ダボス会議2017でのテリーザ・メイ:演説全文

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今年の年次総会で行われた「英国とEU:前進への道」に関するセッションをご覧ください:こちら。

シュワブ教授、ご紹介いただきありがとうございます。また、今朝、世界経済フォーラムでお話しする機会をいただき、ありがとうございます。

皆さまのミッション・ステートメントの冒頭にあるとおり、この組織は「世界の状況を改善する」ことに取り組んでいます。ここに集う私たちは皆、本能と見通しにおいて楽観主義者であり、官民の協力によって今日より明日の世界をより良くできると信じています。そして、明日の世界は自由貿易、パートナーシップ、グローバル化を基盤に築かれるという信念で、私たちは一致しています。

しかし、この会場の外では、私たちがしばしば当然のものと考えている善の力が、疑問視されています。

自由主義、自由貿易、グローバル化の力は、これまで、そして今も、世界に圧倒的に大きな好影響をもたらし、かつてない富と機会を生み出し、世界中で何百万人もの人々を貧困から救い、国々を近づけ、障壁を取り払い、生活水準と消費者の選択肢を向上させてきました。世界の繁栄と安全保障の要である、ルールに基づく国際システムを支えるこうした力が、何らかの形で損なわれる危機にさらされています。

そして今朝、私たちがここに集う一方で、欧州各地では極左・極右の政党がこの機会につけ込もうとしています。西側の比較的豊かな国々で、しばしば低所得層に属する人々の中に、こうした力は自分たちのために機能していないという、根強く強く感じられている思いがあり、政党はそれを利用して支持を集めています。

分断と絶望の政治を掲げ、安易な答えを示し、人々の問題を理解していると主張し、何を誰のせいにすべきか常に分かっていると言う、こうした政党は、もう一つの感情も糧にしています。主流派の政治・ビジネス指導者たちは、人々の正当な懸念をあまりにも長い間理解できずにきた、という世論です。

今朝、こうした懸念に応え、主流派の政治が人々に必要な変化を実現できることを示す、変革のためのマニフェストを提示したいと思います。

うまく機能しているものの良さを生かし、そうでないものを変える新たなアプローチを取ることで、ルールに基づく国際システムへの支持を維持し、さらに強められることを示したいと思います。

そして、その取り組みを進める中で、経済・社会の変革をたびたび先導してきた英国が、世界のどこよりも力強く、断固としてビジネス、自由市場、自由貿易を擁護する、新たな指導的役割を担うことを説明したいと思います。

Image: マティアス・ナット

ブレグジット

それこそが、今の英国に与えられたまたとない機会だからです。

私は、未来を自信を持って見据える国の首相として、今朝皆さまにお話ししています。

6か月余り前、何百万人もの同胞が、決意と静かな覚悟をもって投票し、予想を覆して欧州連合を離脱し、世界に開かれる道を選びました。

この決断の重大さを過小評価してはなりません。英国は大きな変革の時期に向き合わなければなりません。厳しい交渉を経て、世界における新たな役割を築かなければなりません。前途には不確実な時もあると受け入れながら、それが国の子どもたち、そして孫たちにとって、より明るい未来へとつながると信じる必要があります。

英国民はその道を選ばずに済ませることもできましたが、より明るい未来を見据え、代わりに大胆で野心的な道を選びました。

真にグローバルな英国を築くことを選んだのです。

この決断や、英国がそう決めたその他の理由は、国際的には必ずしもよく理解されていないと承知しています。とりわけ欧州の友人や同盟国の間ではそうです。欧州のパートナーの中には、英国が背を向けたと感じる人もいます。また、多くの人が、この決断がEUそのものの将来に何を意味するのか懸念していることも承知しています。

しかし、今週初めの演説で述べたとおり、欧州連合を離脱するという決断は、共通の利益や価値観、その他多くのものを分かち合う欧州の友人たちを拒絶するものではありません。彼らと距離を置いたり、大陸を安全で強固に保つのに役立ってきた協力をやめたりする意図もありませんでした。

