若木を包むコクーンは、最も過酷な気候の地域でも森林の再生に役立つ可能性がある。
生分解性の樹木用インキュベーターが、異常気象などの脅威から苗木を守る。
6年前に誓約がなされたにもかかわらず、世界の森林再生は遅々として進んでいない。
生態系の劣化は大きな問題であると同時に、大きな機会でもある。
これは32億人の人々の幸福に影響を及ぼし、国連によると、世界の年間総生産の約10%に相当する損失をもたらしている。しかし、樹木や植物を植えるなどして過剰利用された生態系を自然に再生させれば、人々と地球の双方に広範な恩恵をもたらす可能性がある。
2014年の国連気候サミットで、各国は今年までに1億5,000万ヘクタール、2030年までに3億5,000万ヘクタールの森林を再生することを約束した。国連の食糧農業機関によると、これまでの進展は遅い。
しかし、世界各地で多くのプロジェクトや取り組みが状況を変えようとしている。その一つが、オランダのスタートアップ、ランド・ライフ・カンパニーだ。

樹木用インキュベーター
世界では、20億ヘクタールの土地が劣化していると、ランド・ライフ・カンパニーの共同創業者兼CEO、ユリアン・ロイス氏は述べる。これは米国と中国を合わせた面積に相当する。「火災や大規模な森林伐採、放棄された農地が原因です」と同氏は言う。
ロイス氏は、気候変動の影響を緩和するとともに、地域の人々の生計を支える持続可能な森林をつくり、この20億ヘクタールの土地の再生を支援したいと考えている。
その方法は?若木を包み込み、成長を助けるポッドを使う。

100%生分解性の樹木用インキュベーターには25リットルの水が入る。苗木が成長する重要な最初の数カ月間、水を与えるためだ。コクーンは水分の蒸発を防ぎ、雑草が木の成長を妨げるのを抑える。
また、動物や鳥が若木を食べるのを防ぐ保護シールドを備え、厳しい暑さや乾燥した風から苗木を守る。
同社は、丈夫で、植樹する場所に適した樹種を選んでいる。植樹から6~12カ月以内に、若木は自力で健全に成長できるようになり、地中深くに根を伸ばして、必要な水分を土壌から得られるようになるという。
世界に広がる希望
このコクーンはすでに、米国やメキシコからスペイン、カメルーンまで、さまざまな国で使われている。現在は、同国の森林委員会と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が共同で実施するプロジェクトで、スーダンの森林被覆を回復するために活用されている。
2019年だけで同プロジェクトは100万本の木を植え、2020年にはさらに数百万本を植える計画だ。また、苗木の育成場も設立され、ランド・ライフのコクーンを使って年間20万本の苗木を育てる予定だ。
自然環境を再生するだけでなく、このプロジェクトは地域の人々や、南スーダンの紛争から逃れてきた難民に雇用を提供している。難民は以前、薪を取りに8時間歩いていた。しかし、新たな森林のおかげで薪を地域で調達できるようになると、UNHCRのイマデルディン・アリ氏は述べる。
「今年の計画は、ホワイトナイル州にある9つのキャンプそれぞれの周辺に木材生産林、つまり小規模な森林をつくり、難民が長年にわたり伐採してきた木々を補うことです」とアリ氏は言う。
未来に向けた解決策
ランド・ライフのコクーンは、気候変動対策に取り組むスタートアップを選ぶGlobal Cleantech 50 to Watch Innovationsの一つに選ばれた。
同社は現在、すでにドローンや衛星画像を使ってコクーンで保護する木々の植樹場所を決めているが、技術ツールの選択肢をさらに広げるため、人工知能とブロックチェーンを活用したソリューションを開発している。
こうしたプロジェクトの影響は非常に大きい可能性がある。国連によると、今から2030年までに劣化した土地3億5,000万ヘクタールを再生すれば、生態系サービスから9兆ドルの価値を生み出し、大気中からさらに最大260億トンのCO2を除去できる可能性がある。
世界経済フォーラムは、森林の保全と再生に取り組む国連やその他の組織を支援するため、1t.orgを立ち上げた。この世界的な取り組みは、世界中で1兆本の木を育て、再生し、保全するために、各国政府、企業、非政府組織の結集を目指している。




