欧州銀行同盟の次なる課題

欧州銀行同盟の次なる課題
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ECBは、ユーロ圏で最大かつ最も重要な130行の帳簿を精査し、貸借対照表を調整するとともに、2つの異なるシナリオ(そのうち1つは深刻な景気後退を含む)に対する自己資本の状況の感応度を検証する、1年にわたる綿密な作業を終え、その結果を公表した。この作業は、単一監督メカニズム(SSM)の出発点となる。SSMでは、ECBがこれら130行の大半を直接監督し、SSM加盟国にある残りの銀行については間接的な監督責任を負う。

資産査定(AQR)やストレステストについては、論じるべき点や批判すべき点が多い。しかし、EUで実施された過去3回の演習と比べれば、大幅な改善であることは確かだ。

  • この評価は、ECBが主導し監視するトップダウン方式で実施され、ユーロ圏の銀行間で資産評価とストレステストの公平な競争条件を整えることに重点が置かれた。

  • 資産査定とストレステストを組み合わせたことで、ストレステストの透明性と信頼性が高まった。

しかし、明らかな欠点もある。

  • ストレステストには、依然としてソブリン・デフォルトのシナリオが含まれていない。

  • デフレという下方シナリオも含まれていない。ストレステストのシナリオが今年初めに策定された時点では、これはそれほど懸念されていなかった。

  • リスク加重資本資産比率だけに焦点を当て、レバレッジ比率を考慮していない。AQR前には130行中14行、AQR後には17行がレバレッジ比率3%を下回っており、ここにはストレステストの影響もまだ反映されていない。

この結果からは、各国の監督の弱点について興味深い知見が得られる。AQRにより、資産分類に著しい不一致があることが明らかになったためだ。例えば、審査対象となった債務者のうち、ギリシャ、マルタ、エストニアでは20%超、スロベニアでは実に32%が不良債権先に分類し直された。ある銀行では、その割合が43%にも達した。これは、規制上の猶予がかなり広く認められていたことを示唆している。公表済みの貸借対照表と、ECBが示した調整後の数値とのこうした不一致は、超国家的な監督が一貫性の面で優れていることを明確に示している。

包括的評価では、参加25行について、ストレステストの下方シナリオにおける予測支払能力比率を、リスク加重資産に対するティア1資本比率5.5%の基準と比較した結果、資本不足額は合計246億ユーロと判定された。2014年中の増資を考慮すると、なお純資本不足に直面する銀行は13行にとどまり、その不足額は合計95億ユーロと比較的小さい。13行の内訳は、イタリア4行、ギリシャ3行、スロベニア2行、ポルトガル1行、オーストリア1行、アイルランド1行、ベルギー1行であり、危機国にある程度集中している。

(純)資本不足の銀行数は、まさに「医師の処方どおり」に見える。テストが十分に厳格だと評価されるには少なすぎず、市場を動揺させないためには多すぎない数だ。ECB自身が認めているように、これはSSMに向けた出発点にすぎない。自己資本要件が厳しくなるにつれて、追加の資本不足が明らかになる可能性がある。初期の反応を見る限り、ECBはこの演習の目的のうち、透明性の向上と信頼の醸成という2つを達成したようだ。第3の目的である、必要な銀行の貸借対照表の修復は、なお進行中である。

次に何が待っているのか。

これは銀行同盟の第一の柱にとって良い出発点のように見える一方、第二・第三の柱の限界を改めて浮き彫りにしている。純資本不足のある13行には、資本増強・再編計画を策定するための9カ月が与えられている。ECBは監督当局として関与するが、それ自体は破綻処理当局ではなく、その責任は依然として各国にある。単一破綻処理メカニズム(SRM)が発効するのは2016年であり、発効後もSSMのような実効的な超国家的メカニズムではなく、妥協の産物、すなわち各国と超国家的な枠組みを組み合わせたものにとどまる。第三の柱である共同預金保険の資金調達制度は、ひっそりと棚上げされた。

一方、この5年間のユーロ圏危機の推移は、本格的な銀行同盟が必要であることを示す十分な根拠を与えている。例を2つ挙げよう。

  • キプロスの事例は、預金保険制度の有効性が、それを支える主権国家の信用力に左右されることを示している。現在の形の銀行同盟は、この問題に対処していない。

  • ポルトガルのBanco Espirito Santoが最近破綻したことは、財政基盤の弱い国では実効的な破綻処理に限界があることを示している。ポルトガル政府の財政状況が危ういなか、最終的に政府は同行の処理にトロイカの資金援助を頼らざるを得なかった。

