多くの国の気候変動対策への公約が不十分ななか、COP27サミットの重要性はこれまでになく高まっている。
しかし、希望を持てる理由もある。世界経済フォーラムの「アジェンダ」プラットフォームに掲載された次の5本の記事が、それを明らかにしている。
再生可能エネルギーの生産への投資が拡大する一方、より持続可能な解決策を提供するための科学技術の活用も急速に広がっている。
世界の指導者たちは今年11月、エジプトで開かれるCOP27で、地球温暖化に対処するための具体的な措置を講じ、前進する機会を再び得る。これは、気候変動対策に関する国連の年次サミットのなかで、最大かつ最も重要な会合だ。
最近の報告書は、状況がいかに切迫しているかを改めて示している。世界気象機関によると、二酸化炭素やメタンなど、大気中の温室効果ガスは過去最高の水準に達している。さらに国連自身も、世界各国の排出削減への公約は不十分であり、現時点では「1.5℃目標を達成できる信頼性のある道筋が整っていない」と結論づけている。
COP27に希望を持てる理由
今年のサミット、COP27をめぐって警鐘が鳴らされるなかでも、気候危機を和らげるための継続的な取り組みが成果をもたらすという期待は残っている。世界経済フォーラムの「アジェンダ」プラットフォームに寄稿する人々は最近、希望を持てる5つの点を紹介した。
1. クリーンエネルギーの生産が需要増に応える
2022年上半期、再生可能エネルギーが電力需要の増加分をすべて賄った。エネルギー関連シンクタンクのEmberが発表したデータによると、世界の電力需要は389テラワット時増加し、2021年上半期と比べて3%増となった。同じ期間に再生可能エネルギーの発電量は416テラワット時増え、クリーンエネルギー源が需要の107%を賄った。
Emberの報告書「Global Electricity Mid-Year Insights」は、新たな太陽光・風力発電がエネルギー需要のうち、中国で92%、米国で81%、インドで23%を賄ったと推計している。
一方、国際エネルギー機関(IEA)の別の報告書によると、再生可能エネルギー分野の雇用は、現在、エネルギー部門の全雇用の半分以上を占めている。IEAによると、特に太陽光発電や電気自動車技術を扱う大規模な新製造施設が、「クリーンな雇用」の増加を後押ししている。
2. 再生可能エネルギーへの投資が過去最高に
ウクライナ紛争と、それに続く多くの国によるロシア産の石油・ガスへの依存を減らす決定によって、エネルギー価格は急騰した。その一方で、再生可能エネルギー源への投資が拡大している。
IEAによると、クリーンエネルギーへの投資額は2022年に1兆4,000億ドルを超えると予想されている。現在、エネルギー投資全体の伸びのほぼ4分の3を占め、2020年以降、年平均12%のペースで増加している。再生可能エネルギー発電、エネルギー効率の向上、電気自動車への投資が、いずれもこの増加を押し上げている。
しかし、IEAのファティ・ビロル事務局長は、「こうした投資は増加しているものの……化石燃料価格の高騰による消費者への圧力を和らげ、エネルギーシステムの安全性を高め、世界が気候目標の達成に向けた軌道に乗るには、投資をはるかに速いペースで増やす必要がある」と述べている。
3. ネットゼロへの道のりは手の届く範囲にある
ネットゼロの達成は、多くの人が考えるほど法外な費用がかかるものではないと、DNVの「Energy Transition Outlook」ディレクター、スヴェレ・アルヴィクは論じる。彼は、「産業革命以来、エネルギー需要、コスト、排出量はGDPの成長と歩調を合わせて推移してきた」と述べる。しかし、世界の電化が進み、それに伴うエネルギー効率の向上の恩恵を受けるにつれ、経済成長が続く一方で、排出量やコストとともにエネルギー需要の伸びも鈍化すると言う。「この歴史的なデカップリングにより、2050年にエネルギーに費やされるのは世界のGDPのわずか2.1%となり、現在の3.4%から低下する」と付け加える。
再生可能エネルギー設備の追加導入に伴う初期費用の増加、二酸化炭素の回収・除去への巨額投資、化石燃料発電所の早期廃止が必要になるものの、アルヴィクによると、世界がエネルギーに費やすGDP比は現在より大幅に低くなる。気候変動のコストを考慮すれば、その差はさらに大きくなる。気候変動のコストも年々増加するためだ。
4. 自律型農業の時代が到来
食料生産システムは、世界の温室効果ガス排出量の3分の1以上を生み出していると国連の科学者らは述べている。自律型農業は、より少ない労力で、より持続可能な方法により作物の生産量を増やすことを目指す。また、将来の食料供給を確保する鍵となる可能性もある。この分野の市場規模は、2027年までに950億ドルに達すると予測されている。
自動運転トラクターは、世界各地の食料サプライチェーンに影響を及ぼしている農業の人手不足の解消に役立つ可能性がある。ドローンは、農家が作物の生産を監視し、増やすのに役立っている。農家はドローンのデータを使って土壌サンプルを採取し、温度、水分、標高を調べている。種まきには多大な人手が必要だが、種まきロボットなどの技術革新により、農家は時間と費用を節約できる。
5. バイオテクノロジーが持続可能性に貢献
バイオテクノロジーは、世界が直面する気候と持続可能性に関する多くの課題に、強力な解決策をもたらし得ると、ノボ ノルディスク財団の最高経営責任者(CEO)らは述べている。
彼らによると、バイオテクノロジーは食料生産における生物多様性を守ることができ、企業はすでに、化学合成の殺虫剤や化石燃料由来の農薬を生物由来の成分に置き換える取り組みを進めている。発酵タンパク質や微生物を使った植物由来の解決策により、食料システムの変革も進んでいる。一方、建設業界などでは、微生物を使ってバイオセメントを製造し、持続可能性を高めようとしている。
しかし、変革をもたらすバイオソリューションは、市場に投入されるまでに長い承認手続きに直面することが多い。「変化を促すには、グリーン・トランスフォーメーションに貢献するバイオソリューションの承認を迅速化する必要がある。」






