インド政府は、規則の透明性を高めるため法律を改正しているが、ビジネス界も、腐敗を積極的に助長する同業他社を名指しで批判し、公の場で非難しなければならない。
先般、インドおよび海外のビジネスリーダーたちが、世界経済フォーラムが 腐敗防止パートナーシップ(PACI) と共催した、ニューデリーでの腐敗防止対策に関するワークショップおよび討論会で、自らの経験について語った。共催者には トランスペアレンシー・インターナショナル および 国連グローバル・コンパクトも名を連ねた。
参加者の大半は、汚職と戦うための建設的な提案を示したが、ある著名な地元企業のリーダーが、インドで腐敗防止対策をテーマとするイベントに参加したのは今回が初めてだと語った場面は、まさに目から鱗の瞬間だった。この企業リーダーは、ほぼ30年にわたり事業に携わってきており、世界的企業の会長を務めている。
この発言を受けて私も考えさせられ、その言葉の重みを改めて実感した。確かに、汚職はさまざまな会合で話題に上り、多くの社会団体や政治団体も汚職問題を提起することに余念がない。しかし、経済の場で企業トップが汚職について議論する姿はめったに見られない。
ここ数年、インドでは汚職をめぐる活発な議論と公的な行動が見られてきた。汚職に対する怒りの多くは政府機関に向けられてきた。大企業も批判の的となっている。しかし欠けているのは、企業リーダーが汚職と戦うよう呼びかけることである。政府機関が依然として極めて不透明であり、大臣が大きな裁量権を握り、官僚が法の抜け穴を巧みに利用している一方で、企業もまた同様に加担している。
インドの企業リーダーは政府の汚職を声高に批判している。しかし、汚職事件に深く関与している同業他社については、驚くほど沈黙を守っている。企業トップは汚職の原因として、政府の規則や規制をしばしば非難する。それは事実である。しかし、それが汚職の唯一の理由ではない。汚職を新たな段階へと押し上げているのは、縁故資本主義である。大臣や官僚との近しい関係を利用し、企業の利益のために規則を日常的に曲げている。多くの企業が競争で優位に立つために不正な手段を用いていることを、企業リーダーは公に認めていない。
インドの企業リーダーは、成長を妨げる障害を取り除きたいのであれば、より高い水準の透明性と誠実さを採用しなければならない。市民社会は、産業界を信頼しない限り、天然資源への容易なアクセスを認めないだろう。地域社会からの大企業への反発は、すでにインドの成長にとって大きな障害となっている。政府が規則の透明性を高めるため法律を改正しているにもかかわらず、ビジネス界も、腐敗を積極的に助長する同業他社を名指しで批判し、公の場で非難しなければならない。
透明性を信条とする企業が結束すれば、この問題の多くは解決できるだろう。それが転換点となり得る。多くの企業がPACIの取り組みに参加し、クリーンな経営を誓約している。彼らは、贈賄をせずに事業を行うことが長期的には報われると心から信じている。
さらに多くの企業がこのような取り組みに加わらなければならない。インドの業界団体は、汚職や不正行為について率直かつ誠実に語る必要がある。公の場での議論も、さらに増やさなければならない。市民社会のリーダーは、クリーンであることを公然と誓約する企業を奨励し、称えるべきである。これこそが、汚職との戦いに勝ち抜くための唯一の道かもしれない。
執筆者:プランジャル・シャルマ(インドのビジネスワールド誌コンサルティング・エディター)。 本記事の一部は、もともとビジネスワールド誌に掲載されたものである。
写真:ムンバイで撮影されたインドの紙幣(ロイター/Vivek Prakash)


