ロシアとウクライナから小麦輸入の80%を調達するエジプトで、パンの価格が急速に上昇している。
エジプトでは人口の3分の1が公式の貧困ラインを下回り、政府補助のパンに頼っている。
世界銀行などの国際機関は、食料価格の急騰が北アフリカや中東で社会不安を引き起こす恐れがあると警告している。
カイロでドアマンとして働くマフムード・ファラグの月収は1,500エジプト・ポンド(95ドル)だが、5人家族に十分な食事を用意するには、もはや足りない。
ロシアによるウクライナ侵攻の前から、エジプトでは食料価格が上昇していた。今や、多くのエジプト人が大きく依存する、政治的象徴性を帯びた主食のパンも、黒海経由の小麦輸出が滞り、世界価格が急騰する中で値上がりしている。
緊縮政策に何年も耐えてきた家庭に、さらなる経済的負担がのしかかっている。人口1億300万人のほぼ3分の1が公式の貧困ラインを下回り、さらに多くの人々が生活に苦しむ国でのことだ。
買い物客によると、ロシアが隣国に侵攻してからの3週間で、補助金の対象外であるパン一袋の価格は4分の1上昇した。食用油、卵、パスタなど、広く消費される食品の価格も上がっている。
カイロ商工会議所のアッティア・ハマド氏によると、小麦粉の価格は最大15%上昇した。
「子どもたちが空腹にならないよう、私は食べる量を減らしています」と、52歳のファラグは話す。パン代として使える1日分の予算で、今は小さな平たいパンを10個ではなく8個しか買えない。「3日に一度はきちんとした食事を作ることがありますが、週の残りはパンとチーズのようなものを食べるだけです」
エジプトは通常、世界最大の小麦輸入国で、小麦の60%超を海外から購入している。昨年は輸入量の約80%をロシアとウクライナが占めた。
ウクライナでの戦闘とロシアへの制裁で輸送が阻まれる中、商社は他の地域からの調達に奔走している。
「代替調達先を見つけようとすれば、価格は大きく異なるでしょう」と、地域のある商社関係者は語り、市場の基盤となる先物契約の価格変動の激しさを指摘した。
パリを拠点とする先物市場で、5月渡しの小麦契約価格は2月の安値から約50%上昇している。
社会的リスク
国際食料政策研究所が今週発表した調査によると、最近の価格上昇により、小麦輸入に対する政府の年間支出は約30億ドルから57億ドルへとほぼ倍増する可能性もある。1980年代以降、補助金付きパンの価格は変わっていないため、政府にとってこの支出の回収は難しいかもしれない。ただし、パン1個の大きさは縮小している。
1977年、エジプトで補助金付きパンの値上げが試みられると暴動が起きた。ホスニ・ムバラク元大統領も、2008年に小麦不足をめぐる騒乱に直面した。3年後、同氏を打倒した蜂起で最もよく唱和されたスローガンは「パン、自由、社会正義」だった。
世界銀行などの国際機関は今、エネルギーと食料価格の急騰が、北アフリカや中東で同様の社会不安を引き起こす恐れがあると警告している。
政府はここ数週間、既存の小麦備蓄と国内作物で、少なくとも8か月間は需要を満たせるとエジプト国民に説明してきた。補助金が大幅に投入されたこのパンは、人口の約3分の2が入手できる。
政府はまた、国内産小麦をより多く確保するため農家への買い取り価格を引き上げ、財政への圧力が高まる中でも、価格の高い穀物輸入を見込んで予算を組んでいると述べている。
当局者は、今月発表予定の2022/23年度予算に補助金改革が盛り込まれる可能性があると述べたが、改革の範囲はまだ明らかでない。
その他のパンに使われる小麦は、拡大する民間市場から調達されているが、商社によると、そちらの備蓄はより少ない。
当局が価格急騰への対応を進める中、買い占めや投機の疑いで少なくとも12人が拘束された。アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領は火曜日、補助金対象外のパンの価格を設定するよう政府に指示した。
小麦、小麦粉、レンズ豆やソラマメを含むその他の食品の輸出が、3か月間禁止された。
商品価格の上昇は、経済全体の物価を押し上げると予想される。2月の総合インフレ率は約3年ぶりの高水準に加速し、来月のラマダン(断食月)を前に消費者がまとめ買いするため、さらに上昇すると予測されている。
タハリール中東政策研究所の政策フェロー、ティモシー・カルダス氏は、新たな圧力が生活状況をめぐるくすぶる不満に拍車をかける可能性はあるものの、政治的異論への長期にわたる弾圧の後、事実上禁止されている街頭デモに発展するとは限らないと述べた。
「エジプト人は、相当な人数で街頭に繰り出すことなく、驚くほどの苦境にも耐えてきました」とカルダス氏は語った。




