アラブ世界の若者の失業にどう取り組むか

アラブ世界の若者の失業にどう取り組むか
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「修士号を取得してもまともな仕事を見つけられず、そのことにいら立ち、自分が暮らす国が嫌いになりました」と、ケフィ・ガジ氏は説明した。首席で卒業したにもかかわらず、チュニジアの故郷チュニスで3年間、仕事を探し続けていた。

彼のいら立ちは、彼だけのものではなかった。チュニジアの若者の42%超が失業しており(チュニジア国立統計研究所、2014年)、中東・北アフリカ(MENA)全域では、若者の4人に1人以上が労働市場から締め出されている。この地域の女性については、統計はとりわけ厳しい現実を示している。現在、就業している女性は5人に1人未満だ(OECD、2013年)。

キャリアサイトとして中東を代表するBeyt.comによる 最近の調査 によると、中東のミレニアル世代の79%が、自分たちの世代が直面する最大の課題は仕事を見つけることだと答えている。

こうした若者たちが身をもって知るように、MENAにおける若者の雇用を妨げる障壁は、まさに現実のものだ。しかし、若者の雇用機会にこそ可能性があると考え、私は Education For Employment (EFE)を、需要主導型の職業訓練・就職支援組織のネットワークとして設立した。幅広い業界で数十年にわたり事業を立ち上げ、成功させてきた経験から、企業レベルであれ国レベルであれ、経済的成功には熟練人材へのアクセスが不可欠だと、私は身をもって知っていた。

この地域の紛争や不和を伝える世界の見出しを見て、意味のある雇用の伸びが近い将来に実現するのか疑う人もいる。はるかに広大な地域のごく一部だけに焦点を当てる世界のメディアは、現地および国際的な関係者による適切な支援があれば、この地域の若者の雇用見通しを変え得る変化を見過ごしがちだ。

シティ財団の資金提供を受けた最近の報告書、 「MENAにおける若者の雇用:課題と機会」 で、EFEは、いくつかの業界が大規模な初級職の雇用機会を生み出すうえで有望な位置にあり、若い労働者がもたらす活力と創造性から大きな恩恵を受けると明らかにした。

たとえば、MENA地域では法制度・規制制度の改善、ブロードバンド・インフラの整備、デジタル技術の急速な普及により、情報通信技術(ICT)が近い将来の雇用創出に最も有望な分野の一つとなっている。現在の業界成長のペースが続けば、今後5年間で約440万人の雇用を生み出す可能性がある(Strategy&、2012年)。

高速インターネット接続が急速に広がるなか、MENAには基礎的な英語またはフランス語の能力を持つ若者が比較的多く、ITおよびビジネス・プロセス・アウトソーシングの有望な拠点となっている。恵まれない地域社会にデジタル技術を活用した仕事をもたらす 「インパクト・ソーシング」 への国際的な関心の高まりは、この分野の機会を促進する可能性がある。すでに、アクセンチュアやビスタプリントなどの大手国際企業は、EFEなどの組織と提携することで、世界的に競争力のあるコストと業務品質を備えた初級職の人材を採用し、同時に特に失業率の高い地域社会にプラスの社会的影響を生み出せることを実感している。

ICTはMENAで女性を雇用する主要分野の一つであるため、こうした成長から最も大きな恩恵を受けるのは女性となる可能性がある。 Nabbesh.com のようなオンライン就労プラットフォームが登場し、家族への責任を担う労働者に柔軟性をもたらすとともに、文化的な配慮から労働市場への参加が難しい場合でも、女性が自宅で働けるようにしている。

MENAの小売業界では、特に観光客の多い地域を中心に近年近代化が進み、政情不安や世界的な景気後退にもかかわらず、大幅かつ持続的な成長を遂げている。供給・流通、在庫システム管理、財務、販売など多様な選択肢を提供するこの分野は、幅広い若年労働者に雇用機会をもたらすうえで、独自の強みを持つ。

さらに、テクノロジーに精通したアラブの若者が電子商取引の成長を牽引し、この分野の拡大を担う人材となっている。PayFortの 「決済の現状レポート2014」によると、アラブ世界の電子商取引決済は年率45%で成長しており、その伸び率は世界のどこよりも高い。従来型の教育機関では、電子商取引に必要なスキルを備えた初級職の人材を十分に育成できず、Souq.comなど地域の業界大手は人材の採用に奔走している。この不足を補うため、従来とは異なる教育機関が参入している。たとえば、最近ではSouq.comのエジプト従業員の40%超がEFEの卒業生だった。

「MENAにおける若者の雇用:課題と機会」が指摘するように、大規模な雇用創出の可能性は小売業やテクノロジーにとどまらず、農業、自動車、医療、観光など多様な分野に広がっている。

これらの業界は雇用創出の有望な土台となるが、成長が保証されているわけではない。アラブ諸国の若者の失業という課題の規模は、いずれか一組の関係者による個別の取り組みだけでは及ばない。したがって、地域、域内、国際の各レベルで、また公共部門と民間部門の双方で、協調した取り組みが必要だ。

世界経済フォーラムは、こうした複数の関係者による議論を行動へと移すための理想的な場を提供している。私たちは一丸となって、MENA地域の若者の雇用を社会的・経済的な必須課題として優先し、その大きな力を認識する必要がある。それは、この地域を不和に陥れる力にも、さらなる活力の新たな段階へと高める力にもなり得る。

この記事は、フォーラムの 2015年年次総会 (1月21~24日、スイス・ダボス=クロスタース)に合わせ、ハフィントン・ポストと世界経済フォーラムが制作したシリーズの一部です。 シュワブ社会起業家財団 のメンバーは、世界の現状を改善する形で、世界、地域、業界の議題づくりに取り組む社会起業家の選抜コミュニティを構成しています。シリーズの全記事は こちらからお読みいただけます。

本記事は、 ハフィントン・ポストとの協力のもと掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ロン・ブルーダー氏はEducation For Employment(EFE)の創設者兼会長です。スイスのダボス=クロスタースで開催される世界経済フォーラムの2015年年次総会に参加し、シュワブ財団の社会起業家でもあります。

画像:2009年4月1日、トロントの就職フェアで掲示された求人掲示板を見る男性。REUTERS/Mark Blinch(カナダ・ビジネス)。

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