ハンバーガーは、米国人の食卓でおそらく最も広く親しまれている料理ですが、最も資源集約型の料理の一つでもあります。牛肉は、米国人が食べる食品に関連する土地利用と温室効果ガス排出のほぼ半分を占めています。
近年、関心が高まっている植物由来のバーガーなどの代替食品もありますが、今も牛肉を注文したいと考える何百万人もの人々には、より良いバーガーがあります。牛肉とマッシュルームを混ぜることで、肉らしい風味を保ち、さらには高めながら、環境負荷を大幅に抑えられます。
米国人は毎年およそ100億個のハンバーガーを食べています。これらのバーガーに使われる牛肉の30%をマッシュルームに置き換えると、次の効果が期待できます。
農業生産に関連する温室効果ガス排出量を、二酸化炭素換算で年間1,050万トン削減できます。これは、車230万台を(年間の排気管からの排出量も含めて)道路からなくすことに相当します。サンディエゴ郡全域から車がなくなるのと同じ規模です。また、灌漑用水の需要を年間830億ガロン削減できます。これは米国人260万人の年間家庭用水使用量に相当します。さらに、世界の農地需要を1万4,000平方マイル以上削減できます。これはメリーランド州より広い面積です。
牛肉とマッシュルームのバーガーは、環境負荷を抑えながらおいしい
米国料理研究所などは、肉料理に植物由来の食品を混ぜることを、生活習慣の変更を求めずに一般消費者の食生活を変える方法の一つとして推奨しています。マッシュルームは肉のような食感があり、水分を保つ性質とうま味があるため、バーガーの風味を高めると同時に、シェフが塩分を減らすことも可能にします。牛肉とマッシュルームのバーガーは、牛肉だけのバーガーよりカロリーや飽和脂肪が少ない場合もあり、より健康的な選択肢となります。風味、食感、見た目、食後の満腹感など、消費者にとって重要なさまざまな点で、牛肉とマッシュルームを混ぜたバーガーは従来の牛肉100%のバーガーと比べても見劣りせず、 好意的に評価されています。
牛肉とマッシュルームのバーガーはビジネスにも有益
牛肉は飲食店やフードサービス事業者の温室効果ガス排出量のかなりの部分を占めるため、混合バーガーはこうした企業にとって有望なサステナビリティ対策です。たとえばマクドナルドは、全社のカーボンフットプリントの28%が牛肉生産に由来すると推定しています。この割合は、同社の全店舗とオフィスにおけるエネルギー使用によるフットプリントと同程度です。同様に、農業サプライチェーンは食品企業の総ウォーターフットプリントの90% 以上を占める傾向があります。牛肉生産は特に水を多く使い、製品1ポンド当たりの灌漑用水量は、他のどの動物性食品よりも多くなっています。企業が科学的根拠に基づく排出削減と水資源管理の目標を掲げるケースが増えるなか、混合バーガーは再生可能エネルギー、エネルギー効率化、水利用の効率化、廃棄物削減と並ぶサステナビリティ戦略になり得ます。
牛肉とマッシュルームを混ぜたバーガーは、フードサービス事業者のコストを増やさない可能性もあり、期待が持てます。コストや収益性への影響は、牛肉とマッシュルームの相対価格、調理時間への影響、追加のシェフ研修や厨房設備の必要性、メニュー上の販売価格によって変わります。ボルチモアの公立学校で2014~2015年に行われた試験では、混合バーガーのコストは従来の牛肉バーガーと比べて少なくとも同等に抑えられる可能性が示されました。今後、食肉生産者や流通業者が調理済みの混合バーガーを販売すれば、規模の経済によって、フードサービスにとってさらに魅力的な事業機会となる可能性があります。
混合バーガーはすでに米国各地で広がり始めています。先月、ベター・バイイング・ラボのメンバーであるソデクソは、サステナブルな食品への消費者の需要拡大に応え、環境負荷を軽減することを目指す牛肉とマッシュルームのブレンド「ザ・ナチュラル」を発表しました。全国各地の職場や大学などで、バーガー、ラザニア、チリなど風味豊かな料理に使われる予定です。同ラボの別のメンバーであるスタンフォード大学のレジデンシャル&ダイニング・エンタープライズは、数年前から運営施設で混合バーガーのみを提供しています。さらに2017年半ばには、ソニックがこの流れに加わった初の全米規模のバーガーチェーンとなり、全国の店舗でソニック・スリンガーズ、同社が「史上最もジューシーなバーガー」と呼ぶ商品を試験販売しました。
WRIのベター・バイイング・ラボは、メンバー企業や料理界のパートナーとともに、この新しいバーガーを改良し、市場全体に広げる取り組みを進めています。需要をさらに喚起できるより良い名称の調査や試験も行っています。可能性が非常に大きいため、同ラボは混合バーガーを中核となる3つのパワー・ディッシュの一つとして推進しています。パワー・ディッシュとは、主流のメニューになり得る魅力と親しみやすさを備えた、よりサステナブルな料理です。
よりサステナブルな食生活への簡単な転換
より健康的でサステナブルな食生活に移行するために、必ずしも人々のライフスタイルを一新する必要はありません。混合バーガーは、環境にも健康にも良く、消費者にも喜ばれる「三方よし」の可能性を示す好例です。
バーガーに植物性食材を混ぜるのは、まだ始まりにすぎません。米国では、ひき肉のうちバーガーとして消費されるのは約3分の1にすぎません。植物性食材をすべてのひき肉料理、つまりタコス、チリ、ラザニア、ミートボール、パスタソースなどに混ぜれば、環境面で期待できる効果はさらに大きくなる可能性があります。
食肉生産者や流通業者、レストラン経営者、シェフ、フードサービス事業者、小売業者は皆、このおいしい変革策を提供するうえで役割を担っています。




