低炭素コンクリートを実現するには、グリーン公共調達の取り組みを加速させる必要がある。
政府は生産されるコンクリートの約半分を調達しており、セメントは世界の排出量の約7%を占める。
新たな報告書は、コンクリートと建設の公共調達に取り組む6か国を紹介する。しかし、さらなる取り組みが必要だ。
コンクリートの主要原料であるセメントの需要は、先進国と途上国双方の経済成長に伴う世界的なインフラ・建設ブームを背景に急増している。こうしたプロジェクトの多くは強く求められており、人々の生活の質を高め、何百万人もの雇用を生み出す。しかし、そこには懸念すべき副産物が伴う。セメント産業はおよそ世界のCO₂排出量の7%を生み出している。気候変動目標、なかでも産業革命前と比べた世界の平均気温上昇を1.5°Cに抑える目標は、コンクリート生産の脱炭素化に向けた大胆な行動なしには達成できない。
コンクリート由来の炭素排出に対処する取り組みは、公共部門から始めなければならない。国、地域、地方の政府や機関は、コンクリート販売の40~60%、建設業界の収益の20~30%を占める。全体として、公共部門の調達は世界のGDPの12%を占め、世界の炭素排出量の15%を占める。フォーラムが今年初めに公表した報告書によると、これらの排出を削減すれば、グリーン経済に推定4兆ドルの押し上げ効果をもたらし、新たに約300万人の純雇用を創出するとともに、炭素の社会的コストを大幅に低減できる。しかし、現状の進展では、2050年までのネットゼロ達成に向けた軌道に乗っていないのが実情だ。ネットゼロの実現には、すべての政府、とりわけ最大の排出国が、今すぐ排出削減に向けた大胆かつ即時の措置を講じる必要がある。
低炭素コンクリートの調達モデル
6か国 ――オランダ、スウェーデン、ドイツ、フランス、英国、米国――は、低炭素コンクリート・建設に関する規則やグリーン調達政策の導入を先導している。これらの国々の公共部門と民間部門の建設・調達専門家への聞き取りをもとに、『低炭素コンクリートと建設:グリーン公共調達プログラムの検証』は、低炭素コンクリートへの移行を後押しするために各国が採用したツールと政策を検証する。この報告書を発表したMission Possible Partnership(MPP)は、今後10年間で世界の排出量が最も多い産業のバリューチェーン全体の脱炭素化を大幅に加速させることに注力する、気候変動分野のリーダーたちの連合体だ。報告書は、フォーラムとGlobal Cement and Concrete Associationが主導するConcrete Action for Climate Initiativeが、Boston Consulting Groupと協力して作成した。
これらの国々の取り組みから、低炭素コンクリートと建設に関する2つの側面を持つ青写真が見えてくる(下図参照)。
基盤となるのは、コンクリートをはじめとする建築製品や完成したプロジェクトの炭素排出量を評価するための共通基準だ。通常、コンクリートを含む資材の炭素排出情報と基準値を収集・保存する製品データベースも含まれる。プロジェクト全体についても、同様のデータベースや基準値を整備できる。
調達政策は、コンクリート製品やプロジェクトの炭素情報を開示するための規則を定める。これは基盤整備段階でのデータ収集に不可欠だ。さらに、調達政策によって炭素排出削減目標を設定する必要がある。その目標を達成するため、義務付けやインセンティブを導入すべきだ。

世界的な協力が必要
これらの国々は低炭素コンクリートのプログラム開発を進めてきたが、取り組みは始まったばかりであり、まだ多くのことを実施する必要がある。グリーン調達の取り組みが進むにつれて、継続的に評価・改善し、時間とともに目標を引き上げ、できればパリ協定が掲げる目標に沿わせるべきだ。その実現には、世界中の公共部門と民間部門の関係者が協力しなければならない。「関係するすべての主体の協力、イノベーション、知識共有が不可欠です」と、オランダのインフラ・水管理省に属するRijkswaterstaatのプリンシパル・コンサルタント、Albert Manenschijn氏は述べる。「それにより、一貫性と協調性のあるグリーン公共調達が可能になります。これは、コンクリート産業のネットゼロへの移行を加速させる重要な基盤です。」
さらに、低炭素コンクリートのアプローチを新興国にも定着させる必要がある。新興国は、将来の世界のコンクリート需要の多くを担うことになる。これらの国々ではインフラの急速な拡大が極めて重要であり、経済政策は一般に、気候変動目標の達成よりも、住宅、道路、橋、病院、学校の迅速な建設を重視する。途上国が成長を損なわずに導入できるよう、グリーン公共調達のツールや政策を拡大し、各国の事情に合わせることが重要だ。
政府と民間部門の先駆者
建設プロジェクトの炭素排出削減を目指す有望な国際キャンペーンの一つが、産業の深層脱炭素化イニシアチブ(IDDI)だ。国連工業開発機関(UNIDO)が調整を担うIDDIは、今後3年以内に低炭素鋼材とコンクリートの調達政策を導入し始めることについて、少なくとも10か国からの誓約獲得を目指している。
最終的には、低炭素コンクリートの調達と建設に民間部門が関与することも不可欠となる。公共部門と民間部門の参加を後押しするため、ファースト・ムーバーズ・コアリション(FMC)は企業や政府の購買力を活用し、コンクリートを含む脱炭素化が困難な7つの産業部門の脱炭素化を進めている(現在の政府パートナーは10か国・地域:米国、ドイツ、日本、スウェーデン、デンマーク、シンガポール、英国、インド、イタリア、ノルウェー)。FMCのメンバーは、必要とする工業材料の一部を、ほぼゼロまたはゼロ炭素のソリューションを採用する供給業者から購入することに合意している。
都市のネットゼロ炭素の未来を実現するため、フォーラムはどのような支援をしているのでしょうか?
1.5°C目標への道のりには多くの要素が関わっており、コンクリート由来の炭素排出削減はその一つにすぎない。しかし、この重要な課題に対処する既存の取り組みと、そこから得られた知見は、国々で、また国々の間でグリーン公共調達プログラムを立ち上げ、拡大するためのロードマップの第一歩となることが期待される。