また、欧州連合そのものを弱体化させようとする意図もありませんでした。組織としてのEUが成功することは、英国の国益にとって、圧倒的かつ明白に重要です。

それは、私たちの見方では、議会制民主主義と国家の自己決定権を取り戻すための投票にすぎません。自ら主導権を握り、自分たちのことを自分たちで決めるための投票でした。

そして何より、行動においても精神においても、さらにグローバルで国際主義的になるためのものでした。

それが国家としての私たちの姿だからです。英国の歴史と文化は、深く国際主義に根ざしています。

私たちは欧州の国であり、共有する欧州の遺産を誇りにしています。しかし同時に、常に欧州の先にある、より広い世界を見つめてきた国でもあります。

だからこそ、私たちは欧州で最も人種的に多様な国々の一つであり、欧州連合の中でも最も多文化的な加盟国の一つです。また、インド、パキスタン、バングラデシュ、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アフリカやアジアの国々、あるいは欧州の近隣諸国にいたるまで、世界各地に親しい友人や親族がいる人が大勢います。

そして、本能的に偉大なグローバル貿易国家である私たちが、欧州だけでなく、その外の国々とも貿易を目指すのもそのためです。

そのため、今週初めに示した計画の中心には、英国と欧州連合との間で大胆かつ野心的な自由貿易協定を追求する決意があります。それだけでなく、世界各地の旧友や新たな同盟国と、新たな貿易協定を結ぶ自由も求めています。

オーストラリア、ニュージーランド、インドなどの国々と、将来の貿易関係についてすでに協議を始めていることをうれしく思います。一方、中国、ブラジル、湾岸諸国を含む国々も、英国との貿易協定締結に関心を示しています。

火曜日の演説で述べたとおり、英国がこの変革期を経て、真にグローバルな英国として歩み出すことを望んでいます。欧州のパートナーにとって最良の友人であり隣人でありながら、欧州の国境を越えて手を広げ、世界へ出て、旧友や新たな同盟国と関係を築く国です。

まさにそれを実行します。

グローバルな英国

私たちは再び、自らの運命を自ら決める、自信に満ちた国になります。

だからこそ、この世界的な役割を果たせる立場に立つのです。

自らの運命を自ら決める国は、多国間のルールに基づくシステムを支え、強化するうえで、十分な役割を果たす能力が低下するどころか、むしろ高まります。

外国投資の拠点であるからといって、グローバルな英国が英国らしさを失うわけではありません。実際、最大の製造企業であるタタはインド企業ですが、ジャガーやランドローバーほど英国らしいものはありません。

世界各地から人々が暮らす国だからといって、英国らしさが損なわれるわけではありません。実際、多様性から大きな強さを得ています。私たちは人種、民族、信仰の多様な民主主義国家であり、それを誇りにしています。

また、国連、NATO、IMF、世界銀行などの多国間機関で長年にわたり主導的な役割を果たしてきたからといって、英国らしさが失われるわけではありません。

こうした機関への加盟によって、各加盟国は平和、繁栄、安全保障という共通の利益を促進する力を高められます。

私は、ルールに基づく世界秩序を強く信じています。それを実現する機関が20世紀半ばに設立されたことは、それ以降、世界が享受してきた平和と繁栄の拡大を支える重要な基盤となりました。そして、前世紀前半の悲劇的な歴史は、そうした機関が存在しなかったことの代償を私たちに思い起こさせます。

あの時代に繰り返された数々の愚行は、決して忘れず、二度と繰り返してはならない過ちです。

だからこそ、世界の国々が協力できるようにする機関を守らなければなりません。

そして、可能な限り国際協力を推進し続けなければなりません。

その一例が現代の奴隷制です。これは世界をむしばむ災厄であり、態度を改め、こうした忌まわしい慣行を根絶し、加害者を訴追するために協力しなければ、打ち破ることはできません。

そのため今年のダボスでは、今なお悲劇的に奪われ続けている多くの命を救うため、連携した取り組みを続けるハイレベルのパネル討論を招集しました。

国際協力は不可欠です。しかし、政府の第一の責任は人々に奉仕することだと、決して忘れてはなりません。現代世界に取り残されたと感じている人々の懸念に応えるため、政府、国際機関、企業、個人として、私たちはもっと取り組む必要があると確信しています。

