チュニジア南部、リビアとの国境沿いにあるタタウィンを訪れると、まず目に入るものの一つが、「トリポリまで290キロ、チュニスまで530キロ、ランペドゥーザ島まで345キロ、モスルまで3,100キロ」と記された道標です。タタウィンは映画『 スター・ウォーズ 』のロケ地となり、地元経済を一時的に 活性化させ ました。しかし今日、この地域の 失業率 はチュニジアで最も高く、37%前後に達しています。積極的労働市場政策や就職相談など、チュニジアの公的雇用プログラムの大半は大学卒業者を対象としていますが、同国の失業者全体の70%には大学の学位がありません。この道標は、仕事の機会を求めて移住すること、そしてそれに伴うリスクが、彼らに残されたほぼ唯一の選択肢であることを常に思い起こさせます。
私たちは地方政府、市民社会、民間セクターと連携し、この「選択肢の課題」に取り組みました。 共同で立ち上げた プロジェクト では、地域社会と民間セクターに、持続可能な生計への道筋を設計する際の選択肢を広げたら、何が起きるのかというシンプルな問いを掲げました。こうした道筋は、選択の余地が乏しい従来の 公的雇用 プログラムや セーフティネット プログラムと比べてどうでしょうか。このプロジェクトでは、社会的セーフティネット(低所得で技能の低い失業者を対象とした現金給付)と、地元の民間雇用主や市民社会団体が設計・実施する有給の職場内訓練を組み合わせました。
では、何が分かったのでしょうか。
第一に、このプロジェクトは、ほとんどの公的雇用サービスから取り残されている脆弱な人々に届きました。 登録した受益者のうち70%が女性で、74%が35歳未満でした。受益者のほぼ全員にあたる92%は、初等または中等教育しか受けていませんでした。
第二に、このプロジェクトは、これまで活用されていなかった分野やサービスにおけるキャリアの機会を切り開きました。 就職した受益者の多くは、訓練に関連する小規模企業の給与所得者となり(65%)、残りは自営業者となりました(35%)(図1)。雇用主との強固で、最もよく連携されたネットワークを持つ職場内訓練では、就労への移行が最も円滑で、漁業では就職率が90%に達しました。
では、なぜ受益者はこのプログラムを好意的に受け止めたのでしょうか。 受益者の75%超が自身の経験を非常に満足のいくものと評価しました。これは、公的雇用プログラムを利用した少数の低技能受益者における平均16%と比べて高い割合です。最大の理由は「職務経験を得る機会」で、プロジェクト受益者の72%が挙げました。
図1:プログラム修了から6か月後に入手できた、受益者183人のサンプルに関する雇用データ。

出典:チュニジアSPFプロジェクトのモニタリング・評価データベース、2014年。SPFプロジェクトの受益者総数=4,260人。調査対象の初期サンプル数=1,460人。6か月以内に仕事を見つけた受益者数=183人。
このプロジェクトから得た最大の教訓の一つは、地域の雇用プログラムは効果を上げ得るものの、賢明な設計が必要だということでした。 すなわち、(1)失業者の属性に合わせ、(2)地方当局、民間セクター、市民社会団体といった主要な関係者に、地域レベルでより多くの選択肢と関与の機会を与えることで、地域市場に合わせる必要があります。今後は、持続可能性を確保するため、民間投資の拡大と社会保障の適用範囲の拡大をこれらの取り組みと組み合わせる必要があります。選択肢が限られているチュニジアの人々にとって、こうした連携を広げることは、新たな機会へとつなぐ助けとなるでしょう。
この記事はもともと 世界銀行の「Voices and Views: MENA Blog」に掲載されました。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。 」
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著者:ヘバ・エルガッザーは、世界銀行中東・北アフリカ地域の人間開発局に所属する上級エコノミストです。
画像:チュニスで開催中のチュニジア制憲議会の全景。REUTERS/Zoubeir Souissi。
