「エネルギー転換関連金属」、つまり電池、電気自動車、再生可能エネルギー製品に由来する金属のリサイクルは、大きな成長の可能性をもたらす。
国内での加工と消費を促す政策を背景に、二次供給網の構造は進化しなければならない。
メーカーが供給の安定確保を求めるなか、主要な成長市場では垂直統合が進むと予想されるが、それには代償が伴う。
スクラップ革命が到来しつつある。エネルギー転換関連金属の需要が驚異的に伸び、リサイクルへの大規模な投資を支える。乗り越えるべき障壁は多いが、機会は計り知れない。では、金属リサイクルへの関心が再び高まっているのはなぜだろうか。
いくつかの要因が、リサイクル金属への投資の長期的な急増を支える。
一次金属の供給制約:エネルギー転換は電化を基盤とし、金属を極めて多く必要とする技術に依存する金属集約型。リサイクルは一次供給の制約緩和に役立つ。
炭素排出、持続可能性、二次資源を選好する動き:鉄鋼とアルミニウムを合わせると、世界の排出量のほぼ10%を占める。二次アルミニウムの生産によるカーボンフットプリントは、通常、一次生産の5分の1から25分の1である。鉄鋼では、スクラップを使うことで排出量が半減することも多い。リサイクルは、再利用可能な材料が埋め立て処分されるのを防ぐ。
金属供給の安定確保: 地政学的不安定と重要鉱物の中国依存は、米国や欧州連合などで大きな懸念となっている。国内で調達したリサイクル金属を使えば、輸入や単一の供給元への依存を減らせる。
金属スクラップ革命を促す
世界がより循環型の経済へ移行するには、現在の市場力学に構造的な変化が必要だ。二次市場の方向性を決める5つの重要な潮流を見てみよう。
1. 二次金属サプライチェーンの再均衡
二次金属をめぐる現在の市場力学は、気候変動の抑制や重要資材の供給確保と両立しない。多くの市場では、依然として大きな貿易不均衡がある。
銅を例に挙げよう。中国は毎年、約350万トンの銅スクラップを処理している。しかし、そのうち国内由来は60%にすぎず、残りは輸入品だ。対照的に、北米は年間約150万トンの二次銅を回収しているが、その40%超を輸出している。
政策 スクラップ供給の「国内回帰」を促し、輸出を抑制するための政策が増えている。特に、品質基準の厳格化や輸入制限を通じて実施されている。
こうした政策によってスクラップ貿易の脱グローバル化が進み、新たなスクラップ処理能力を多数生み出す機会になると考える。

2. 垂直統合と集約化:循環を完結させる
二次原料の供給は限られ、貿易は混乱し、価格は変動しやすい。さらに、この分野では環境・社会・ガバナンス(ESG)監視が強まっている。そのため、持続可能で低炭素な原料として明らかな利点があるにもかかわらず、新たなリサイクル能力の構築は難しい場合がある。
安定した供給、品質、コンプライアンスを確保する最善の方法は、バリューチェーンのより広い部分を自社で保有することだ。しかし、メーカーが必ずしも金属加工を望むとは限らず、金属加工業者もスクラップの回収を望むとは限らない。
新たなビジネスモデルや、リサイクルと製造における革新的な手法には機会がある。最近の取引として、リオ・ティントの事例が挙げられる。鉱業を本業とする同社は、リサイクルアルミニウムビレットの大手生産者であるマタルコの株式50%を取得した。これにより、北米各地の上流工程に当たるスクラップヤードへのアクセスを確保し、低炭素の供給を実現している。
電気自動車(EV)のリチウムイオン電池などの黎明期にある市場は、市場開拓の面で白紙の状態だ。そこには、イノベーションを生み出し、循環を完結させる機会がある。
新たな規制、貿易関税、炭素政策は、スクラップのコストと価値に影響を及ぼす。
ニック・ピケンズ、調査ディレクター(金属・鉱業) | ジュリアン・ケトル、副会長(金属・鉱業)
3. 逼迫するスクラップ供給の緩和
リサイクル率と設備稼働率が改善しなければ、二次原料への需要がスクラップ供給をさらに逼迫させる可能性がある。一方、リサイクル材の最低含有率に関する法規制は、特に高品位材料への需要を押し上げる。
リサイクル率は、最終用途の分野や地域によって大きく異なる。アルミニウムでは、使用済み飲料缶の容器包装リサイクル率は幅があり、米国の45%からブラジルの90%までとなっている。
銅では、電着箔の製造工程(EV用電池に使われる箔)で主に高品位のスクラップが使われる。具体的には、きれいで純度の高い銅線や、銅線材の切れ端などだ。電着箔工場の増設に伴い、銅スクラップをめぐる競争は激化する。
回収、選別、加工を経て、増加するスクラップを最終用途製品へどれだけ迅速かつ効率的に転換できるかが、今後の展開を左右する。
4. リサイクル技術の革命
多くの成熟市場では、低品位のスクラップが限界供給源となっている。一次供給が逼迫した際には、コストの高い生産が市場の供給弾力性をもたらす。より低い採算価格で、より多くの供給量を引き出すには、技術の進歩が必要だ。
リサイクル技術の進歩は、すでに金属スクラップ処理の効率と品質を高めている。センシング、選別、分離技術の革新により、使用済み製品からの回収率が向上し、廃棄物が削減されている。
デジタル化とデータ分析も、業務の最適化や金属スクラップのバリューチェーンにおける材料追跡の改善に重要な役割を果たしている。
5. 価格決定メカニズムの変化
二次材料の世界的な価格決定メカニズムは、多くの差別化された商品と同様に機能している。価格形成は一般に、価格報告機関を通じて行われる。ロンドン金属取引所には鉄鋼スクラップ先物市場があるが、こうしたメカニズムはいずれも特に透明性が高いとはいえず、トレーダーや市場参加者には機会がある。
金属スクラップの価格は通常、基礎となる一次金属価格に基づいて決まる。そのため、製錬業者、精製業者、半製品メーカーは、スクラップに含まれる金属の価値から割り引いた価格を支払う。この割引幅は、スクラップと一次金属の地域ごとの需給状況によって変わる。
新たな規制、貿易関税、炭素政策は、スクラップのコストと価値に影響を及ぼす。炭素価格や国境調整措置は、十分に活用されていないスクラップ資源の経済性を高める。スクラップ、一次金属、稼働率の間にあった歴史的な関係が崩れる可能性もある。消費者がグリーンプレミアムを支払う意思を持つかどうかが重要になる。リサイクル業者の中には、施設の収益性を維持するためにそれに依存しているところもある。
ガーナの女性ごみ回収作業員が直面する課題
総じて、金属リサイクルは大幅な成長が見込まれる。二次市場の機会を認識し、それに応じて適応する企業は、経済面と環境面の利点を享受できる。


