COP26:成功か失敗か?気候担当記者の評価

COP26: success or failure
TIME's climate correspondent Justin Worland on whether COP26 was a success or a failure.Image: World Economic Forum / Valeriano Di Domenico
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  • COP26は成功だったのか、それとも失敗だったのか。TIMEの気候担当記者に聞く。

  • ジャスティン・ワーランドは、グラスゴー気候サミットの紆余曲折を取材した。

  • COP26議長は、1.5℃の気温上昇抑制目標は依然として達成可能な範囲内にあるが、「脈拍は弱い」と述べた。

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議は2週間にわたって開催された。その結果、世界各国の全代表団の総意による「グラスゴー気候合意」が採択された。

しかし、この文書と、サミットの傍らで結ばれた数々の合意によって、世界は気候災害の回避に近づいたのだろうか。

ラジオ・ダボスは、会議を取材したTIMEの記者ジャスティン・ワーランドに話を聞いた。まず、インドと中国が土壇場で押し通し、気候合意におけるある表現を弱めた変更について尋ねた。それは、石炭の「段階的廃止」を「段階的削減」とするものだった。閉会セッションでは緊迫した場面を生んだが、これはどれほど重要なことだったのだろうか。

(以下はラジオ・ダボスのインタビューを編集したQ&Aです。全編はこちらでお聴きいただけます(こちら)

口に出せなかったものに名を与える

ジャスティン・ワーランド:これはいくつもの意味で重要な瞬間でした。スイス代表団は、手続き上の重要な疑問を投げかけました。なぜ土壇場になって、インドは文書の内容を形作ることができたのに、ほかの国々には認められなかったのか。これは、この議論を形作る力と権限を実際に持っていたのは誰かという、より大きな批判にもつながると思います。それは大国、主要なプレーヤーでした。そしてもちろん、今年、そしてある意味で今回のCOPの中心的な問いは、石炭を過去のものとし、この非常に汚染度の高い化石燃料をなくすことです。「段階的廃止」という非常に強い表現になりそうでしたが、最終的には「段階的削減」となりました。今回のCOPをめぐるより大きな議論をある程度反映していると思います。前進はしたものの、十分な前進ではなかった。多くの人がそう言うでしょう。

ロビン・ポメロイ:グリーンピースのような活動家団体がこれに失望したのは当然です。全体としても、多くの人が失望しました。一方、グリーンピースのジェニファー・モーガンは、石炭が名指しされたことから、これは画期的な出来事だと述べています。グラスゴーでの画期的な瞬間の一つとして記憶されるかもしれませんね。

ジャスティン・ワーランド:その通りです。気候変動を引き起こす化石燃料の役割と、今回のCOPプロセスでは化石燃料がこれまで一度も直接名指しされてこなかったことを考えると、これはかなり異例です。化石燃料を名指しし、対策を講じていない石炭火力を段階的に削減し、非効率な化石燃料補助金を段階的に廃止する必要があると明言したことは、大きな意味があります。

「口先だけだ」とよく言われます。しかし、パリでの協議を振り返ると、以前は2℃が議論の中心だったところ、脆弱な小国の一部が排出削減目標に1.5℃を盛り込むうえで果たした役割が、状況を一変させました。その時点では分からなかったかもしれませんが、6年後、その働きかけは議論を大きく変えました。ですから、今回化石燃料に言及したことも、今はまだ明らかでない影響をもたらす可能性があると思います。

数字で見る

ロビン・ポメロイ:1.5℃目標とは、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えることです。すでに1.1℃上昇しています。1.5℃を超えれば、かなり壊滅的な影響が生じます。グラスゴーの成果によって、1.5℃目標にどれほど近づくと思いますか。

ジャスティン・ワーランド:さまざまな数字がありますが、COP26の中盤に、調査とモデリングを行う団体のクライメート・アクション・トラッカーは、現在進行中、または実施に向けて動いている政策を踏まえると、気温上昇は約2.7℃に達し、1.5℃を大きく上回ると分析しました。2030年までの公約を考慮すると、その数字は2.4℃まで下がり、近づくものの、まだ大きな隔たりがあります。さらに、長期的な公約を見て推計すると、1.8℃まで下がります。しかし、実際に実施されている政策と、具体的な内容をほとんど伴わない約束との間には大きな隔たりがあります。では、1.8℃と2.7℃の間のどこにいるのでしょうか。現実的には2.7℃に近いと思いますが、正確なところは分かりません。