Image: マティアス・ナット

経済改革

英国では、グローバルな英国を築く中で人々を共に歩ませることを目指す、野心的な経済・社会改革プログラムに着手しました。海外で強い英国を築くことが、国内でもより良い英国につながると示すプログラムです。

グローバル化の進展について語ると、人々は不安を抱くことがあります。多くの人にとって、それは仕事が海外に移され、賃金が抑えられることを意味します。自分たちの地域社会が変わるのを、ただ見ているしかないということでもあります。

そして人々には、繁栄する人々が別のルールで行動しているように見えます。一方、多くの人にとって暮らしは苦しいままで、何とかやりくりはできても、前に進めるとは限りません。

新技術の普及とソーシャルメディアの拡大を通じて、こうした緊張や格差がますます露わになり、利用されています。

自由市場、自由貿易、グローバル化を擁護する必要がある以上、それらを信じる私たちは、人々の懸念に正面から向き合い、応えなければなりません。

そして、それぞれの国のすべての人々に成果をもたらせることを示す新たな政策や取り組みを、共に形作る必要があります。

この課題に応えるには、政府に新たなアプローチが必要だと考えます。ビジネスにも新たなアプローチが求められます。

政府にとってそれは、ただ後退することでも、多くの国で長年支配的だった正統派の考え方が説いてきたように、ただ邪魔をしないことでもありません。企業に仕事を任せ、問題は自然に解決すると考えることでもありません。

企業を支え、国の隅々に暮らすより多くの人々が、その成功の恩恵を分かち合えるようにする、積極的な新しい役割を担うことです。

ビジネスにとっては、恩恵をより多くの人々に広げるため、さらに取り組むことを意味します。税や行動に関して他の人々と同じルールに従うことも必要です。英国では、最低所得層の人々の間でビジネスへの信頼はわずか35%だからです。また、短期的な考慮を脇に置き、人々や地域社会に長期的な投資をすることも求められます。

大多数の企業がすでに実行していることだと承知しています。雇用を生み出し、中小企業を支援し、人材を訓練・育成するだけでなく、地域社会に恩返しをし、次世代を支える取り組みも含まれます。

大小の企業は経済の屋台骨であり、起業家精神は繁栄の原動力です。だからこそ英国は、これからも常にビジネスに開かれた国です。企業、インフラ、大学、起業家への投資を歓迎します。英国の商品やサービスを買いたい人々を歓迎します。そして芸術からテクノロジー、金融から製造業まで、人材と機会に開かれています。

しかし、この開放性を推進すると同時に、一部の企業、とりわけ世界規模で事業を展開する企業が、一般の勤労者とは異なるルールで行動しているという根深い感情にも耳を傾けなければなりません。

だからこそ、企業がリーダーシップを示すことが不可欠です。グローバル化した世界で、誰もが同じルールに従い、経済的成功の恩恵がすべての国民に行き渡ることを示す必要があります。

グローバル化した経済とその中で活動する企業への、国民の支持を維持するには、この取り組みが極めて重要です。

そのため私は、英国があらゆる主要経済国の中で最も投資に適した場所となるよう、企業統治の基準をさらに高めることについて、繰り返し述べてきました。

それにはいくつかの要素があります。

企業が税を公正に負担し、従業員やサプライチェーンに対する義務と責任を認識し、適切な形で取引することです。事業を行う地域社会や国に真に投資し、その一員となり、それに伴う責任を果たすことです。そして、私たち全員が役員報酬と株主への説明責任に取り組むことです。

この会議で企業に署名が求められている、世界経済フォーラムの「責任あるリーダーシップのための協約」を歓迎するのもそのためです。

企業が繁栄できる自由主義と自由貿易を受け入れながら、企業が活動するための明確なルールを定めるこの変革によって、グローバル化した経済という究極の利益を守ることができます。

企業は国の経済生活だけでなく、社会においても不可欠な役割を果たしていると確信しています。しかし、人々が感じている不安に応えるには、企業と政府が協力して、その重要性をさらに訴える必要があります。

