ワクチンの備蓄が一夜にしてなくなったら、何が起きるでしょうか?
親としては、恐ろしくてたまりません。専門家としては、休む間もなく対応に追われるでしょう。予防可能な病気により、何百万人もの女性や子ども、大人が不必要に苦しむことになるからです。
ワクチンによって可能になることの一つは、病気の根絶です。これまでに人間の病気では天然痘を根絶し、ポリオもあと一歩のところまで来ています。世界のごく限られた最後の地域に封じ込めた今、ポリオはまさに終息寸前です。これが可能なのはワクチンのおかげであり、世界全体が恩恵を受けるには、誰もがワクチンを接種する必要があります。
予防接種がなくなると、どのような病気が再び広がるでしょうか?
世界のどこにもポリオウイルスによる麻痺患者が一人もいなくなるまで、あと一歩のところまで来ています。それが再び起きれば、今なら予防できるウイルスによって、数えきれないほど多くの人々が不必要に麻痺することになります。人々を死に至らせたり、障害をもたらしたりするだけでなく、人々の心に恐怖を植え付ける流行病も再び広がるでしょう。
はしかワクチンのない世界を想像してみてください。はしかは急速に広がるでしょう。予防接種を受けず、どこでもはしかへの免疫が低下すれば、たちまち大規模な流行が起き、80%(またはそれ以上)の人が感染するでしょう。重い発熱や発疹が現れ、多くの人が入院し、亡くなる人も出ます。失明のような生涯にわたる障害が残る人もいるでしょう。
こうした病気が猛威を振るい、人々が互いに接触することを恐れ、親が子どもを他の子どもと遊ばせないようにする社会を想像してみてください。1950年代の米国でポリオワクチンが普及する前の時代を思い出すのに、それほど昔にさかのぼる必要はありません。実際にそうしたことが起きていました。地域でポリオ患者が出ると、公共のプールは閉鎖され、子どもたちは家の中にいました。私たちが当たり前だと思っているのは、ワクチンの予防効果によって、人々と自由に交流できるということです。ワクチンで予防できる病気への恐怖におびえて暮らすことになれば、その自由は失われます。

ワクチンがない場合、最もリスクが高いのはどの人々ですか?
こうした病気は、まず弱い立場にある人々を襲います。最初に影響を受けるのは乳児や幼い子どもでしょう。次に、栄養不良の人や免疫機能が低下した状態にある人など、抵抗力が弱まっている人々が危険にさらされます。
こうした病気の中には命に関わるものがあることを、忘れてはならないと思います。髄膜炎は、前日まで元気いっぱいだった人でも、10代のスポーツチームの主将を死に至らせたり、手足の切断を余儀なくさせたりする病気です。子宮頸がんや肝臓がんも深刻な病気で、再び増えるでしょう。ただし、がんの発症には時間がかかるため、よりゆっくりと増加します。これら二つは、ワクチンのおかげで抑え始めている病気ですが、ワクチンがなくなれば再び広がるでしょう。
世界予防接種週間が重要なのはなぜですか?
豊かな国の多くの人々は、はしか、ジフテリア、髄膜炎、百日ぜきなどの感染症がもたらす影響を、実際に目にしたことがありません。ワクチンのおかげで直接経験していないため、恐れていないのです。喉頭蓋炎もその一つです。感染によって気管の入り口が閉じてしまう病気で、2歳の子どもがかかると、突然息を求めてあえぎ始めることがあります。こうした病気は、細菌性髄膜炎ワクチンの一つ(「Hibワクチン」)のおかげで、米国や欧州から姿を消しました。今では小児科医がこの病気を目にすることはありません。人々にワクチンを接種しているため、こうした「古典的な病気」の多くは、すでになくなっています。そのため、米国、英国、欧州などの豊かな地域では、人々は病気を恐れていません。
豊かな国々では油断が生じているため、こうした病気の危険性を認識することが大切だと指摘されました。より貧しい地域で、ワクチンへの認識が重要なのはなぜですか?
はい。とても良い例を挙げましょう。アフリカには細菌性髄膜炎の流行による被害が特に大きい地域があり、「髄膜炎ベルト」という呼び名が付いています。アフリカの乾燥地帯にあるこの地域では、3~5年ごとに細菌性髄膜炎の大規模な流行が起きてきました。今では多くの人々の尽力により、インドのワクチンメーカーが、この流行の原因となる病原体に特化したワクチンを開発しました。その広範な使用はGaviの資金援助によって支えられ、今ではアフリカで流行性髄膜炎の原因をほぼ撲滅しました。
影響を受けた国々で大規模な接種キャンペーンを実施しました。驚くべきことに、キャンペーンが行われると、人々は気温が摂氏40度を超える猛暑の中、何時間も列に並び、流行性髄膜炎のワクチンを自分や家族が確実に接種できるようにしていました。どの地域も髄膜炎の被害を受けていたからです。どの家庭の人々も、どの親も、この予防がいかに重要かを知っていました。

あらゆる場所で予防接種を実施するには、どれほどの取り組みが必要ですか?
世界各地での予防接種は、今も毎年およそ250万人に上る予防可能な死から、女性や子ども、地域社会を日々守っています。この成果は、大規模で連携の取れた取り組みによって成り立っています。ワクチンを製造するメーカーが必要です。各国政府にはワクチンを購入してもらう必要があります。地域によっては、資金提供者の補助も必要です。ワクチンを求める地域社会も必要です。そして、適切な時期に適切な場所でワクチンを届けられる、大規模な医療従事者の体制も欠かせません。
考えてみれば、驚くべきことです。親が診療所で医療従事者と向き合う、あの魔法のような瞬間、つまり予防接種の瞬間は、通常およそ1分で終わります。その1分を実現するためにどれほど多くのことが必要だったかを考えると、まさに驚異的です。そして、それを世界中で毎日数千万回も行っているという事実は、さらに驚くべきことです。
インタビュー:ポピー・ムフティング。
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