ロビン・ポメロイ:閉会セッションで会議の議長を務めたアロク・シャルマは、次のように述べました。

「今日、私たちは、1.5℃目標を達成可能な範囲内にとどめたと、確信を持って言えると思います。しかし、その脈拍は弱いのです。」

石炭の話から、グラスゴー合意で取り決められたもう一つの重要な要素、炭素取引のルールに移りましょう。排出量取引のルールについて、グラスゴーでは成果があったのでしょうか。

ジャスティン・ワーランド:私が注目したい大きな点は「二重計上」です。クレジットが生み出された場所、つまりオフセットや大気中からの炭素除去が実際に行われた場所と、それを購入する国の両方で計上されるのを防ぐ仕組みを設けることです。これは大きな懸念の一つでした。各国が、オフセットを自国と購入国のどちらで計上するかを実質的に決められるようにし、難しい調整を何とか実現しました。これが大きな妥協点の一つです。この制度が始まる前に存在したクレジットの一部を繰り越すことについても妥協がありました。環境やビジネスに真剣に取り組む人々が納得できる妥協が数多くありました。

COP26からCOP27へ

ロビン・ポメロイ:グラスゴーで決まったことの一つは、来年また同じことを行うという点です。すべてをやり直すわけではないかもしれませんが、各国は排出削減目標を強化して戻ってくることになっています。これはどういう意味でしょうか。COPは毎年開催されていますが、COP27とは何が違うのでしょう。

ジャスティン・ワーランド:COPは毎年開催されますが、5年ごとにコペンハーゲン、パリ、グラスゴーのような大規模なCOPが開かれる周期になっていました。パリ協定の文言では、各国は5年ごとに新たな、より強化された公約を持ち寄り、排出削減の取り組みを向上させることになっています。グラスゴーで各国が述べたのは、「実際のところ、今年の私たちは大きく遅れています。あと5年も待てません。公約を強化して来年戻らなければなりません」ということです。

つまり各国は戻ってきて、「2030年に向けて、排出削減のために追加でできることはこれです」と示さなければなりません。少なくとも私には、各国が本当に約束を実行するのか、大きな疑問があります。オーストラリアはすでに、「実際のところ、これは私たちにはあまり当てはまりません。十分なことをしています」と述べています。来年、それを実現する勢いを保てるのでしょうか。様子を見ましょう。少なくとも、来年エジプトで開かれるCOPが、各国が具体的な政策を持ち寄るもう一つの重要な機会となるように位置づけられています。

適応と補償

ロビン・ポメロイ:石炭、化石燃料、排出量取引について話しました。排出削減目標を引き上げるため、来年また集まることにも触れました。COP26のグラスゴー合意には、ほかに重要な要素はありますか。

ジャスティン・ワーランド:私が注目したいのは、脆弱な国々の懸念です。こうした国々は「損失と損害」について強い表現を盛り込もうとしました。最も深刻な影響を受けるのだから、その損失と損害に対して何らかの形で補償されるべきだという考え方です。各国は強い表現を求めましたが、先進国は、脆弱な国々が望む形でこの問題に向き合うことを避けようとしました。主な理由は、法的責任を問われる道を開くからです。対話を続けるとの言及はありました。しかし、脆弱な国々はこの問題を手放さないでしょうから、注目すべき分野だと思います。

もう一つは、適応への言及と、開発途上国の適応策に向けた資金を大幅に拡充する方法を見つけることです。2009年、先進国は2020年から2025年まで、開発途上国向けの気候資金として年間1,000億ドルを拠出すると約束しました。その50%は適応に充てられるはずでしたが、実現していません。そのため各国は資金を大幅に拡充する方法を模索しており、2025年以降の適応資金を創設するという文言も盛り込まれています。これは、これまでに見られたものよりかなり踏み込んだ内容です。

ロビン・ポメロイ:グラスゴー合意そのもの以外にも、会議の傍らでほかの合意が結ばれました。特に重要だと思うものはありましたか。

状況を一変させるものは?

