COP27:開催の意義と行動に向けた5つの重点分野

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  • COP27は、国連気候変動枠組条約に署名した198カ国のグループによる次回会合です。

  • 11月6日から18日まで、エジプトの都市シャルム・エル・シェイクで開催されます。

  • 国連は、世界の先進工業国に対し、「率先して模範を示す」ため、「大胆かつ即時の行動」を取るよう求めています。

  • 注目すべき5つの主要課題は、自然、食料、水、産業の脱炭素化、気候変動への適応です。

「パキスタンでは国土の3分の1が洪水に見舞われました。ヨーロッパでは過去500年で最も暑い夏となりました。フィリピンは大きな被害を受けました。キューバ全土が停電しました。そして……米国では、ハリケーン・イアンが、気候危機の影響を免れる国も経済もないことを、残酷なまでに思い知らせました。」

これは、国連のアントニオ・グテーレス事務総長の言葉です。同氏はニューヨークで記者団に、間近に迫るCOP27気候サミットの重要性について語りました。最新の科学的証拠が、地球温暖化の加速を示すなかでの開催です。2022年は、観測史上最も暑い年の上位10位に入ることがほぼ確実視されています。2022年は観測史上最も暑い年の上位10位に入ると、米国海洋大気庁は述べています。

今年の気候サミットは、自然、食料、水、産業の脱炭素化、気候変動への適応という5つの主要課題に関する、マルチステークホルダーの取り組みとパートナーシップにとって重要な節目となります。

COPサミットとは?

締約国会議(COP)とは、1992年に策定された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に署名した国々の集まりです。この条約は、温室効果ガス濃度を「気候システムに対する危険な人為的(人間が引き起こす)干渉を防ぐ水準」に安定させるため、各国が協力して行動することを約束しています。それ以来、締約国、すなわち各国はほぼ毎年会合を開いています。

直近の会合であるCOP26は、2021年11月にスコットランドのグラスゴーで開催されました。世界の首脳120人と、約200カ国の代表が集まりました。会合の成果として、グラスゴー気候合意が採択され、2015年のパリ協定の目標である「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃を十分に下回る水準に抑え、1.5℃に抑えるための努力を追求する」ことが再確認されました。

その他の約束には、石炭火力発電の段階的削減が含まれました。これは国連の気候交渉の決定に明記された初めての例です。また、メタン排出の削減、森林破壊と土地劣化の反転、そして開発途上国が気候変動に対処できるよう資金を拠出することでも合意しました。

サミットの閉幕に際し、COP26議長を務めた英国のアロク・シャーマ氏は、次のように述べました。「私たちは今、1.5℃目標を維持できたと、確信を持って言えます。しかし、その脈拍は弱く、約束を守り、コミットメントを迅速な行動に移さなければ、目標は存続できません。」

COP27の目標

COP27は、11月6日から18日まで、エジプト沿岸部の都市シャルム・エル・シェイクで開催されます。毎年、世界の異なる地域の国がCOP議長国を務め、世界の首脳を招集し、優先課題を定めます。「アフリカ全体のCOP」として、エジプトのCOP27議長国は、サミットの主要目標を4つと定めました:

  • 緩和:すべての締約国、とりわけ「率先して模範を示す」立場にある国々に、「大胆かつ即時の行動」を取り、地球温暖化を2℃を十分に下回る水準に抑えるため排出量を削減するよう求めています。

  • 適応:COP27で、気候変動へのレジリエンスを高め、世界で最も脆弱な地域社会を支援するために「極めて必要な進展」を確実に実現すること。

  • 資金:開発途上国を支援するために約束された年間1,000億ドルの拠出を含め、気候資金に関して大きな進展を遂げること。

  • 協力:国連の交渉は合意に基づいて進められるため、合意に達するには「すべてのステークホルダーによる包摂的かつ積極的な参加」が必要です。

エジプトのアブドルファッターハ・エルシーシ大統領は、「この時代の困難や不確実性にもかかわらず、世界が再び一つになり、世界的な気候課題への取り組みを再確認すると信じています」と述べています。「すべての締約国とステークホルダーが、より強い意志と、緩和、適応、気候資金に関するより高い志を持ってシャルム・エル・シェイクに集い、約束の実行と履行における具体的な成功事例を示してくれると確信しています。」

