米国エネルギー省の科学者らは、既存の方法よりも気候に優しい、冷却と加熱の新たな方法を開発しました。
この革新技術は、各国が気候目標を達成する助けとなり得ます。
地球温暖化が進むにつれ、エアコンなどの冷却・冷凍システムへの需要は急増するでしょう。
地球の気温は上昇しており、冷蔵庫やエアコンが暑さを一層強めています。
冷却機器からの直接および間接的な温室効果ガス排出量(人類の安全の確保、食料とワクチンの安定的な保存、エネルギーとデータ供給の維持のために使用される機器によるもの)は、1990年から2021年の間に倍増し、約10億トン(1ギガトン=10億トン)に達したと、国際エネルギー機関(IEA)は冷房に関する報告書で述べています。
この数値は、地球温暖化、都市化、そして途上国における中間層の増加によって、今後さらに増加する見込みです。途上国における中間層の増加が、エアコンや冷蔵庫の需要を押し上げています。
しかし、単純に電源を切ることはできません。国連主導の「Cool Coalition(クール・コアリション)」によると、世界人口の約30%が、年間少なくとも20日間、生命を脅かす気温にさらされており、熱波によって世界で年間12,000人が死亡しています。
“冷却が不足すれば命が失われますが、非効率で環境を汚染する冷却を提供することでも命が失われます”と、同連合は警告しています。
新たな冷却技術
米国エネルギー省バークレー研究所の研究者らは、より気候に優しいとする、冷却と加熱の新たな方法を開発しました。
この技術は、研究者らが「イオノカロリック冷却」と名付けたもので、12月に学術誌『Science』に掲載された論文で解説されています。
「冷媒の現状は未解決の課題です。冷却を行い、効率的に機能し、安全で、かつ環境に害を与えない代替案を成功裏に開発した者はいません」と、本研究を主導した、バークレー研究所の大学院研究助手であり、カリフォルニア大学バークレー校の博士課程学生であるドリュー・リリー氏は述べています。「適切に実現されれば、イオノカロリック・サイクルはこれらすべての目標を達成する可能性があると考えています。」
科学者らによると、仕組みは次のとおりです。「イオノカロリック冷却は、固体の氷が液体の水に変わるなど、物質が相変化する際に、エネルギー(熱)がどのように蓄えられたり放出されたりするかを利用します。物質が融解すると周囲から熱を吸収し、凝固すると熱を放出します。」
冷暖房は、家庭で使用されるエネルギーの半分以上を占めています。バークレー研究所の研究者らは、新技術が、環境に有害な現行の「蒸気圧縮」方式に代わり得ると述べています。
この技術はまた、各国がキガリ改正など、気候変動目標を達成するの助けともなり得ます。同改正では、署名国が冷蔵庫やエアコンに使用されるHFC温室効果ガスの生産と消費を、今後25年間で80%削減することが定められています。
地球を冷やす
イオノカロリック技術は、地球を冷やすための最新技術にすぎません。
その他の取り組みとして、スイスのジュネーブでは、深層湖水を利用して建物を冷却し、エアコンに代えています。電力消費量は80%削減されています。冬は逆の仕組みで、閉ループシステムにヒートポンプを加えることで建物を暖かく保っています。
シンガポールでも同様のシステムが採用されており、冷房のエネルギー需要を推計40%削減することに成功していると、Spectraは報じています。これは、世界で最も暑く湿度の高い都市の一つである同都市国家における24,000戸のアパートの使用エネルギーに相当します。
米国企業SkyCoolは、太陽光パネルに似たパネルを設置しており、それらは建物やバス停の上で太陽放射を反射するフィルム技術でコーティングされています。電気を使わずに人々を涼しく保つことができます。
一方、バークレー研究所の研究者らは、イオノカロリック冷却(および加熱)が、世界に変化をもたらすために必要なすべての条件を満たすことを期待しています。
「私たちが両立させようとしている要素は3つあります。冷媒のGWP(地球温暖化係数)、エネルギー効率、そして機器そのもののコストです」と、本研究の共著者であるラヴィ・プラシャー氏は述べました。「初めての試行から、我々のデータはこれら3つの側面すべてにおいて非常に有望に見えます。」






