今日、世界各地で繰り広げられている主要な社会・経済・政治論争の中心には、仕事の未来があります。国境に壁を築くこと、南欧の海岸に上陸する移民、新疆ウイグル自治区での監視政策、ハードまたはソフトなブレグジット、パリのタクシーサービス、そして上位1%への富の集中は、いずれも仕事の性質と分配を浮き彫りにする事柄です。
力は仕事と、仕事が生み出すお金から生まれます。仕事がなければ、無力さが生じます。人々が、仕事はかつてない速さで変化していると理解する今、2019年にはとりわけ切実な問題です。賭けられているものが大きいからこそ、議論は激しさを増しています。
仕事がこれほど急速に変化している最大の理由は何でしょうか。テクノロジーです。日々進歩するツールを使い、想像を絶するほど難しい問題を解決する優秀な人々が活躍する、新たなデジタルの世界が開かれました。台頭するものに興奮し、活気づけられる人は大勢います。しかし、そうでない人もいます。経済のはしごにかろうじてつかまっていた多くの人々は、その手が今にも滑り落ちそうだとおびえています。
第4次産業革命はすでに始まっている
誰もが機械を追い越そうと圧力を受けています。私たちは一人ひとり、機械があらゆることをするようになったとき、何をすべきか考えなければなりません。機械があらゆることをするようになったときある人はとどまって戦い、ある人は逃げるでしょう。機械に指示を出す人もいれば、指示を受けることに満足する人もいます。おとなしく従う人もいれば、激しく反抗する人もいるでしょう。
こうした不確実性の中で広がっているのは、人間の仕事はなくなっていく、私たちは皆、破滅する運命にあるという見方です。次々と発表される研究の中でも、とりわけ有名なオックスフォード大学の2013年の報告書は、米国の雇用のほぼ半分が機械による置き換えの危機にさらされていると示唆しています。こうした論文は、仕事のない世界について暗い見通しを伝えています。古くからの言い回しを借りれば、恐怖を感じていないなら、十分な情報を得ていないということです。
1974年、英国の政治家キース・ジョセフはこう述べました。「私たちは30年間、経済効率を犠牲にして社会の平穏を買おうとしてきた。その結果は予想どおり、あらゆる面で最悪だった。非効率が生み出したのは低い業績であり、それが社会的不満につながった」。
2019年に話を進めると、西側諸国が経済効率を幅広く重視してきた45年を経て、社会的不満は再び、民間・公共部門のリーダーが直面する最も差し迫った問題の一つとなっています。
勝者と次点者の間の隔たりが広がるうえで、テクノロジーが一役買ったことに異論はほとんどないでしょう。最もイデオロギーにとらわれた人を除けば、誰の目にも明らかです。自動化、裁定取引、そして経済効率のプリムソル・ラインの進展を追ってきた人々は、ここ数十年で大きな成果を上げました。新たな生産手段を身につけた人々は、目覚ましい成功を収めました。反対に、変化についていけなかった人々は、利益の取り分が消えていくのを目の当たりにしました。したがって、こうした生産手段をより多くの人々の手に委ねることが、エリート層にもそうでない人々にも重要な経済効率と社会の調和の両方を確かなものにする、最も確実な道です。
もちろん、(意図せぬ)皮肉なことに、新たな生産手段は文字どおり今や誰もの手の中にあります。スマートフォンがあれば、ザンビアの10代の若者はYeezyを取引でき、カラマズーの半ば引退した高齢者はサクラメントの顧客に相談でき、チューリヒの専業主婦は、子どもが昼寝をしている間に作ったオーダーメイドのジュエリーを販売できます。こうした機会を広げ、それを活用するだけでなく生み出す力も、より多くの人々の手に届けることで、富の創出と分配のニーズに応えられます。
こうした機会が広がっていることは、人間の仕事には未来があるという私たちの見方の核心です。実際、私たちの根本的な信念は、人間の想像力と創意工夫が、未来永劫、人間の仕事の源泉であり続けるということです。もちろん、将来の仕事の内容は変わるでしょう。しかし、すべての仕事を機械が担う世界というのは、大きな技術革新の時期に繰り返し現れる、見当違いの幻想です。
