科学者によれば、世界への適応だけでは、気候変動がもたらす壊滅的な影響から私たちを救うことはできません。
また、CO2排出量を劇的に削減するための緊急の行動も必要です。
以下は、気候専門家による10の知見を平易な言葉でまとめたものです。
気候変動の影響に対応するための世界への適応には限界があり、気候の大惨事を回避する望みがあるのなら、私たちの生活様式を根本的に変えるための時間は残りわずかである、と主要な科学者らは警告しています。
エジプトのシャルム・エル・シェイフで開催された COP27 気候変動サミットで発表された、主要な気候科学者による報告書は、気候変動への適応努力の限界を明らかにしています。同報告書は、気候を変化させている排出量を緊急に削減する必要があると指摘しています。
国連サミットのために、Future Earth、Earth League、世界気候研究計画が委託した報告書「10 New Insights in Climate Science」は、世界の気温上昇がもたらす社会的影響に焦点を当てています。
「最新の科学は、極端な気候現象による社会的コストの増大を裏付けています。また、適応の限界を超えるリスクや、取り返しのつかない転換点を越えるリスクから方向転換する緊急の必要性も示しています」と、Earth League の共同議長であるヨハン・ロックストローム教授は述べています。
ロックストローム教授は、パリ協定で定められた世界の気温上昇を1.5℃に抑えられなかった場合の「甚大なコストとリスク」を示す証拠が増えている、と述べました。「成功するためには、前例のない規模での世界的な協力と迅速な行動が必要です」とも付け加えました。
世界経済フォーラムが2021年11月に実施した調査によると、ほぼ10人中7人が、気候科学者の言うことを信頼しています。しかし、20年以内に世界の炭素排出量を削減できると楽観的に考えているのは、半数にとどまります。
気候変動に関する10の重要な事実
今回の報告書「Insights」は、複雑な科学用語を避け、気候変動について誰もが知っておくべき重要な事実を列挙しています。科学者たちは、この知見が世界中の政府や企業に行動を促すことを期待しています。以下は、10の重要な事実です。
1. 気候変動への適応に終わりはないという考えは誤り
「気候変動への適応能力には限界がないわけではありません。世界各地の人々や生態系は、すでに適応の限界に直面しています」と報告書は述べています。大惨事を避けるためには、排出量を削減する積極的な取り組みが不可欠です。
2. 脆弱性のホットスポットは「リスクにさらされている地域」に集中
すでに16億人が暮らす世界の地域は、気候変動の悪影響に最も脆弱であると報告書は述べています。中米、アフリカ、中東、アジアにあるこれらの「ホットスポット」の人口は、2050年までに倍増する見込みです。
3. 気候変動による新たな健康への脅威が迫っている
気候変動によって、世界ではすでに熱関連死の40%が引き起こされています。また、干ばつや洪水によって病気が広がっているほか、人々のメンタルヘルスへの影響も無視できません。動物の健康も脅かされており、山火事によって野生動物の個体群が丸ごと失われることもあります。
4. 気候変動は移住を促す。備えの時が来ている
世界の温暖化が抑制されなければ、激しい熱波、干ばつ、洪水などの極端な気象によって、およそ9,200万人が住み慣れた家を追われる可能性があると推計されています。報告書は、こうした人々を守るために、避難所と避難計画を整備する必要があると述べています。
5. 人間の安全保障には気候の安全保障が必要
科学者によれば、気候変動は人間の対立を悪化させ、暴力につながりかねない「悪循環」を生み出しています。温室効果ガスによる温暖化の脅威を減らすためには、排出量の削減と並行して、食料や水へのアクセスを改善し、世界の緊張を緩和することが極めて重要です。
6. 気候目標の達成には持続可能な土地利用が不可欠
農地の拡大は、気候変動を加速させてきた森林減少の主な原因となってきました。増加する人口を養うためには、農業は食料安全保障に重点を置き、土壌保全などの対策によって持続可能な形で作物の収量を高める必要があります。
7. 民間の持続可能な金融は、実質的な変化をもたらせていない
報告書によれば、持続可能な金融への取り組みは、これまでのところ根本的な経済変革をもたらせていません。その理由として、報告書は、これらの仕組みが資本配分の在り方を変えるのではなく、「主として金融セクターの既存のビジネスモデルに適合するよう設計されている」ためだと付け加えています。
8. 損失と損害 ― 緊急の地球規模の課題
COP27 における主要な議論の一つは、先進国が気候変動への適応にかかる費用について、地球上のそれ以外の国々にどのように補償するかでした。報告書は、損失と損害は今後も増え続けるだけであり、富裕国による協調的な対応が不可欠だと述べています。
9. 効果的な気候行動には包摂的な意思決定が不可欠
報告書は、政治家による従来の中央集権的な意思決定では、気候変動に対する効果的な行動は実現できないと指摘しています。人々の支持を確保し、社会正義を実現するためには、社会がどのように適応していくかを決めるプロセスに、すべての人が関与しなければならないと報告書は述べています。
10. 構造的な障壁と持続不可能な固定化の打破
国内総生産(GDP)の絶え間ない増加によって人間の進歩を測ることは、世界をより多くの温室効果ガス排出へと閉じ込めている、と科学者は指摘しています。代わりに、世界は成功の尺度として人間の幸福に焦点を当てる必要があります。





