6月、米南西部を熱波が襲い、アリゾナ州やネバダ州などでは気温が華氏100度を大きく上回った。実際、あまりの暑さに、複数の便が欠航した。ラスベガスとフェニックスでのことだ。
高温で運航に支障が生じることはよくある。民間航空機のパイロット、パトリック・スミス氏が説明したように、暖かい空気は冷たい空気より密度が低いからだ。つまり、暑いときには飛行機の翼が生み出す揚力が小さくなり、ジェットエンジンの性能も低下する。
こうした問題が重なると、飛行機の空力性能が低下し、高く飛べなくなるうえ、離着陸により高い速度が必要となり、その分、滑走路の長さも必要になる。
気温が一定の基準を超えると、飛行が許可されない機種もある。基準は通常、華氏120度前後だ。気候変動により世界各地で気温が上昇し続ければ、航空輸送に大きな問題が生じる可能性がある。
コロンビア大学の新たな研究によると、2080年までに空港の最高気温は華氏7.2~14.4度(摂氏4~8度)上昇すると予測されている。今後数年間に温室効果ガス排出量が大幅に削減されなければ、地球の気温は摂氏3度上昇すると予測されているためだ。また、駐機場の舗装面が熱を吸収するため、空港の気温は大幅に高くなる。
木曜日に学術誌「Climatic Change」に掲載された新たな研究は、「気温上昇に対処するため、満載状態の飛行機の10~30%で燃料、貨物、または乗客の一部を降ろす必要が生じる可能性がある」と予測している。著者らは、暑い日に離陸するには、航空機が燃料容量と積載重量を4%減らさなければならない可能性があると試算した。
対策を講じなければ、日中の最も暑い時間帯に欠航となる便がますます増えるおそれがある。
「これは、気候変動が航空に及ぼす、これまで十分に調査されてこなかったリスクを示している」と、共著者でコロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所の気候学者、ラドリー・ホートン氏はプレスリリースで述べた。
これまで、気候変動と航空の関係に関する研究の大半は、航空旅行が温室効果ガス排出に及ぼす影響を調べてきた。一方、新たな研究はその逆を検討し、懸念される悪循環を示唆している。
「世界のつながりが強まり、航空が成長するにつれて、経済面を含むさまざまな連鎖的影響が生じる可能性は非常に大きい」とホートン氏は述べた。
この研究は、気温上昇によって航空業界が深刻な経済的打撃を受ける可能性も警告している。極端な暑さは飛行機の内部部品を損傷するおそれがあり、欠航の増加は当然、航空会社や乗客にさまざまな困難をもたらす。
さらに、滑走路が短い小規模空港や古い空港も、気温上昇時には飛行機により広いスペースが必要となるため、より大きな影響を受ける。例えば著者らは、最も暑い日には、ラガーディア空港の短い滑走路の一つから離陸予定のボーイング737が、半分ほどの割合で重量を減らさなければならないと予測した。
「私たちの結果は、重量制限が航空会社に相当なコストをもたらし、世界各地の航空運航に影響を及ぼす可能性を示している」と、筆頭著者でコロンビア大学の博士課程学生、イーサン・コッフェル氏はプレスリリースで述べた。
ロイター通信によると、熱波は駐機場で作業する地上職員にとっても危険になりうる。気温が華氏120度を超えると、駐機場の気温は華氏150度に達することがあるためだ。

