今週、貿易援助を提供する世界最大の多国間機関である世界銀行グループは、世界貿易機関(WTO)の 第5回「貿易のための援助」グローバル・レビューに参加しています。2年ごとに開催されるグローバル・レビューには、貿易担当大臣、国際開発機関のトップ、民間部門、市民社会など、世界各地から世界貿易に携わる人々が集います。私たちは、貧困の撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2つの目標の達成に貿易が果たす役割に焦点を当てます。
貧困撲滅における貿易の役割を扱った世界貿易機関(WTO)と世界銀行グループの新たな共同報告書が、レビュー初日の6月30日に発表されます。この報告書は、2030年までに貧困を撲滅するには、極度の貧困状態にある約10億人を貿易機会につなげるため、さらなる取り組みが必要だと論じています。6月30日には、報告書をオンラインでご覧いただけるほか、最貧困層が貿易の恩恵を最大限に受けられるようにするために示された課題について、詳しい情報も公開されます。
この取り組みの重要な柱であり、今年の「貿易のための援助」会合のテーマでもあるのが、貿易コスト削減の重要性です。世界銀行グループはレビューで、UNESCAPと共同開発した データベース を用いた新たな分析を発表します。そこでは、海外市場へ商品を運ぶコストが、開発途上国では著しく高いことが示されています。たとえば、低所得国のコストは平均して先進国の3倍に上ります。内陸国や小島嶼国も、特に高い貿易コストに直面しています。その要因はさまざまですが、劣悪な道路網、脆弱な物流、港湾施設の不備、時代遅れの通関手続き、国境検問所での汚職、旧式の法制度や規制の枠組みなどが挙げられます。こうした貿易コストを引き下げれば、開発途上国の企業の競争力が高まり、貿易機会からより多くの恩恵を得られるようになります。貿易円滑化協定の実施も助けとなり、レビューで私たちが 重要な焦点とするテーマの一つですが、最も大きな効果を得るには、広範にわたる貿易コストの要因に対処する包括的な戦略が必要です。
ジュネーブでは、貿易コスト削減に向けた取り組みのいくつかの要素について、私たちの経験と分析を共有します。
たとえば、デジタル貿易の機会を活用し、開発途上国でオンライン取引を特に妨げている障壁、いわゆる「デジタル・デバイド」に対処することで、起業家と市場をつなぐことに取り組んでいます。こうした国々の起業家に、将来性の高いデジタル貿易の分野を開くことが目標です。機会を創出しコストを引き下げるには、中小企業が電子決済システムを利用できるようにすることや、独占企業がインターネット接続を支配することで生じる高いコストを起業家が負担せずに済むようにすることなどが課題となります。
私たちは、各国が農業基準を満たせるよう支援し、食品のより安全な貿易の円滑化を後押ししています。 基準・貿易開発ファシリティの創設パートナーとして、国際基準を満たす能力を強化し、農産物貿易の競争力を高めるために各国を支援してきた経験を、パネル討論で共有します。世界の貧困層のほぼ3分の2は農業生産者であり、食料需要は2050年までに70%増加すると予測されています。そのため、私たちの重要な目標の一つは、生産者が製品や農産物に対する需要の高まりに応え、衛生植物検疫(SPS)基準を満たせるよう支援しながら、貿易コストを引き下げることです。
私たちは、後発開発途上国の貿易能力構築に取り組むプログラムである 強化統合フレームワークの他の創設パートナーとともに、同プログラムの新たな段階を開始します。このパートナーシップを通じて、世界銀行グループは後発開発途上国(LDC)が貿易機会を最大限に活用するための戦略を策定・実施できるよう支援しています。LDCへの支援は急速に拡大しており、貿易分野での支援額は、2009年の5億4,000万ドルから現在は11億ドル超となっています。
これらの分野に加え、世界銀行グループの同僚はパートナーとともに、貿易円滑化協定の実施、綿花バリューチェーンにおける貿易コストの削減、貿易を通じた女性のエンパワーメント、非関税措置の撤廃に向けた方策の検討、南アジアの貿易円滑化、内陸国への支援、災害救援・復興における貿易の役割について協議に参加します。最後に、顧客が懸念する課題について話し合う機会も十分に設けられます。
持続可能な成長、貧困撲滅、繁栄の共有の促進という目標と貿易を結び付ける取り組みに、世界銀行グループが携わる今は、胸躍る時期です。ジュネーブでの会合は、今後の共同の取り組みにとって重要な転換点となります。
この記事は、 世界銀行のブログ「The Trade Post」との共同企画として掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:アナベル・ゴンザレス。コスタリカと米国の国籍を持ち、2014年7月1日から世界銀行グループの貿易・競争力グローバル・プラクティス担当シニアディレクターを務めています。
画像:販売員が客にお釣りを渡している。REUTERS/Desmond Boylan。