ジャスティン・ワーランド:COP26での二国間合意としては、米中合意を挙げたいと思います。重要な点は二つあります。中国がメタン対策に取り組むことと、2020年代の排出削減に向けた対話を設けることです。どちらも重要ですが、最大のポイントは、世界最大の排出国であり、経済大国でもある両国が、ここ数年対立してきたにもかかわらず、「この問題で協力する」と表明したことだと思います。気候変動への対応のために、意見の相違を脇に置こうということです。これは本当に重要な瞬間でした。実際に約束が果たされれば、大きな意味を持ちます。

ほかにも多くの例を挙げられます。たとえば、森林破壊を終わらせる合意は、実効性には乏しいものの、100か国を超える国々が賛同しました。また、2020年から2030年の間に、世界全体のメタン排出量を30%削減する合意もあり、100か国を超える国々が賛同しました。

GFANZ(ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟)は、ネットゼロを実現する方法を見つけると約束しました。そしてもちろん、ファースト・ムーバーズ・コアリションは、クリーンエネルギー技術の普及を促すため、世界経済フォーラムと米国務省の連携から生まれました。企業にその技術の購入を約束してもらい、それによって需要のシグナルを生み出す取り組みです。

COP26は「口先だけ」?

ロビン・ポメロイ:そう考えると、史上最大級の国連会議の一つであるCOP26のような大規模会議は、口先だけのものではないということですね。こうした会議にも、何らかの意義があるのかもしれません。

ジャスティン・ワーランド:「口先だけ」という言葉に込められた気持ちは分かります。こうした会議には役割があるとも思います。大切なのは、何らかの形で説明責任を持たせることです。各国が来年戻ってくると約束したのは素晴らしいことですが、実行するよう厳しく求めなければなりません。金融機関がネットゼロと移行への資金提供を約束したのも素晴らしいことですが、実行を確かめましょう。私にとって、こうした会議には確かな意義があります。約束が実行されるよう、メディアや活動家が取り組む必要があります。ですから、ええ、「口先だけ」ではないと思います。

ロビン・ポメロイ:もっと広い視点から、気候変動について今後何をすべきでしょうか。状況を一変させ、必要な成果を実際に達成するには、何が必要ですか。

ジャスティン・ワーランド:各国が来年のCOPまでに約束を実行しているか、注目されます。「皆で共に取り組まなければならない」という利他的な姿勢から、多国間協力への信頼が新たに高まっています。また、貿易やその他の金融的なインセンティブを使って、各国が他国に強く働きかける方法についても議論が進んでいます。その一例が欧州委員会の炭素国境調整メカニズム(CBAM)です。これは、特定の高炭素産業の一部の製品に国境税を課す仕組みです。排出対策が非常に不十分な国から製品を輸入すれば、追加負担が生じます。欧州はこれを導入しつつあり、米国でも議論が始まっています。英国でも閣僚級の発言がありました。状況を一変させる可能性のある議論です。

ロビン・ポメロイ:数週間後、ここジュネーブで世界貿易機関(WTO)の会合が開かれます。こうした課税措置が、WTOの所管する世界貿易ルールとどう折り合うのか、興味深いところです。私たちはその潜在的な衝突について、エピソードを制作しました。

ジャスティン・ワーランド:WTO事務局長のンゴジ・オコンジョ=イウェアラ博士にこの質問をしたところ、彼女は「適切に設計されていれば、WTOの審査に耐えられない理由は見当たりません」と答えました。貿易弁護士たちの大方の見方も、そういうことのようです。ただし、大きな条件がありますよね。

COP26:成功か失敗か?

ロビン・ポメロイ:一言で言うと、COP26は成功ですか、それとも失敗ですか。

ジャスティン・ワーランド:一言で答えるのは難しいですね。ニュアンスがあります。両方です。国連開発計画のアヒム・シュタイナー総裁にも同じような質問をしたところ、「これほど深刻な状況にあるとき、COPが本当に成功することはあり得ない」といった趣旨の答えでした。私も同じ考えです。前進はしましたが、状況は深刻です。だから、もっと取り組まなければなりません。

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