私の祖母は87歳で、カリフォルニア州のリタイアメント・コミュニティで暮らしています。読書と中国のソープオペラを見るのが大好きです。週に2回教会に通い、麻雀というゲームをするのが好きです。活気にあふれ、充実した人生を送っています。
さて、祖母の秘訣を知りたいと思いませんか? それはスンさんです。スンさんは祖母の介護者です。週に数日、母の家を訪れて掃除と料理を手伝ってくれます。スンさんは、その名前の「太陽(Sun)」のように温かく変わらぬ存在で、必要なときにはいつでも祖母と私たち家族のそばにいてくれます。
ナニー、高齢者介護者、パーソナルアテンダント、家事代行者など、米国中の多くの人々と同様に、スンさんは私の家族、地域社会、国、そして経済に大きく貢献しています。しかしスンさんとは異なり、ほとんどの家事労働者は、たとえ賃金が支払われるとしても、貧困水準の賃金しか受け取っておらず、労働者保護や基本的な福利厚生もありません。多くは非正規移民で、市民権を得る手段もありません。私たちを大切にケアしてくれる人々は、そのお返しとして大切にされていないのです。
私は、スンさんのような人々の組織である全米家事労働者連合(National Domestic Workers Alliance)を運営しています。これはナニー、家事代行者、介護労働者、パーソナルアテンダントの全国的な会員組織で、私たちの地域社会で最も価値のある仕事の一部を担っています。朝早く起きて子どもを学校に送り届け、家を掃除し、高齢の親の世話をし、障害のある近所の人々が自立した生活を送れるよう手助けしてくれる男性と女性たちです。
今日の経済において、私たちの生活が成り立つために家事労働者に頼る人は増える一方です。彼らは、他のあらゆる仕事を可能にする仕事を担っています。それにもかかわらず、その価値は著しく過小評価されています。1974年に米国議会が最低賃金の要件と時間外労働の保護を拡大した際、議会は農業労働者と家事労働者という2つの労働者グループを明示的に除外しました。議会は事実上、農業労働者と家事労働者は、他のすべての労働者より劣る存在として異なる扱いを受けるべきだと決定したのです。そして、実際にそのように扱われています。
米国は重大な岐路に立っています。8秒ごとに、米国人が1人65歳を迎えています。今後10年間で、7,900万人の米国人が高齢者になります。同時に、両親ともに家庭外で働く二親家庭も増えています。ケアワーカーへの需要は急速に高まっています。これは好機です。ケア経済を、わが国 と 家事労働者のニーズに応えられるよう作り直すことです。
いくつかの推計によれば、2020年までに高齢者介護の新たな労働者が少なくとも200万人必要になるでしょう。必要とされるすべての家庭に、質が高く個別化されたケアと支援を届ける仕組みを構築できます。そのために「Caring Across Generations(世代を超えたケア)」が立ち上げられました。ケア利用者、労働者、家族をつなぎ、在宅ケアにおける質の高い雇用を創出するとともに、すべての人にとってより手頃で利用しやすいケア、支援、サービスを実現することが目的です。
祖母は私に、ケアすることこそ人生最大の贈り物だと教えてくれました。私たちは、放課後に迎えが必要なすべての子ども、通勤に支援が必要な障害のあるすべての人、食事を必要とするすべての高齢者のもとへ、ケアと支援を届けることができます。
私たちは、すべての家庭にケアを届け、 そして 私たちすべてに与えてくれる尊厳、敬意、親切さをもって、ケアワーカーを遇することができます。
一連の ブログ記事 を、世界経済フォーラムの ヘルス・チームが編集し、数多くの一流の識者が、4月7日の世界保健デーに向けて、健康と医療に関する見解を発表します。
執筆者:Ai-Jen Pooは、Caring Across Generationsの共同代表であり、世界経済フォーラムの 2013年ヤング・グローバル・リーダーです。
写真:北京で麻雀をする高齢者たち REUTERS/Kim Kyung-Hoon