国連気候変動事務局長のサイモン・スティール氏は、COP27は国際社会にとって真価が問われる瞬間だというメッセージをあらためて強調しました。「この30年間、私たちは必要な厳しい選択を先送りしてきました。確かに、いくらかの前進はありました。しかし、指数関数的に深刻化する緊急事態に漸進的な進歩で立ち向かうのは、庭用ホースで山火事を消そうとするようなものです。」

「私たちは全ての費用を負担することをためらってきました。『システム全体の変革』が本当に意味することを受け入れようとしてきませんでした。次の国、次の企業、次の人が必要なことをしてくれると期待しています。しかし、それでは足りません。私たち一人ひとりが公平な分担を果たさなければなりません。それこそが、パリ協定の本質です。」

COP27で注目すべき5つの重点分野

自然

森林破壊を止めて反転させ、食料システムと土地利用システムを変革し、海洋生態系を守らなければ、1.5℃目標を維持することはできません。自然は、人類史上前例のない速度で世界的に失われつつあります。これは動物や植物にとって悪いだけでなく、私たちの経済のまさに土台を損ないます。世界各地の暮らし、生業、健康、食料安全保障も脅かします。

気候変動に関する政府間パネル(IPCCC)は、土地利用部門が世界の温室効果ガス排出量全体の約4分の1を占めると推計しています。同時に、私たちの自然生態系には、大きな未活用の可能性があります。それは、炭素吸収源として、大気中のCO2を陸上の樹木や土壌、海洋のマングローブ、潮汐湿地、海草に炭素として蓄えることです。

COP26では、自然の保護と再生を目指す、前例のないマルチステークホルダー・パートナーシップが形になりました。熱帯雨林同盟の支援のもと、世界最大級の農業関連企業12社が、1.5℃目標に沿って、商品生産に関連する森林破壊を止める野心的なロードマップに取り組むことを約束しました。COP27では、その実施例が明らかになることが期待されています。COP27のネイチャー・パビリオンは、こうしたマルチステークホルダー・パートナーシップの重要な拠点となります。

食料

世界の食料、土地、海洋の利用システムは、現在、世界のGDPの12%超、全雇用の40%超を占めています。ウクライナでの戦争、サプライチェーンの逼迫、エネルギー価格の高騰によって深刻化した食料危機は、農産物価格の急騰を招いています。特に影響を受けているのは、2021年時点で8億2,000万人を超え、飢餓に苦しむ人々です。

気候変動と世界の食料システムは、原因と結果を通じて結びついています。農業・食料システムだけで温室効果ガス排出量の最大3分の1を占め、気候変動は食料生産性に深刻な影響を及ぼし続けます。IPCCの推計では、気候変動によって土地の生産性はすでに21%低下しています。

世界の高まるニーズに応えられる、気候変動に強い食料システムを実現するには、政府、企業、小規模農家の協力が必要です。COP27では、気候変動に強い方法で増大する食料需要を満たすため、必要な解決策をどう拡大するかに特に焦点が当たります。そのためには、革新的な技術的解決策を事業化し、工業型農業より気候変動に強いことの多い、アグロエコロジーの実践を推進する必要があります。フードシステム・パビリオンは、こうしたマルチステークホルダー・パートナーシップの強化において中心的な役割を担います。

水

気候変動により、洪水や干ばつなど水に関わる事象は頻度を増し、深刻化しています。IPCCは、世界の気温が2℃上昇すると30億人が物理的な水不足に直面する可能性があり、アフリカなど気候変動の影響を受けやすい地域で特に深刻な影響が出ると報告しています。さらに、水の安全保障はエジプトのCOP議長国にとって重要な優先課題です。そのため、COP27では政府、企業、イノベーター、その他の主要な関係者の協力を強化することが不可欠です。

持続可能でレジリエントなネットゼロの未来を実現するには、緊急の水問題への解決策が欠かせません。COP27に続く2023年3月には、世界の首脳が国連2023年水会議に集まり、水と開発、気候、健康の相互関連性について議論します。