そのため英国では、新たな現代産業戦略を策定しています。「産業戦略」という言葉は近年、評判を大きく落としてきました。しかし、長年にわたる経済の構造的な弱点に対処する戦略は、私たちが望むように自由市場と自由貿易の恩恵を広げるうえで不可欠だと考えます。

この戦略は、衰退する産業を支えたり勝者を選んだりするものではありません。勝者が現れ、成長できる条件を整えるものです。そうした勝者を一貫して支え、英国の長期的な未来に投資するよう促します。

そして、国のあらゆる地域社会や隅々に雇用と経済成長をもたらします。

こうしたことをすべて国際市場の力だけに委ねたり、全体的な繁栄の拡大だけに頼ったりすることはできません。

その代わり、自由貿易とグローバル化がすべての人々のために機能するよう、現実的かつ積極的に取り組まなければなりません。つまり、率先して主導権を握る必要があります。

社会改革

同時に、同じ原則に基づく野心的な社会改革の課題にも着手しています。積極的に関与する政府が率先して行動し、すべての人々のために働くことです。

何とかやりくりして暮らしている人にとって、介入を控える政府は必要ありません。率先して行動し、自分にとって大切なことを擁護する、積極的な政府が必要です。

政府は従来、社会で最も不利な立場にある人々が直面する問題や課題を、必ずしも解決できなくとも、特定することには長けていました。

しかし、私が率いる政府に掲げた使命は、英国をすべての人々のために機能する国にすることであり、それはさらに先を目指すものです。私が共生社会と呼ぶものを築くことです。個人の権利を大切にするだけでなく、互いに負う責任にもより重きを置く社会です。人々が分かち合う家族、地域社会、市民としてのつながり、そして強固な制度を尊重します。

また、社会を機能させる市民としての義務を認識する社会です。

こうしたつながりと義務が、社会を強くし、定義やアイデンティティを求める人間の基本的な欲求に応えます。

そうした定義を与える人間関係、ネットワーク、制度を奨励し育むこと、そして私たちを分断する不正や不公平を、どこで見つかろうとも正すことが政府の役割だと、私は明確に考えています。

今日、個人主義の風潮が広がり、グローバル化とコミュニケーションの民主化によって、人々がより広い世界共同体に加わろうと、自らの地域社会や身近なネットワークの外へ目を向けるよう促される中で、互いに負う責任があまりにも頻繁に忘れられています。

こう述べることは、グローバル化や、それがもたらす恩恵に反対することではありません。現代の旅行やメディアから、店頭に並ぶ新製品、英国企業が世界中の何百万人もの消費者に商品を輸出する新たな機会まで、その恩恵はさまざまです。

近年生じた、深く感じられている経済的不平等に対処する必要があるのと同様に、よりグローバルで個人主義的な世界が、社会を結びつける絆を時として弱め、一部の人々を締め出し、取り残されたと感じさせることも認識しなければなりません。

結論

中道・主流派の政治が、今日人々の抱える懸念に応えられるようにする決意です。自由市場、自由貿易、グローバル化を擁護するとともに、こうした力がすべての人々のために機能し得ることを示す決意です。

そのために、18世紀の哲学者エドマンド・バークの言葉を引きます。「何らかの変化を起こす手段を持たない国家は、自らを維持する手段も持たない」。

変化によって守るという、この偉大な保守主義の原則は、今日の複雑な地政学的環境において、かつてないほど重要です。

そして今週ダボスに集う私たちにとって、非常に意義深いものだと感じています。

英国をこの変革期に導くにあたり、私を導いているのもこの原則です。

新たで大胆、自信に満ちたグローバルな英国を築き、すべての人々に真に役立つグローバル化の新時代を形作ります。

グローバル化の力を生かし、システムがすべての人々のために機能するようにすることで、次の世代、その先の世代にわたって、そのシステムへの国民の支持を維持します。

それを私たちの時代の遺産にしたいと思います。この機会を生かし、世界の隅々に自由貿易の恩恵を届け、さらに何百万人もの人々を貧困から救い繁栄へと導き、すべての人々に安全、繁栄、そして社会への帰属意識をもたらす、応答力と責任感を備えたリーダーシップを発揮したいのです。

ありがとうございました。

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