唾液サンプルから新型コロナウイルス感染症を診断できる新しい機器

A woman wearing protective face mask stands next to a masked lion statue in Ginza shopping area, amid the coronavirus disease (COVID-19) outbreak in Tokyo, Japan August 5, 2021. REUTERS/Androniki Christodoulou - RC2VYO9IE4OT
COVID-19 has seen new restrictions on everyday life, but also innovation to help end the pandemic.Image: REUTERS/Androniki Christodoulou
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  • 技術者らは、新型コロナウイルス感染症の新しい検査法を開発した。

  • この卓上型機器は、唾液サンプルからSARS-CoV-2を約1時間で検出できる。

  • 研究によると、この機器は一般的に用いられているPCR検査と同程度に正確であることが示唆されている。

MITとハーバード大学の技術者らは、唾液サンプルからSARS-CoV-2を約1時間で検出できる小型の卓上型機器を設計した。新たな研究で、この診断法は現在使用されているPCR検査と同程度に正確であることを示した。

この機器は、現在流行しているSARS-CoV-2変異株の一部に関連する特定のウイルス変異の検出にも使用できる。この結果も1時間以内に得られるため、特にゲノム解析施設を利用できない地域において、ウイルスの様々な変異株を追跡することがはるかに容易になる可能性がある。

「我々のプラットフォームは、新たに出現する変異株を検出するようプログラムでき、しかもかなり迅速に転用できることを実証しました」と、MITの医療工学・科学研究所(IMES)および生物工学科においてTermeer医療工学・科学教授を務めるジェームズ・コリンズは述べている。「本研究では、英国、南アフリカ、ブラジルの変異株を対象としましたが、この診断プラットフォームは、デルタ株やその他の出現中の変異株にも容易に対応できるよう適応させることができます」

新しい診断法はCRISPR技術を利用しており、組み立てにかかる費用は約15ドルである。ただし、機器を大規模に生産すれば、これらのコストは大幅に下がる可能性があると研究者らは述べている。

コリンズは、本日「Science Advances」誌に掲載された新たな研究の上級著者である。 Science Advances。本論文の筆頭著者は、ハーバード大学ウィス生物模倣工学研究所のポスドク研究員であるヘレナ・デ・ピッグ、ボストン小児病院およびベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの小児科講師であり、ウィス研究所の客員研究員でもあるローズ・リー、MITメディアラボの大学院生であるデボラ・ナジャール、そしてウィス研究所の臨床研究員であり、マサチューセッツ総合病院の消化器内科講師であるシャオ・タンである。

この機器は約1時間で病気を検出できる。 Image: Devora Najjar

自己完結型の診断法

新しい診断法は、SHERLOCKを基にしている。SHERLOCKは、コリンズらが最初に 2017年に報告したCRISPRベースのツールである。本システムの構成要素には、特定の標的RNA配列の検出を可能にするRNAガイド鎖と、その配列を切断して蛍光シグナルを生成するCas酵素が含まれる。これらの分子成分はすべて長期保存のために凍結乾燥でき、水に触れると再活性化する。

昨年、コリンズの研究室は、迅速な結果が得られ、ほとんど、あるいはまったく専門知識がなくても操作できる診断機器を設計することを目指し、この技術をSARS-CoV-2ウイルスの検出に応用する研究を開始した。また、利用者にとってさらに容易にするため、唾液サンプルで機能させることも望まれた。

これを実現するため、研究者らは重要な前処理工程を組み込む必要があった。この工程では、RNAなどの核酸を分解する唾液ヌクレアーゼと呼ばれる酵素を不活性化する。サンプルが機器に投入されると、ヌクレアーゼは熱と2種類の化学試薬によって不活性化される。その後、唾液を膜に通すことでウイルスRNAが抽出・濃縮される。

「この膜は、核酸を回収して濃縮するうえで鍵となりました。これにより、この診断法で示している感度を得ることができます」とリーは述べている。

このRNAサンプルは、凍結乾燥されたCRISPR/Cas成分に曝露される。これらの成分は、機器内に密封された水のパックを自動的に穿刺することで活性化される。ワンポット反応によってRNAサンプルが増幅され、存在する場合は標的RNA配列が検出される。

「私たちの目標は、他の機器を必要としない、完全に自己完結型の診断法を作ることでした」とタンは述べている。「要するに、患者がこの機器に唾を吐き入れ、プランジャーを押し下げると、1時間後に結果が得られるのです」

研究者らは、最小限の機器構成によるSHERLOCK(miSHERLOCK)と名付けた機器を設計した。この機器は、それぞれ異なる標的RNA配列を検出する最大4つのモジュールを搭載できる。元のモジュールには、SARS-CoV-2のあらゆる株を検出するRNAガイド鎖が含まれている。その他のモジュールは、過去1年間に出現した一部の変異株に関連する変異に特化しており、B.1.1.7、P.1、B.1.351などが含まれる。

研究者らがこの研究を実施した時点では、デルタ株はまだ広く広がっていなかったが、システムがすでに構築されているため、その変異株を検出する新しいモジュールを設計することは容易であるはずだと研究者らは述べている。また、このシステムは、ウイルスをより感染しやすくする可能性のある新たな変異を監視するよう、容易にプログラムすることもできる。

「より広範な疫学調査を行いたい場合は、懸念される変異が集団内に出現する前に検査法を設計し、スパイクタンパク質における潜在的に危険な変異を監視することができます」とナジャールは述べている。

変異株の追跡

研究者らはまず、合成SARS-CoV-2 RNA配列を添加したヒトの唾液で機器を検証し、その後、ウイルス陽性と判定された患者由来の約50件のサンプルで検証した。その結果、この機器は、現在使用されている、ゴールドスタンダードとされるPCR検査と同程度に正確であることがわかった。PCR検査は鼻腔ぬぐい液を必要とし、結果を得るまでに時間がかかり、はるかに多くの機器やサンプル処理を必要とする。

この機器は肉眼で確認できる蛍光の読み出しを行う。また、研究者らは、結果を読み取り、より容易な追跡のために公衆衛生当局に送信できるスマートフォンアプリも設計した。

研究者らは、この機器を1台あたり2ドルから3ドルという低コストで生産できると考えている。FDAの承認を受け、大規模に製造された場合、この種の診断法は、自宅で検査を受けたい人々や、PCR検査やSARS-CoV-2変異株の遺伝子解析が広く利用できない地域の医療機関にとって有用であると研究者らは見込んでいる。

「これらの変異株を検出し追跡できることは、効果的な公衆衛生に不可欠ですが、残念ながら、変異株は現在、資源の豊富な国々においてさえ不足している専門の疫学センターでの核酸配列解析によってのみ診断されています」とデ・ピッグは述べている。

本研究は、ウィス研究所、ポール・G・アレン・フロンティア・グループ、国立衛生研究所の支援を受けるハーバード大学AIDS研究センター、バローズ・ウェルカム米国熱帯医学衛生学会ポスドク研究員制度、米国消化器病学会・武田薬品工業研究奨励賞、およびMIT-TATAセンターのフェローシップによって資金提供を受けた。

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