産業の脱炭素化

グラスゴーで掲げられた高い目標を、新興国で公正かつ公平な方法によりどう実行するかが、シャルム・エル・シェイクでの協議の主要課題となります。世界の東部と南部で前例のない都市化の波が起きるなか、低炭素で気候変動に強い都市の実現に必要な素材は、脱炭素化を進める鍵となる解決策の一部です。

コンクリート、鉄鋼、アルミニウム、化学製品と、それらを運ぶ船舶、航空機、トラックは、現在、温室効果ガス排出量の30%を占めており、その割合は今後増えると予測されています。こうした世界的な部門の移行を進める鍵は、炭素集約型の従来技術と比べて、クリーンな手法や技術のコストを引き下げることです。

政府、企業、投資家、イノベーター間のパートナーシップ強化が欠かせません。時価総額8.5兆ドルを代表する世界最大級の企業55社超と10カ国の政府が、変革をもたらすクリーン技術の拡大に向けて行動しています。ファースト・ムーバーズ・コアリションは、長距離輸送部門と素材部門の脱炭素化に向け、新たなクリーン技術の普及を拡大する、世界を代表する官民パートナーシップです。

気候変動への適応

気候変動による壊滅的な影響は、頻度を増し、深刻化しています。最新のIPCC報告書によると、現在、約33億人が気候変動に対して極めて脆弱な状況下で暮らしています。また、先月パキスタンを襲った壊滅的な洪水により、1,000万人が避難を余儀なくされたと推定されています。気候変動への責任が最も小さく、その影響に対処する資源も最も乏しい、最も脆弱な地域社会は、今後も最前線に立たされ続けます。

こうした課題に立ち向かうには、公的資金やブレンドファイナンスの拡大、新たな大規模なマルチステークホルダー・パートナーシップ、そして気候変動の影響に適応する革新的な解決策への取り組みの強化を含む、世界規模の協調的な対応が必要です。気候変動への適応には明確なビジネス上の合理性があります。2019年の適応に関するグローバル委員会の報告書は、早期警報システム、気候変動に強いインフラ、自然を活用した解決策などの適応策に、2020年から2030年までに世界全体で1.8兆ドルを投資すれば、総額7.1兆ドルの純便益を生み出せる可能性があると示しました。

COP27では、気候変動への適応が協議の中心になると見込まれます。交渉の場では、開発途上国や小島しょ国が、気候変動の影響に対処する資源を欠く国が多いことを引き続き訴えるでしょう。この問題は、多くの小島しょ国が何十年にもわたり繰り返し指摘してきました。また、気候変動への緊急の適応策を実施するため、政府、企業、投資家、都市、地域間のパートナーシップ構築に向けた取り組みも強化されるでしょう。気候変動の影響に対するレジリエンスを築くマルチステークホルダーの取り組みの中心となるのが、レジリエンス・ハブです。

世界経済フォーラムは気候危機にどう取り組んでいるのか?

気候変動への世界的な懸念

世界の成人の半数以上が、気候変動はすでに自分たちの住む地域に深刻な影響を及ぼしていると答え、3分の1は自宅を追われるおそれがあると懸念しています。世界経済フォーラムが委託した新たな世界規模の調査で明らかになりました。10人中7人は、今後10年以内に自国が深刻な影響を受けると予想しています。

世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2022は、地球の健全性が各分野の世界的な専門家やリーダーの懸念を大きく占めていることも示しています。同報告書の調査では、気候変動対策の失敗、異常気象、生物多様性の喪失が、最も深刻な3つのリスクと見なされていることが分かりました。

今日、世界が直面していると見られる最大のリスクの多くは、気候変動に起因しています。Image: 世界経済フォーラム

しかし、COP27を通じて、言葉が意味のある行動に変わることを期待する人は少なくありません。アントニオ・グテーレス氏は、COP27が 気候変動が世界で最も脆弱な国々にもたらす被害の拡大を、各国政府がどれほど深刻に受け止めているかを測る「最重要の試金石」になる

と述べています。「世界は待てません」と同氏は続けます。「私たちは今日の自らの安全と明日の生存を懸けた闘いの最中にいます。」

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