機動性、レジリエンス、インパクト:フィンテックはいかに世界的パンデミックを乗り越え、前向きな道筋を描いたか

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  • 世界各地のフィンテック企業は、COVID-19禍に予想を上回る成長を報告した。

  • ロックダウン措置がより厳格だった地域ほど、成長は速かった。

  • パンデミック中、フィンテック企業は女性、低所得世帯、中小企業(SME)にサービスを提供できた。これらはいずれも、従来、金融サービスへのアクセスに課題を抱えてきた層である。

「世界COVID-19フィンテック市場迅速評価調査」が世界的パンデミックの最初の6か月間におけるフィンテック市場の状況を示した際、その業績はかなり良好だったことがうかがえた。

2020年上半期に成長を報告したフィンテックの事業分野は、2019年の同時期と比べて1分野を除くすべてに及び、一部の分野では取引量が前年比21%増となった。

ロックダウン、ワクチン接種計画、政府介入の程度の違いを経た2年後、これらはフィンテック業界にどのような影響を与えたのだろうか。そして、なぜ重要なのだろうか。

初回調査の続編として、ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネス・スクールのケンブリッジ代替金融センター、世界銀行グループ、世界経済フォーラムは共同で、世界COVID-19フィンテック市場への影響と業界のレジリエンスに関する調査を発表した。

192の法域で事業を展開する1,448社のフィンテック企業からの回答に基づく最新データによると、フィンテック業界は初回調査で示されたよりも高いレジリエンスを発揮したが、その業績は地域や事業分野によってばらつきがあった。

フィンテックの成長に影響する要因

最終的に、1分野を除くすべての分野が、当初「迅速評価調査」で報告されたペースを上回る成長を遂げた。小売向けフィンテック企業の調査回答では、取引総額が平均47%増加した。記憶にある限り最も厳しい事業環境の一つにおいて、この成長を促した要因は何だったのだろうか。

まず、各国の発展段階が、成長を説明する重要な要因であり続けている点を認識することが大切だ。先進国(AE)で事業を展開する企業は、新興市場・発展途上国(EMDE)の企業と比べ、取引量と成長の両面で依然として優位に立っていた。唯一の例外は、世界の取引量で最大の事業分野であるデジタル決済であり、EMDEの企業の成長率のほうが高かった。

さらにデータは、COVID-19関連のロックダウン措置が厳格であるほどフィンテック企業の成長が速く、回答企業全体で取引額の増加幅も大きかったことを示している。また、小売向け企業にとっては、政府の救済プログラムで販売代理パートナーを務めたことも、事業を促進する重要な要因だったことが示唆される。

これは、フィンテック企業がデジタルのチャネルや手段を活用して金融サービスを提供する能力、そして機動性と柔軟性を生かしてビジネスモデルを迅速に転換し、新たな商品やサービスを立ち上げる力を裏付けている。

世界COVID-19フィンテック市場迅速評価調査Image: 世界経済フォーラム

金融包摂拡大の原動力

調査回答から得られた特に注目すべき知見の一つは、フィンテックが金融包摂の拡大に貢献する可能性に関するものだ。これは大いに期待されながら、これまで定量化が難しかった利点である。

フィンテックが金融包摂に及ぼす全体的な影響を理解するには、さらなる調査が必要だが、本調査は実証データの収集に向けた第一歩を踏み出した。フィンテック企業が報告した顧客の多くは新規顧客であり、従来、金融サービスへのアクセスに課題を抱えてきた層であることが明らかになった。こうした層には、女性、低所得世帯、中小企業(SME)が含まれる。

世界的に見ると、本調査で確認された小売向け事業分野の大半で、低所得世帯および女性の顧客の割合は、先進国(AE)より新興市場・発展途上国(EMDE)のほうが高かった。実際、多くのフィンテック事業分野では、低所得世帯と女性の割合が顧客全体の50%を超えている。例えばデジタル決済企業によると、低所得層の顧客の割合は世界全体で55%、EMDEでは73%だった。

Wef Covid 19 Fintech パネルディスカッション (1080p)
Wef Covid 19 Fintech パネルディスカッション (1080p)
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世界的パンデミックの最中にこうした層へより良くサービスを提供できたことは、フィンテックの提供モデルがデジタルであることに由来する。例えば、携帯電話を通じて銀行口座を持たない、または銀行サービスが十分でない人々や企業に接点を持ち、より手頃な商品やサービスを提供できる。

規制がフィンテックに与える影響

確認された業績に寄与した可能性のあるもう一つの側面は、規制当局による支援の有無だ。概して、フィンテック企業は、パンデミック中に各法域で講じられた規制上の対応は適切だったと感じていた。特に顧客獲得に関する措置、例えばリモートでの顧客登録の支援、サイバーセキュリティ対策の標準化、顧客デューデリジェンスの簡素化が評価された。

しかし、フィンテック企業は、さらなる支援が必要な分野も多いと考えていた。例えば、認可やライセンス取得の迅速化、負担の少ない監督要件は、より一層の支援と手続きの合理化が必要な主要事項として企業から挙げられた。

また、経済発展の段階によって規制支援への満足度に違いがあり、EMDEの企業は、利用可能な規制支援への全体的な満足度がAEの同業他社より低いと報告した。

これは、EMDEの規制当局が、金融イノベーションを支援する必要性と、こうした活動が消費者や金融の安定にもたらし得るリスクに対処する必要性との均衡を図りながら、イノベーションを可能にする規制環境の整備を引き続き進める必要があることを示唆している。

COVID-19とフィンテックの事業運営の健全性

事業運営のレジリエンスと財務健全性の観点から、フィンテック企業は、自らの業界がCOVID-19による課題にうまく適応したと捉えており、すべての事業分野で売上高と収益の増加を報告した。

売上高と収益の増加が、報告されたあらゆる費用(固定費を除く)の増加を相殺したかどうかは本調査では評価していないが、企業が「COVID-19迅速評価調査」での予測と比べて、企業評価額の上昇や資金調達活動の増加を報告したことは記録されている。

同様に、前回調査で明らかになった傾向を踏まえ、フィンテック企業はプラットフォームのセキュリティ強化を引き続き優先している。3分の1を超える企業が、2020年にサービスへ加えた主な変更として、サイバーセキュリティ機能の強化と不正防止を挙げた。

世界経済フォーラムは、より効率的で、レジリエンスが高く、包摂的かつ公平な金融システムの実現にどのように貢献しているのか。

金融・通貨システムセンターは、持続可能性やレジリエンスからイノベーション、デジタル化まで、世界の金融システム全体にわたる変革への理解を深めるため、リーダーを招集する。

協力と知見の共有を促すことで、同センターはパートナーが金融システムを長期的な経済の安定と共通の繁栄に沿わせる支援を行う。

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こうした変更は、リスク評価への対応とみられる。これら二つは2019年に最も多く報告されたリスクだった。企業が認識するこれらのリスクの水準が低下したと報告していることから、変更は効果を上げたと考えられる。

フィンテック業界には、特にEMDEにおける企業と規制当局の関係強化など、依然として課題があることは明らかだが、本調査はCOVID-19パンデミック中にこの業界が発揮したレジリエンスを明らかにしている。

本調査は、フィンテック企業が前例のない事業運営上の課題をいかに乗り越えたかだけでなく、従来、金融サービスへのアクセスに課題を抱えてきた主要な顧客層へのサービス提供で、重要な役割を果たし得ることも示している。経済や地政学をめぐる不確実性が続くなか、このレジリエンスはさらなる圧力を乗り越えるうえで不可欠となる。

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