農地や飲料水が乏しく、壊滅的な洪水や干ばつにたびたび見舞われるアフリカの角にある小国ジブチで、3人の子どもを育てる母親になったと想像してみてください。この厳しい環境では、食料価格の高さから、あなたと夫は子どもたちや自分たちに食事を与え、世話をすることが困難です。
どの母親もそうであるように、家族にとって最善のことを望んでいますが、世帯収入は不安定です。
「私たちの収入は、夫が見つける仕事次第です」と、ある女性ならよくこう話すでしょう。「たいていは日払いです。仕事が見つかるのが週に一度だけのこともあります」。その結果、5歳未満の子どもの70%と、妊娠中または授乳中の女性の15%が、程度の差こそあれ慢性的な栄養不良に苦しんでいます。紅海に面した港を持つ砂漠の国ジブチの人口は、わずか90万人です。
では、どうしますか。近所に住む6人の子どもの母親に話しかけ、どうやって暮らしているのか尋ねます。彼女は、子どもたちに最適な食事を与える方法について支援を受けられる場所に行くところだと言います。あなたも一緒に行きます。
その施設は、社会セーフティネット(SSN)プログラムの一種です。こうしたSSNプログラムは、最も貧しく、最も脆弱な世帯を守り、将来に向けてより良い投資を行うよう促すことを目的としています。これらは、地域開発における権利に基づくアプローチの例です。貧困層へのサービス提供にとどまらず、長期的で持続可能な変化を実現する手段として、社会的エンパワーメントに重点を置いています。
こうしたプログラムの一つが、世界銀行の資金提供を受けた ジブチ社会セーフティネット プログラムです。 このプログラムは、一時的な仕事の提供と、栄養に関する基礎教育を組み合わせています。妊娠中・授乳中の女性や、2歳未満の子どもを持つ女性を対象に、栄養に関する助言と短期就労の機会を提供しています。
栄養について学び、少額の収入を得ている女性たちの声を聞き、子どもの健康に対するプログラムの影響と、経済的な意思決定への効果を理解したいと考えました。
プログラムに参加している女性とその夫、また参加していない女性とその夫の一部に聞き取り調査を行いました。そこから、興味深く、希望を感じさせる知見と結果が得られました。
ジブチの多くの世帯では、妻が世帯収入を管理し、夫は自分のためにその一部だけを取っておきます。栄養プログラムと就労対現金給付プログラムの両方に参加している女性の約70%が、世帯の現金を管理していると答えました。しかし、ほぼ半数は、結局のところ、お金を管理しているのは自分でも、使い道を決めるのは夫だとも答えました。
就労対現金給付プログラムでは状況が変わり、女性たちは実際に主導権を握れるようになったようです。栄養プログラムと一時就労プログラムの両方に登録した女性のほぼ全員(95%)が、自分の収入を自分で管理していると答えました。ある女性は「夫には一銭も渡しません。家族に必要なものは私が責任を持って用意します」と話しました。
女性のほぼ全員(93%)が、追加収入を食料や、住まいの改修、衣類、蚊帳など家族の役に立つものに使ったと答えました。しかし、一般的な貧困水準と消費財の価格の高さを考えると、この追加収入だけでは必要を満たすには不十分でした。
このプログラムは参加者に将来への希望も与えました。小規模な商売を営む自分(20%)や、安定した賃金の仕事に就く自分(20%)を思い描いたのです。多くの女性が貯蓄したいと話しましたが、貯められないことにいら立ちを感じていました。「場合によります」と、ある女性は言いました。「貯蓄できるときもありますが、毎日食費がかかるので、そういうことはめったにありません」。
プログラム期間中に子どもの健康が改善したと話す女性が複数いました。特に、子どもの体重の推移を把握できることや、料理の実演を通じて栄養のある食事の作り方を学べることがよかったと述べています。「子どもは栄養不良でしたが、健康状態が改善しました」と、ある女性は話しました。
回答者の約66%が、プログラムを継続し、さらには拡大すべきだと答えました。参加した女性とその夫は、学んだ情報を近所の人や家族にも伝え、ほかの地域もプログラムに加えるべきだと話しました。聞き取りを受けた夫の中には、これを「完璧なプログラム」と評し、「終わらせないでほしい」と求める人もいました。また、ジブチでは食料や衣類が高価なため、「1日当たりの収入を1,500 FDに増やしてほしい」と要望しました。
ジブチのSSNプログラムは、栄養分野で権利に基づくアプローチを採用する利点を示しています。
女性が管理する収入は、男性が管理する収入に比べて、子どもの栄養状態や世帯の食料安全保障に大きな効果をもたらすことを示す世界各地の証拠があります。例えば、ジブチに隣接するエチオピアでは、地域主体のプログラムによって、子どもの発育阻害を減らすための地域の知識が向上しました。インドやバングラデシュでも、公共事業プログラムがプラスの効果を上げています。
以下との協力により掲載: 世界銀行
著者:ステファニー・ブロッドマンは、中東・北アフリカ地域の社会保護・労働ユニットに所属するエコノミストです。
画像:2008年6月24日、アビジャン近郊のビンゲルヴィルで、キャッサバの根を挽く準備をする人々。ロイター/ティエリー・グエニョン



