気候危機:一時的であっても2℃を超えれば、地球上の生物種に恒久的な損害をもたらす

The concept of climate overshoot is the next thing we will need to get to grips with.
The concept of climate overshoot is the next thing we will need to get to grips with.Image: UNSPLASH/Jeremy Bezanger
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  • 緊急の気候対策を講じなければ、排出によって世界の平均気温は、温暖化を1.5℃から2℃の範囲に抑えるというパリ協定の目標を超えると予測されています。

  • 研究モデルによると、一時的なオーバーシュートは、絶滅の波を不可逆的に引き起こし、数万種に長期的な損害を与えることが分かっています。

  • 数十年かけて大気中の温室効果ガスを減らすために、二酸化炭素除去やネガティブエミッション技術に頼るのはリスクが大きすぎます。そうではなく、今すぐ排出量を大幅に削減しなければなりません。

気候変動の歴史は、人々が真実を少しずつ受け入れてきた歴史です。気候変動が現実であり、人間が引き起こしているということに、今も疑問を呈するのはごく少数です。今や大半の人々は、壊滅的な温暖化を抑える取り組みの現実や、解決策と偽りの希望の違いと向き合っています。次に理解していかなければならないのは、気候オーバーシュートという概念です。

緊急の対策を講じなければ、今後数十年にわたり地球は急速に温暖化し続け、世界の平均気温は、温暖化を1.5℃から2℃の範囲に抑えることを目指したパリ協定の目標を超えると予測されています。その結果、今世紀半ばには気温がより高い期間が訪れます。そして、その考え方によれば、新しいもののまだ実証されていない技術や手法によって大気中から温室効果ガスを取り除き、最終的には気温をより安全な水準まで下げられるとされています。

これまで科学者たちは、パリ協定の気温目標を一時的に超えた後、再び下回ることが自然にどのような影響を及ぼすのか、確信を持てずにいました。そこで今回初めて、私たちは研究しました。地球の気温がこうした予防的な上限を超え、その後再び下回ることを許した場合に、海洋と陸上の生物にどのような影響が及ぶかを調べました。言い換えれば、2℃の気温目標を超える過程がどれほど有害かを調査し、到達点だけを見たのではありません。

その結果、一時的な気候オーバーシュートは、絶滅の波を不可逆的に引き起こし、数万種に長期的な損害を与えることが示されました。今後10年間に人類が排出量を大幅に削減せず、代わりに将来の技術で後から排出を除去することに頼れば、世界はこうした事態に直面するでしょう。

気候オーバーシュート:被害は急速に広がり、解消には時間がかかる

私たちの研究では、2040年から2100年までの約60年間、世界の気温が2℃を超える影響を、陸上と海洋に生息する3万種以上についてモデル化しました。繁殖や生存を妨げるおそれのある気温にさらされる種の数と、そのリスクにさらされる期間を調べました。

世界の気候が2℃の目標を超えるこのシナリオでは、排出量がピークに達するのは2040年です。Image: Meyer ほか

気温が再び下がった後も、自然への被害は急速に現れ、解消には長い時間がかかります。世界の気温が2℃を上回る期間がほんの数年でも、地球上で最も重要な生態系が変わる可能性があります。例えば、アマゾン盆地を考えてみましょう。一部の種は、世界の平均気温が安定した後も危険な状況にさらされ続け、2300年になってもリスクが残る種もあります。これは、特に熱帯の種は耐えられる暑さの限界に近い環境で暮らしており、比較的小さな気温変化にも敏感だからです。また、世界の平均気温がいずれ安全な水準に戻っても、地域の気温変化は遅れて起こる可能性があります。

こうした影響は不可逆的となり、熱帯林がサバンナに変わることも考えられます。地球は重要な炭素吸収源を失い、温暖化を進めるガスが大気中にさらに残ることになります。

西太平洋のコーラル・トライアングルは、世界で最も生物種が豊かな海洋生態系の一つであり、多くの造礁サンゴ、ウミガメ、サンゴ礁の魚類、マングローブ林が生息しています。私たちの気候モデルでは、一部の生物群集で、すべて、または大半の種が少なくとも数十年、最長で2世紀にわたって同時に危険な状況にさらされることが示されました。サンゴやマングローブの消失は、何百万人もの人々の食料源を損なうだけでなく、海面上昇や激しさを増す嵐から沿岸の町や村を守る自然の防壁も失わせます。

熱帯のサンゴは耐熱限界に近い環境で生息しており、気候変動の影響を特に受けやすい。Image: Unsplash / Qui Nguyen

帰る場所を失う

2℃を超えることが種の生存に及ぼす影響は、政策立案者に見過ごされてきました。私たちの分析は、気温が再び2℃を下回れば生物が単純に回復すると想定できないことを示しています。3,953種では、全個体群が、進化してきた範囲を外れる気温に60年以上連続してさらされることが分かりました。フィリピンヤマアラシは99年間、マワツメガエルは驚くべきことに157年間さらされます。これほど長期の曝露に耐えることは、どの種にとっても極めて困難です。

数十年かけて大気中の温室効果ガスを減らすために、二酸化炭素除去や、いわゆるネガティブエミッション技術に頼るのは、検討するにもリスクが大きすぎます。二酸化炭素回収・貯留など一部の技術は、まだ必要な規模で機能することが実証されていません。また、バイオエネルギーのように、自然に悪影響を及ぼす手法もあります。バイオエネルギーでは、樹木や作物を育ててから燃やし、発電します。国際的に合意された「安全」な上限を気温が超えるのと同時に広大なプランテーションを展開すれば、さらに暑くなる気候と縮小する自然生息地に、種は追い打ちをかけられるでしょう。

排出量の大幅削減を先延ばしにすれば、世界が2℃を超えることが最善のシナリオとなります。このオーバーシュートは地球上の生命に天文学的な損失をもたらし、ネガティブエミッション技術でも元に戻せません。気温上昇を止める取り組みは、グラフの曲線を変える抽象的な試みではありません。人が住み続けられる地球を守るための闘いです。

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