私のカレンダーを見れば、何をする時間なのか表示されていないのに、灰色で塗られた時間枠がたくさんあることに気づくでしょう。Outlookやプリンターに問題があるわけではありません。この灰色の部分は「バッファ」、つまり私が意図的に会議を入れずに空けておいた時間帯です。
合計すると、私は毎日90分から2時間ほどバッファを設けています(30~90分の枠に分けています)。ここ数年で身につけたこの仕組みは、会議が次々と詰め込まれ、自分の周囲で何が起きているのかを整理したり、ただ考えたりする時間がほとんど残らないほど予定が立て込むようになったことへの対応策です。
当初、こうしたバッファはぜいたくに感じられました。その時間を、先送りにした会議や「参加しない」と伝えた会議に追いつくために使うこともできたからです。しかし、時がたつにつれて、こうした休憩は重要なだけでなく、自分の仕事をするうえで絶対に必要だと気づきました。
その理由を説明しましょう。
組織が拡大するにつれて、そのリーダーシップの役割も進化し、組織とともに拡大していく必要があります。私は、この変化が少なくとも二つの連続体に沿って起こるのを見てきました。問題解決からコーチングへ、そして戦術的な実行から戦略的思考へ、という変化です。どちらの移行にも必要なのは、たっぷりとした時間です。会議の上に会議を際限なく重ねていけば、こうしたことに適切に取り組む時間は消えてしまいます。
たとえば、コーチングを考えてみましょう。上級リーダーにとっては、人々の問題を代わりに解決するほうが手っ取り早いことがよくあります。持ち込まれる課題を解決してきた長年の経験があるからです。しかし、そうすると短期的な安心が得られる一方で、長い目で見れば時間の負担が増します。組織が大きくなれば、そうした問題の頻度も増えますが、あなたは一人しかいません。ほかの人が課題に直接対処できるようコーチングしなければ、すぐにそればかりをする立場に陥るでしょう(その結果、1日の会議はさらに増えます)。それではチームも会社も運営できません。
人々の心を動かすもの――それぞれに異なる視点や恐れ、動機、チーム内の力学など――を理解し、次に同じ問題に直面したとき自力で解決できるだけでなく、自分のチームにも適切なコーチングができるようになるまで支援するには、やり方を指示するよりはるかに多くの時間がかかります。人への投資を持続可能な形で行う唯一の方法は、会議から次の会議へと飛び移るのではなく、その恩恵を最も受ける人を適切にコーチングする時間を確保することです。同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのは、会議の合間に充電する時間を取ることです。次にコーチングを必要とする人に向き合うとき、最高の状態でいられるようにしたいのです。
戦術的な実行から戦略的思考への移行についても同じことが言えます。常に、物事を成し遂げ、To Doリストから次の項目を消していく必要はあります。しかし、会社が大きくなり、取り組みの幅と深さが広がり、競争環境や技術環境が加速しながら変化し続けるにつれて、ただ考えるための時間がこれまで以上に必要になります。会社が3~5年後にどのような姿になっているかを考える。すでに人気のある製品を改善する最善の方法や、満たされていない顧客ニーズへの対応を考える。競争上の優位性を広げる、あるいは競争上の隔たりを埋める方法を考える、といったことです。
その思考を適切に行うには、途切れることのない集中が必要です。前提を徹底的に練り、問い直すこと。絶えず届くデータ、情報、知識を総合すること。点と点を結び、信頼できる同僚とアイデアをぶつけ合い、複数のシナリオを検討しながら繰り返し改善すること。つまり、時間がかかります。そして、その時間は自分で確保しなければ得られません。反対に、先を見越して考える時間を取らなければ、環境に影響を与えるよりも、環境に反応することが増えていくでしょう。その結果生じる状況への対応には、最初から戦略的に考えていた場合よりも、必然的にずっと多くの時間(そして会議)が必要になります。
何よりも、バッファを予定に組み込む最も大切な理由は、ただ一息つくことです。オフィスに着いた瞬間から出る瞬間まで会議を連続して入れることほど、自分の1日が自分のものではなく、もう自分でコントロールできていないと感じさせるものはありません。私はその影響を身をもって感じ、同僚にも見てきました。そう感じるのは楽しくないだけでなく、持続可能でもありません。
解決策は、単純に聞こえるかもしれませんが、定期的に何も予定を入れないことです。そのバッファ時間を、大きな視点で考えること、業界の最新ニュースを読むこと、未読メールの山を片付けること、あるいは散歩に出ることに使いましょう。何をするにせよ、毎日、体系的に、自分のための時間を必ず確保し、予定のない時間を成り行き任せにしないでください。バッファは自分自身への最良の投資であり、私が使う生産性向上ツールの中で最も重要なものです。
LinkedInとの協力により掲載 LinkedIn
著者:Jeff WeinerはLinkedInのCEOです。
画像:2014年2月26日、ロンドンのカナリー・ワーフ・ビジネス地区にあるオフィスに到着する従業員。REUTERS/Eddie Keogh。



