パンデミックによって従業員満足度の低下は深刻化し、世界的に離職率が上昇しています。
新たな調査から、人々が仕事をどう感じ、雇用主に何を期待しているかが明らかになりました。
組織が従業員を惹きつけ、定着させるための3つの方法を紹介します。
忠誠心の時代が終わることは、ずっと前から予兆されていました。従業員の会社への忠誠心は、パンデミック以前から20年にわたって低下していました。今や、健康危機、過酷な業務量、家族への責任を同時に抱える日々が1年以上続いた結果、主要国の大半で離職率が過去最高に達しています。
驚くことではありません。2021年9月のデータによると、ホワイトカラー、ブルーカラーを問わず、仕事に満足している従業員は約半数にすぎません。このデータは、過去1年間に10か国で10万人以上を対象に実施した月次調査によるものです。調査対象者のうち、米国、英国、カナダ、ブラジルでは約25%がすでに退職したか、退職を予定しています。一方、ドイツでは20%、フランスでは17%、スペインと中国では14%が退職しています。さらに、世界の従業員の18%が積極的にではないものの、新たな仕事を探していることは、この数字に含まれていません。
なぜ忠誠心は失われたのか?
パンデミックが変化を加速させましたが、忠誠心の低下は何十年もかけて進んできたものです。最低賃金は過去50年間、生活費の上昇に追いつかず、従来の「家族を養える賃金」の時代は終わりました。そして多くの家庭が生計を立てるために、フルタイムで働く稼ぎ手が2人いることが新たな標準となりました。これはブルーカラーだけの問題ではありません。生産性が向上する一方、その恩恵は従業員よりも株主に不均衡に分配されてきました。この現象は、あらゆる所得層に当てはまります。
頻繁に「転職」を繰り返すミレニアル世代は、大離職時代を予告していました。この世代の最年長は現在40歳ですが、雇用主の忠誠心を当てにできたことはありません。金融危機の最中に卒業し、限られた就職先と減少する企業年金に直面した彼らは、給与を上げ、機会を広げる鍵は会社への忠誠ではなく、転職を含む流動性だと気づきました。
2021年に話を進めましょう。労働力を構成する4世代は、いずれもパンデミックによる世界的な混乱が続くのを目の当たりにしています。Z世代からベビーブーマーまで、誰もが賃金の停滞に疲れ、より大きな安心と機会を求めています。懸命に働き、黙々と尽くすことは、繁栄や社会的上昇への確かな道ではなくなりました。この現実が身近なものとなるにつれ、上の世代も、かつて「忠誠心がない」とされたミレニアル世代に似た行動を取り始めています。

どうすれば忠誠心を取り戻せるのか?
パンデミックが収束に向かうなか、雇用主は、従業員が新たな価値観を身につけ、それが長く続くものとなっていることに気づいています。そこには、予想以上に多様な要求も含まれます。「欠かせない条件」の新たなリストの上位には、より良い賃金、より大きな柔軟性、そして個人的な充実感があります。かつては、柔軟な勤務時間なら給与が低く、機会も少ないという、予測可能なトレードオフがありました。最も高い賃金を払う企業は、最も優秀な人材を維持できる傾向にありましたが、今はそうではありません。集団的なトラウマを経て変化した価値観を反映した、新たな従業員と雇用主の契約が生まれつつあります。
調査によると、何よりもまず、今日の人々は安全、健康、そして不安のない状態という最も基本的なニーズを重視しています。従業員を惹きつけ、定着させたい組織にとって、こうした基礎的なニーズに応えることが最初の防衛線となります。
1. 競争力のある賃金を提示する
第一歩は、人材の流出を食い止めることです。調査対象となった従業員の半数以上が、退職理由としてより良い賃金を挙げました。性別、職業、国籍を含むほぼすべての集団で、より多くのお金が必要だという声が「欠かせない条件」の筆頭に挙がりました。
企業は従業員不足への対応として、競争力を高めるために賃金を見直しています。米国では、航空会社から小売業者まで、幅広い企業が初級職の最低賃金を時給15ドルに引き上げ、既存従業員の給与も増やして退職を思いとどまらせています。これは必要な第一歩であり、従業員の定着を支える基盤となります。しかし、世界で最も高い賃金を払う企業の一部でも離職が見られることから、これだけでは十分ではありません。
2. 柔軟性とバランスを実現する
賃金に加えて、従業員は柔軟性を重視しています。求職者の約40%が、仕事と生活のバランスを改善したいと答えています。人々はリモートワークに慣れ、少なくとも週に数日はそれを期待しています。調査対象者のほぼ3分の2がリモートワークは重要だと答え、63%がハイブリッド型の働き方が最適だと回答しました。「以前から自宅で過ごすのが好きで、仕事と生活のバランスを大切にしてきました」と、ある調査参加者は述べています。「でも今は期待がさらに高まり、上司がそれに応じてくれなければ仕事を辞めるでしょう。」
パンデミック以前から、先進的な企業は、柔軟性を高めて燃え尽きを防ぐため、ジョブシェアリングから無制限の休暇まで、さまざまな福利厚生を導入し始めていました。あるテクノロジー企業では、無制限の休暇と会議を設けない水曜日を2015年に導入して以来、仕事と生活のバランスに関する評価が10%上昇しました。これにより、従業員はより柔軟に働き、中断されずに仕事に取り組めるようになりました。
世界経済フォーラムは、仕事の未来に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか?
従業員に意見があるなら(実際にありますが)、ハイブリッド型の働き方は今後も続くでしょう。最近、複数の国が従業員の柔軟な働き方を促す法律を成立させました。たとえばアイスランドでは週4日勤務を試行し、フィンランドでは従業員が週40時間のうち半分について、いつ、どこで働くかを決められます。
ハイブリッド型が未来の働き方として広がりつつある世界では、柔軟性がこれほど重要になったことはありません。
3. 目的意識と企業文化を強化する
従業員には十分な給与が必要であり、柔軟な働き方も重視されますが、多くの人はさらに何かを求めています。5人に1人が、仕事を辞める理由として充実感の欠如を挙げました。それを補うには、仕事に目的意識を持てるようにし、包摂的な企業文化を築くことが必要です。つまり、従業員が自分の仕事に意義を感じ、自分の貢献が評価され、組織の一員として受け入れられていると感じる環境をつくることです。
これは、企業が対応するうえでおそらく最も難しい課題です。人間関係を築き、価値を認められるための新たなスキルや機会にアクセスできるようにするには、時間と継続的な取り組みが必要だからです。リモートワークによって、企業が共通の目的意識を築くことはこれまで以上に難しくなりましたが、それを実現したときの見返りは大きく、忠誠心の絆を再び強めることができます。
どのような組織が成功するのか?
従業員の忠誠心をめぐる一つの時代が終わり、新たな時代が始まろうとしています。人間の基本的な欲求の階層に沿って、従業員と雇用主の関係をうまく再構築する組織が、最も成功する立場を得るでしょう。具体的には、競争力のある賃金(今日の経済において安心と安全を感じるための基盤)、柔軟な働き方(つながり、帰属意識、余暇という中位のニーズにも応えられる仕組み)、そして目的意識と企業文化(自分が組織に属し、時間の使い方に根本的な意義があると感じられるようにする要)を提供することです。そうした組織は、パンデミックを契機に激化した現在の人材獲得競争だけでなく、今後何十年にもわたって勝ち抜く最適な立場に立つでしょう。


