睡眠不足は貧困を招く。その理由とは

睡眠不足は貧困につながる可能性がある
睡眠不足は貧困につながる可能性がある
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睡眠不足が認知機能を損ない、身体に悪影響を及ぼすことはよく知られています。しかし、睡眠不足が貧困のような社会問題の説明にもなり得るのでしょうか。

「仕事、遊び、睡眠。選べるのは2つ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

残念ながら、人間は何でもできるわけではありません。この絶え間ない取捨選択のなかで、仕事や遊びより睡眠を選ぶべき人は、実はもっと多いようです。

研究によると、ほとんどの人にとって、毎晩6時間未満の睡眠は認知機能の低下と、 さまざまな健康問題を引き起こします。これには2型糖尿病や心血管疾患のリスク上昇も含まれます。こうした病気は貧困層にも多く見られることから、いくつかの疑問が浮かびます。睡眠の質の低さが健康問題や収入の低下につながるのでしょうか。それとも逆に、健康状態の悪さや収入の低さが睡眠の質を損なうのでしょうか。睡眠不足は所得格差を説明できるのでしょうか。

Freakonomicsは最近、睡眠をテーマにした2部構成のポッドキャストを公開しました。睡眠は健康だけでなく、人々の経済状況にも影響する可能性があります。番組では、貧困が睡眠の質を下げるのか(環境要因や貧困のストレス、複数の仕事を掛け持ちする必要性が規則正しい睡眠を妨げる可能性があります)、それとも睡眠の質の低さが貧困につながるのか(睡眠不足による認知機能の低下が、本来得られるはずの収入を妨げる可能性があります)という問題から話が始まります。

明確な答えはありませんが、ポッドキャストでは複数のデータセットを紹介し、睡眠と全般的な健康状態、そして健康状態と社会経済的地位との関係を解説しています。
Freakonomicsのブロガーが紹介した調査結果をいくつか見てみましょう。

  • ペンシルベニア大学で心理学・精神医学の教授を務めるデビッド・ディンジス氏は、睡眠不足は間違いなく 体重増加につながると説明しています。

  • ストーニーブルック大学で予防医学の准教授を務めるローレン・ヘイル氏は、「Fragile Families and Child Wellbeing Study」というプロジェクトで現在研究を行っています。同氏は、規則的な言語を介した就寝前の習慣(たとえば、寝る前に物語を読んだり歌を歌ったりすること)がある子どもは、5歳になるまでに、 そうした習慣のない子どもより良い成績を上げる ことを認知テストで確認しました。

  • ハーバード大学のアン=マリー・チャン氏、チャールズ・ツァイスラー氏らは、人々を夜間に研究室で過ごさせる実験研究を発表しました。参加者は就寝前に同じ本を読むよう求められ、半数は紙の本を、残りの半数はiPadで同じ本を読みました。iPadで読む人は 眠りにつきにくく、眠った後も睡眠の質が低いことが分かりました。

  • 10年前、デンマーク・コペンハーゲンにあるロックウール財団の上級研究員で経済学者のイェンス・ボンケ氏は、「朝型」と「夜型」の人々の平均収入を調べました。同氏は、1万人以上の一日の過ごし方を分単位で記録したデンマークの時間利用調査を詳細に分析しました。そして、 早起きを好む人は、 遅く起きることを好む人より平均で4~5%多く稼いでいることを明らかにしました。

  • カリフォルニア大学サンディエゴ校の博士課程に在籍するマシュー・ギブソン氏とジェフリー・シュレイダー氏は、同じ標準時の東端と西端に住む人々が毎晩どれほど睡眠を取っているかを調査しました。同じ標準時の地域に住む多くの人は、一般的な9時から17時までの勤務に合わせ、毎日ほぼ同じ時刻に起床します。しかし、体内時計は太陽の動きに従うため、就寝時刻は異なる傾向があります。標準時の東側では西側より早く日が沈むため、東側の人々は西側の人々より早く就寝しやすくなります。ギブソン氏とシュレイダー氏は、同じ標準時の両端にある都市に住む人々の収入を比較し、東端の人々の賃金は西端の人々より高いことを見いだしました。さらに、ある都市の全員が毎週1時間長く眠るようになれば、その地域の賃金は約4.5%上昇すると述べています。さらに分析を進め、 毎晩 1時間多く眠ると、「平均賃金が16%上昇する ことから、十分な休息が人間の生産性にとって重要だと分かる」としています。

  • ヘザー・スコフィールド氏は、Center for Global Developmentの開発経済学者で、現在チェンナイで、データ入力など反復的な作業に従事する約250人を対象に無作為化比較試験を実施しています。インドでは、低所得層の人々が十分な睡眠を取るうえで、多くの環境上の妨げに直面しています。車やタクシーの大きなクラクション音、寝返りを打つたびに互いの睡眠を妨げるような、家族が一部屋で暮らす状況、年間を通じて平均気温が華氏90~95度(約32~35度)に達する猛烈な暑さ、枕やマットレスを使わず硬いコンクリートの床で眠る人が多いこと、そして熱帯気候のため蚊が非常に多いことなどです。参加者の半数には、寝るためのマット、枕、薄手のシーツ、扇風機、アイマスク、耳栓が支給されます。また希望すれば、毎日研究所のオフィスで20~30分の昼寝をすることも認められます。その後、参加者が入力したデータの件数、入力時刻、入力速度、作業の正確さを記録し、仕事の生産性を測定します。研究で何が明らかになるかを判断するにはまだ早いものの、スコフィールド氏は、データ処理の仕事は作業量と質に応じて報酬が支払われるため、より良く眠るための環境が整った人々は、仕事の成果が向上し、収入も増えると予測しています。

さらに詳しく知るには、 第1部 をこちらで、 第2部 をこちらでお読みください。ポッドキャストは Freakonomicsのウェブサイトでも聴くことができます。

睡眠の質の低さが収入低下につながるのか、その逆なのかという問いに、ポッドキャストは完全な答えを出していません。しかし、研究から明らかなことがあります。睡眠は、健康で、賢く、幸福になるための自然な万能薬です。問題は、十分な睡眠を取らなければ、その効果が得られないことです。

この記事は当初、 世界銀行のブログ「People, Spaces, Deliberation」に掲載されました。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:ロクサーヌ・バウアー氏は、世界銀行の対外・企業関係局、業務広報部門(ECROC)のコンサルタントです。

画像:2014年12月13日、リマで開催された国連気候変動会議COP 20の全体会合の休憩中に休む代表団。REUTERS/Enrique Castro-Mendivil。

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