指す従業員にとって、新しい会社に移ることが最善の選択とは限らないと、調査は示唆しています。ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの論文によると、従業員は長期的に最も大きな恩恵を得られるのは、現在の会社で異なる役割を担うことによってです。一方、転職は当初の昇給につながるものの、キャリアアップの恩恵はより小さいことが分かりました。

