4月29日、日本の安倍晋三首相が米国議会合同会議で演説する。日米同盟は発足から63年を迎えるが、日本の指導者が米国政府と国民からこのような栄誉を授けられるのは初めてとなる。
安倍首相の訪米は、両国間の摩擦がかつてないほど低い時期に行われる。1980年代、緊張をあおった貿易・経済紛争や、日本を題材にした偏執的な映画の一ジャンルは、今日ではほとんど話題に上らない。当時は、議員9人が大ハンマーで東芝製ラジオをたたき壊すことさえあった。
こうした過去の紛争が、おそらく、当時のロナルド・レーガン大統領と政治的に意気投合していた中曽根康弘元首相が、議会合同会議での演説に招かれなかった理由を説明する。だが今日、二国間関係は大きく異なる。日本の経済的利害は米国のそれとより緊密に一致している。日本は、米国が主導する環太平洋パートナーシップ(TPP)への参加を目前にしており、これは環太平洋地域の12カ国の間に広大な自由貿易圏を築く。また、アジアに関する両国の戦略的ビジョンもほぼ調和している。
さらに、民主党政権時代に二国間関係を揺るがした、沖縄の米海兵隊基地をめぐる長年の懸案は、基地を島内の人口がより少ない地域へ移転することに米国が同意し、友好的に決着した。もちろん、沖縄県民の一部は島に米軍基地が引き続き置かれることに反対している。それでも、大半の日本人は、米国との同盟を目に見える形で示すこの基地の必要性を認めている。同盟は今なお、日本の国家安全保障戦略の礎である。
国際安全保障問題、とりわけ中国に関する両国の見解がますます近づいていることも、米議会とバラク・オバマ大統領政権が安倍首相に敬意を表する決定をした一因に違いない。安倍首相もオバマ大統領も、アジア全体に持続的な平和の枠組みを築くことに注力している。安倍首相は、この点で、また同盟国を支えるうえで、日本がより積極的な役割を果たすことを望んできた。この姿勢により、同盟は過去60年間よりも、対等なパートナーシップに近づいている。
米国の見方では、安倍首相が進めた日本の「平和憲法」第9条の解釈変更は、とうに行われるべきものだった。この変更により、日本の自衛隊は攻撃を受けた同盟国を支援し、アジアの平和を確保するという責務を果たすうえで米国や他の同盟国を助けられるようになった。軍事的リスクへの関与拡大に対する日本国民の根深い懐疑論にもかかわらず実施されたこの大胆な政策は、米国の外交官や軍事戦略家の安倍首相への好感を高めたに違いない。また、日本のアジアの近隣諸国から、表立った、そして時には暗黙の承認を得ることにもつながった。
米国との軍事協力の強化は、他の多くの戦略的パートナーの備えを米国が懸念している今、とりわけ重要だ。長らく米国の最も緊密な同盟国と見なされてきた英国でさえ、軍事予算の大幅削減を背景に、危機時に米国と協力する能力を損ない、NATOへの責務を果たす力までも弱めようとしているように見える。他の同盟国も、米国の軍事力にただ乗りする国と見なされる傾向が強まっている。
1945年以降の世界秩序への安倍首相の支持も、米国が同首相を称える理由となっている。この秩序は日本が第二次世界大戦の廃墟から立ち直るのを助け、中国がこれほど平和的に台頭することを可能にした。日本も米国と同様、中国が設立を進める並行的な制度、すなわちアジアインフラ投資銀行やBRICS諸国の新開発銀行などに多くの懸念を抱いている。
戦後の世界秩序から大きな恩恵を受けてきた日本人の大半は、中国が自国により都合のよい秩序に置き換えようとすることは、賢明ではなく、アジアにとって危険だという安倍首相の見方を共有している。実際、競合する多国間機関を中国とともに設立することを決めた国々は、単純な問いを自らに投げかけるべきだ。米国主導の世界秩序が中国の30年にわたる経済成長を許し、いや、促し、支援したように、中国が設計する世界秩序は、それに挑戦する別の大国の台頭を許すだろうか。
この問いに答えるには、中国の戦略家、閻学通の著作に目を向けるとよい。著書『Ancient Chinese Thought/Modern Chinese Power』では、すべての国が「中華」、すなわち世界における中国の中心性を認め、受け入れなければならないと論じている。さらに中国は、これまでのところ、自ら立ち上げた多国間機関をどのような基準で運営するのか、またそれらが真に多国間的なものとなるのかについて、ほとんど議論する姿勢を示していない。
したがって、安倍首相の訪米は、二国間関係が明確さを増す時期に行われる。両国は、アジアに実行可能な平和の枠組みを築こうとしている。それは、中国の成長と繁栄の継続を可能にしつつ、いずれか一国が覇権を握るのを防ぐものだ。また両国は、第二次世界大戦終結以来、世界に大きく貢献してきた国際規範を強化する、ルールに基づくアジアの貿易秩序を支持している。安倍首相に議会での演説の機会を与えることで、米国は実のところ、両国が共有する価値観とビジョンを称えている。
本記事は、 プロジェクト・シンジケートとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:小池百合子。元防衛大臣・国家安全保障担当補佐官。自民党総務会長を務め、現在は国会議員。
画像:演説を前に待機する日本の安倍晋三首相。REUTERS/Toru Hanai



