2月28日から3月1日にかけての週末、オーストリア政府は、金融規制当局が発見した資本不足を埋めるためのHeta Asset Resolutionへの支援を拒んだ。この拒否は、Hetaと、Hetaが再編支援のために設立された銀行Hypo Alpe Adriaに対し、ほぼ10年にわたり数十億ユーロの公的支援を行ってきた後の大転換だった。
国内または世界的にシステム上重要な金融機関(SIFI)に対する公的部門の救済は正当化される場合がある。介入がなければ、ある国の金融部門が崩壊し、経済全体を巻き込むおそれがある。このためバーゼルIIIは現在、SIFIに他の銀行より高い自己資本要件を課している。米国では、ドッド=フランク法により、そうした銀行は経営難に陥った場合に備えた緊急時対応計画の策定を義務づけられている。欧州では、システム上重要な約130の大手銀行が欧州中央銀行の単一監督メカニズム(SSM)の監督下に置かれる一方、単一破綻処理メカニズム(SRM)が、破綻する銀行をいつ、どのような条件で支援するかを定めている。
しかし、銀行の破綻を容認するかどうかの判断は、それが国内または世界的なSIFIかどうかだけで決まることはまれだ。政治家は銀行破綻が地域に及ぼす影響も考慮する。銀行規制が国より下位の行政レベルで行われ、選挙区の境界と一致する場合、ある銀行は国全体の経済の健全性にとって重要でなくても、特定の経営難にある銀行への対応を決める政治家にとっては重大な存在となりうる。そうした場合、政治的に重要な金融機関(PIFI)は、本来なら得られないはずの恩恵を受けることがある。
PIFIの論理が、ドイツで相次いだ銀行支援策を後押しした[1]。銀行救済に断固反対する国というドイツの一般的なイメージとは裏腹に、ユーロ圏危機の間、ドイツの銀行には相当な公的支援が行われた。実際、当初破綻を容認されたのは、ごく小規模な銀行3行だけだった。この一見した矛盾は、ドイツの連邦制の構造と、政治家が銀行部門に対して持つ権限によって説明できる。WestLBやHSH Nordbankなど、国全体の視点ではシステム上重要でなかったドイツの銀行も、最近の危機の発生時には州レベルの政治家にとって重要だったため、破綻を防がれた。
オーストリアのHypo Alpe Adriaでも、同じ力学が展開している。オーストリアのケルンテン州はこの融資機関の一部を所有し、手厚い保証を与え、当時の与党、すなわちイェルク・ハイダー率いるFPÖの肝いり事業に利用した。ドイツの州立銀行Bayern LBは2007年に同行を買収した。2008~09年の金融危機で深刻な経営難に陥った際も、Hypo Alpe Adriaは政治的に重要な存在であり続け、州政府と連邦政府の双方から公的な財政支援を受けた。最終的に2009年に国有化された。
しかし、この話には新たな展開がある。2月28日から3月1日にかけて行われた、Hypoの不良銀行Heta Asset Resolutionに残る資産の再評価により、連邦政府は理論上、さらに76億ユーロの負担を負うことになった。今回は、政治的な負債となったこの機関への支援に、連邦政府は難色を示した。真のベイルインであれば、ミュンヘンに拠点を置く州立銀行が約20億ユーロを負担することになると見込まれる。一連の訴訟が続いている。
もちろん、他のEU加盟国の中には、北部の「黒字」国の銀行問題にほくそ笑む人もいるかもしれない。しかし、慎重であるべきだ。この事例はケルンテン州とバイエルン州の政府が関わるものだったが、欧州連合にも同様の状況を想定できる。ある国の政府が自国の銀行を懸念し、支援措置を講じる。その銀行はさらに深刻な経営難に陥り、ユーロ圏の単一監督機関が破綻処理を命じる。手続きの開始時点で、SRMは株主のベイルインを想定する。真のベイルインが大口株主、ひいては隣国の政治家に打撃を与えるシナリオも考えられる。彼らはただ支払いに応じるのだろうか。それとも、現在オーストリアとバイエルンで見られるような法廷闘争が起こり、真の破綻処理までさらに数年を要するのだろうか。
また、Hypo Alpe Adriaの資金不足が本来あるべき規模を上回っているのは、まさに同行が国内のPIFIだったためである点にも留意したい。そのため融資判断にはモラルハザードが生じ、本来よりはるかに長く、かろうじて存続できるよう公的支援が与えられた。ここでも、欧州レベルとの類似は明らかだ。問題を抱える銀行がSSMの対象となる当初の130行に含まれていなければ、欧州当局がその問題を知るのは大幅に遅れ、損失全体もはるかに膨らんでからになる可能性がある。まさに、早期に清算されなかったためである。
この記事は、 Bruegelとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムによる見解への賛同を意味するものではありません。
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著者:Christopher Gandrudは、Hertie School of GovernanceのFiscal Governance Centreの博士研究員です。Mark HallerbergはBruegelの非常駐フェローです。
画像:フランクフルトにある欧州中央銀行(ECB)本部。REUTERS/Ralph Orlowski


