5月1日から、エスティ ローダーの米国従業員は、子どもをもうける、里親になる、または養子を迎えることを選んだ場合、性別、ジェンダー、性的指向を問わず、20週間の有給休暇を取得できる。また、自ら妊娠・出産する場合は、さらに6~8週間の有給休暇が付与される。
今回の新たな福利厚生は、同社が拡充した家族向け福利厚生プログラムの一環だ。エスティ ローダーの従業員は、養子縁組費用として最大1万ドル、不妊治療費として2万ドルの補助を申請できるほか、育児や介護のサービスを割引料金で利用できる。
週30時間以上勤務し、入社から少なくとも3カ月が経過していれば、時給制・月給制を問わず対象となる。変更前、エスティ ローダーは対象従業員に12週間の有給育児休暇を提供し、不妊治療費として年間最大2万ドルを補助していた。
さらに同社は、新たに親となった従業員向けに、職場復帰への移行プログラムを開始する。この6週間のプログラムでは、勤務場所や時間に柔軟性が認められる。例えば、希望すれば新米の母親は週に数日、在宅勤務できる。父親の場合は、通常の9時から17時までの勤務より早く出勤し、早く退勤するよう勤務時間を調整できる。また、エスティの新たな育児・介護プログラムの対象者は、1時間当たり8ドルの自己負担金を支払う。
エスティ ローダーほどの大企業にとって、新しい育児休業制度は手厚いものだ。米国の多くの育児休業制度は、出産した母親を優先するため、父親や養親、里親、LGBTの親には限られた福利厚生しか提供しない。また、時給制の従業員は十分な有給休暇を取得しにくい傾向がある。その一方で、彼らは新生児の保育費用を負担できない可能性がより高い。
養子縁組費用へのこれほど大きな補助も、かなり珍しい。米国の親にとって養子縁組にかかる費用は、平均で3万4,093~3万9,966ドルに上る。近年、養子縁組費用の補助を福利厚生に含める米国の大企業が増えている。例えばアメリカン・エキスプレスは、対象となる月給制・時給制の従業員に、養子縁組1件につき最大3万5,000ドルを支給する。
エスティ ローダーのグローバル福利厚生担当エグゼクティブディレクター、ラトリシア・パーカーによると、制度を拡充した理由の一つは、求職者が他社の福利厚生と比較する際に競争力を保つことだった。また、エスティの米国従業員の約84%は女性であり、男性よりも育児休業を長く取得する傾向がある。
エスティの拡充された福利厚生制度は、家族のあり方が多様であることも認めようとしている。従業員は、自ら妊娠・出産できるかどうかにかかわらず、養子を迎えたいと考えるかもしれない。父親が主たる養育者となり、追加の休暇を必要とする場合もある。
「医療保険や歯科保険のような、より従来型の福利厚生に重点を置く傾向から、全般的に変化が見られます」とパーカーはBIに語った。「今は、雇用主が何がその人にとって正しいかを決めるのではなく、個人が中心です。従業員は自分が利用できる選択肢を知りたいのです……私たち[エスティ ローダー]は、従業員の家族がどうあるべきかを決めつけたくありません」
化粧品大手の同社は、米国で最近、家族休暇制度を同様に改定した複数の大企業に続く動きだ。2018年2月時点で、全米の従業員数上位20社は、少なくとも一部の従業員に有給育児休暇を提供している。その中で、IBMは時給制・月給制の従業員に最も手厚い家族休暇制度を提供しており、出産した母親には20週間、その他の親には12週間の有給休暇を付与する。例外的なケースとして、ネットフリックスは2015年に発表し、親に最長1年間の有給休暇を付与している。
この3社はいずれも、全国平均の産休期間である、一般的な給与水準の女性の場合の2.8週間を大幅に上回る期間の有給育児休暇を提供している。2017年の報告書によると、米国では1億1,400万人以上が、何らかの有給育児休暇も利用できない。
家族・医療休暇法は現在、女性に雇用が保障された12週間の無給休暇を認めているが、対象とならない労働者も多い。さらに、低賃金の仕事に就く人のうち、有給の家族休暇を利用できるのはわずか6%にすぎない。


