戦略計画における二つの大きな落とし穴

戦略計画における二つの大きな落とし穴
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タクシー会社を経営しているとして、Uberが台頭する世界にどう適応すればよいでしょうか。すぐに答えは思い浮かびませんし、私自身がその課題に直面していないことをありがたく思います。ほとんどの組織は、少なくとも今のところ、そこまで厳しい状況にはありません。しかし、既存組織のリーダーである私たちは皆、変化する世界に向き合わなければなりません。そこでは、まったく新しい方法で事業を展開する新たな競争相手が生まれています。成功を続けるには、業界の新たな現実に合わせて組織を再編する必要があります。

第一歩は、新しい世界で自らがどこに、どのように位置づけられ、目標をどう達成するのかを明確に示す、新たな戦略計画を策定することです。これはトップリーダーの重要な役割の一つです。しかし、こうした新たな戦略計画の策定を主導する際、リーダーが犯し得る大きな誤りが二つあります。私が見てきた限り、既存組織のリーダーの大半は、どちらか一方の誤りを犯しがちです。

二つの誤りの一つは、戦略計画を、現在行っていることをどう改善するかを考えるプロセスだと捉えることから生じます。チームを集め、組織全体から意見を募り、取り組みのすべてを分析します。着実に、より良く、より速く、より低コストで、顧客中心のやり方で、新たな市場で実行する方法を見つけていきます。組織の全員が新計画に賛同し、新たな戦略を実現するための戦術を練り始めます。おめでとうございます。あなたは組織を、まもなく時代遅れになるかもしれないことに、かつてないほど長けた存在にしたところです。

これは戦略計画における「馬車の鞭」型のアプローチです。その根底にある誤った前提は、自社の事業を適切に定義できており、変化する世界に対応するための資産や資源も適切に備えているので、あとは微調整、改善、拡大に集中すればよい、というものです。この前提には、おそらく致命的な欠陥があります。今日、世界は容赦なく、ものすごい速さで変化しています。より優れた馬車の鞭、より効率的な旅行代理店、アプリで利用できるタクシーサービス――これらは、致命傷になりかねないものに貼るばんそうこうにすぎません。こうして「Uberに取って代わられる」のです。

では、その点を理解したとしましょう。従来の事業を刷新するのではなく、変化する世界の要求や期待に応えるには、どのような事業を手がけるべきか、と問いかけます。新たな機会がどこにあるのか、まったく新しいツールを基盤とする新たな事業手法とは何か、顧客が組織と根本的に新しい方法でどう関わっているのかが見えてきます。そして、こうした刺激的な気づきを軸に、まったく新しい能力とアプローチを備えた有力なプレーヤーとして組織を再創造する戦略計画をまとめます。ところが――今度は、戦略計画におけるもう一つの落とし穴、「四角い杭」型のアプローチにはまってしまいました。

事業を完全に再創造できるのは、一般に機動力のある新興企業の特権か、崩壊しつつある組織が最後に打つ苦し紛れの一手です。相当な資産や資源を背景に、競争環境の中で今も役割を果たしている大規模組織にとって、事業の根本的に新しいやり方を軸に全面的に再構築する取り組みは、混乱を招き、無駄に終わる可能性が高いでしょう。何十年もかけて築いてきた能力や関係を、必要もないのに捨てることになります。社員を、本人が望んだわけでもなく、得意とも限らない仕事に押し込むことにもなります。

自らをUberのようなサービスに転換し、成功を収めた大手タクシー会社はあるでしょうか。

そこにリーダーのジレンマがあります。組織のアイデンティティ、文化、資産に背を向けずに、業界の変化にどう適応すればよいのでしょうか。

鍵となるのは、組織内部と外部の双方からの指針のバランスを取ることです。つまり、この取り組みに組織全体の人々を参加させたい一方で、集団思考や、外で起きていることを否定して古いやり方にしがみつく内向きの姿勢に陥ってはなりません。また、潜在的なパートナーや外部の視点も活用しながら、現れつつある新たな事業環境を徹底的に探りたいところです。ただし、これまで組織を成功させてきたものとのつながりを完全に失わないようにする必要があります。

このように慎重にバランスを取れば、新たな環境で競争するために組織に必要となる、重要で広範に及ぶ可能性のある変化への道筋を示す戦略計画につながります。ただし、それは人材、能力、その他の資産を捨てて代替手段を探しあぐねるような変化ではなく、それらを土台とし、活用する変化です。

この記事は、 LinkedInとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:Steven J. Thompsonは医療分野の経営幹部で、現在、ボストンのBrigham & Women’s Healthcareで上級副社長兼最高事業開発責任者を務めています。

画像:2012年11月20日、パリ西部の金融地区にあるラ・デファンスの大アーチの下を歩く女性実業家のシルエット。REUTERS/Christian Hartmann。

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