第4次産業革命時代の仕事
仕事はどれほど変わるのでしょうか。私たちの報告書「未来の仕事21選」と「未来の仕事21選・続編では、今後10年間に登場すると見込む仕事の例を紹介しています。ウォーカー/トーカーのように高度な技術を要さず、ある程度想像しやすいものから、遺伝的多様性担当官のように非常に高度な技術を要し、想像しにくいものまで、新たな仕事は多岐にわたります。
未来の仕事には、高度な技術を要するものもあれば、そうでないものもあります。すでに市場で見られるものもあれば(よく目を凝らせば)、実現まで何年もかかるものもあります。60年間のキャリアにつながるものもあれば(私たちの多くが近く働くことになる期間です)、現れては消える「ギグ」もあるでしょう。
未来の仕事を考えるにあたり、私たちはスキルの「4つのE」を提示しました。
永遠に続くもの
人間の能力の中には、私たちの誕生以来存在してきたものがあります。赤ちゃんにげっぷをさせること、親指を使うこと、棒や石、火を活用すること、集団で協力すること、適応すること。テクノロジーがどれほど素晴らしいものになっても、こうした人間の能力は、ほかの多くの能力とともに、永遠に価値を持ち続けます。
長く続くもの
カラハリ砂漠のブッシュマンには物を売る機会があまりなかったとしても、販売のスキルは常に重要でした。共感する、信頼する、助ける、想像する、創造する、努力するなど、ほかの長く続く能力も、常に必要とされます。長く続くスキルは、未来の仕事の中核です。
新たに生まれるもの
将来、新たに求められるスキルは、仕事の複雑さ、密度、速度に関わるものです。315MBのExcelスプレッドシートを扱えるだけのスキルがありますか。ドローンの仮想コックピットで感覚が圧倒される状況に対処できますか。サイバー境界が突破される前に、どの共通脆弱性スコアリングシステムへの対応を最初に取るべきか、次の15秒以内に判断できますか。反射神経が速く、まばたきをせず、eスポーツで鍛えられ、複数の作業を同時にこなせる人材を求めています。
衰退するもの
必然的に、今年の最先端スキルは来年にはありふれた必須要件になります。20年前、コンサルティング会社はスライド資料のデザイナーを大勢雇っていました。今では、入社初日にプレゼンテーションを作れない新卒社員がいたら、周囲は驚くでしょう。ソーシャルメディアで存在感のないマーケティングマネージャー候補者には、再度の連絡はありません。衰退するスキルのリストは日ごとに長くなり、その多くはテクノロジーに関係しています。今ではフィルムを装填したり、UUCPネットワークを構築したりする必要はほとんどありません。自分のスキルの多くが衰退リストに載っているなら、再起動の時期かもしれません。
仕事の未来は再構築されつつある
今日の恐れと不安は、かつてない速さで変化する世界と、労働人口から退出しつつある大勢の人々(必ずしも年配者ばかりではありません)から生じています。自動車工、会計士、人文系の教授として生計を立て、家族を養い、自分のアイデンティティを築いてきた人にとって、新たな職種の一つであるアルゴリズム・バイアス監査人になることは、まったく受け入れがたいことに思えるかもしれません。
それは自然で理解できることです。しかし、何よりも、とりわけ組織の幹部リーダーにとって、それは間違いです。世界は常に変化してきましたし、これからも変化し続けます。私たちが携わる仕事も常に変化してきましたし、これからも変化し続けます。
ジェイコブ・ブロノフスキーの1973年の古典的著作『人間の進歩』で、彼はこう記しています。「私たちは皆、自信や未来、世界を案じて恐れている。それが人間の想像力の本質だ。それでも、すべての人間、すべての文明は、自らが取り組むと決めたことに関わることで前進してきた。一人の人間が自らの技能に注ぐ個人的な献身、そして知的な献身と感情的な献身が一つとなって、人類の進歩を築いてきた」。
これこそ、今なお私たちの時代の大きな課題です。自ら取り組むと決めたことに向き合い、未来に関わっていくことです。