では、私たちはどこに行き着くのか。

現在の状況には、グラスが半分満ちていると見るか、半分空だと見るか、2つの捉え方がある。一方では、欧州の金融セーフティネットを構成する基本的な要素がいくつか整備されたことは大きな成果だ。他方、この妥協は、統合された欧州銀行市場に必要な金融セーフティネットにはほど遠い。中途半端な銀行同盟は、かえって逆効果になりかねないと、一部の論者は指摘している(Schoenmaker 2012)。

多くのことが達成された。

  • 国境を越える外部性を内部化できる単一の監督当局が設けられた。銀行の範囲と規制の範囲を一致させれば、監督プロセスの歪みを減らせる。また、欧州全域(中核国と周縁国の双方)で見られた規制当局への政治的介入のリスクを踏まえれば、これも前進である。欧州で銀行業がいかに政治的に敏感な問題だったかを考えると、これはユーロ圏にとって大きな一歩だ。

  • 欧州各国では、各国レベルだけでなく、ベイルイン条項によって欧州レベルでも銀行破綻処理の枠組みが強化されつつある。以下に述べる留保はあるものの、SRMは、近年の危機時よりも効果的に破綻銀行を処理するための、正しい方向への重要な第一歩である。

なお、いくつかの問題は未解決のままだ。

  • 欧州の銀行監督において、欧州銀行監督機構とECBはそれぞれどのような役割を担うのか。

  • 今からSRMが発効する2016年1月1日までの14カ月の移行期間中、脆弱性にどう対処するのか。

  • 19種類の銀行法に対応しなければならないECBは、監督当局としてどれほど有効に機能できるのか。

欠けているものは何か。

  • 名に値する欧州の銀行破綻処理メカニズムが欠けている。現在の仕組みは複雑すぎ、補完性原則に依存しすぎている。この原則の下では、まず各国当局が責任を負い、その後に欧州のメカニズムが発動する。単一の銀行市場には、単一の金融セーフティネットが必要だ。

  • 適切な資金調達の仕組みもない。銀行業界自身が拠出する資金はあるものの、欧州のどこかで比較的大規模な銀行を再編する必要が生じた場合に使うには、少なすぎるように見える。

  • 公的な最後の支えも欠けている。SRMの破綻処理基金が現行計画より制約の少ないものだったとしても、システミックな銀行危機に対処するには決して十分ではない。公的な最後の支えが必要だ。

  • 国債のリスクウェイトをゼロとする扱いは、国債保有の誘因をさらに強め、「サルコジ・キャリートレード」を助長する。

  • 何より重要なのは、合意されたばかりの銀行同盟が将来を見据え、次の危機に備えて設計された枠組みであり、現在の危機への対処を目的としていないことだ。

もう到着したのだろうか。

ユーロ圏は危機を脱しつつあるという見方が強まっている。アイルランドとポルトガルがトロイカの支援プログラムを終了し、ギリシャには景気回復の兆しが見られ、キプロス危機も懸念されたほど深刻ではなかったことから、最悪期は過ぎたのではないかという期待には根拠がある。

さらに、欧州全域では、市場規律が戻りつつあるという重要な前向きの傾向が見られる。2014年に多くの銀行が追加の株式資本を調達するため市場にアクセスしたことは、ECBに強制される前に行ったとされることもあり、市場規律の回復と解釈できる。欧州の銀行同盟もユーロ圏の銀行資本増強メカニズムもないなかで、最近の銀行破綻では、劣後債権者は救済されるのではなくベイルインされた(SNS Reaalおよびキプロス)。これは、ベイルイン規則の適用開始は2016年以降とされているにもかかわらずである。

銀行同盟をめぐる議論は、欧州金融における銀行システムの役割という、より広い問題にも関わっている。多くの論者が指摘するように、欧州の金融システムは銀行への依存度が高く、銀行以外の金融サービス提供者や資本市場の役割は限られている(European Systemic Risk Board 2014)。国債を買う銀行以外の主体が限られるため、これは政府と銀行の結びつきを強める。また、金融システムの集中度を高めることで、銀行の規模が大きくなるだけでなく、大手銀行への依存も強まる。

結びの言葉

AQR/ストレステストの実施後、そして銀行同盟の合意後に最大のリスクとなるのは、銀行同盟が中途半端であることとは限らない。むしろ、「やり遂げた」という感覚から生じる油断かもしれない。欧州には長期的な改革課題が待ち受けている。まだ道半ばだ。

参考文献

European Systemic Risk Board(2014)、「欧州の銀行部門は過剰か?」、Advisory Scientific Committee Report 4、6月。

Schoenmaker, D(2012)、「銀行同盟:進むべき道を誤っている理由」、VoxEU.org、10月16日。

掲載協力: VoxEU

著者:Thorsten Beckは、ロンドンのCass Business Schoolの銀行・金融学教授であり、オランダのTilburg Universityの経済学教授。

画像:2012年11月6日、フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)本部の横にあるユーロ記号。REUTERS/Lisi Niesner。

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