西欧では近年、地域各国の複数の国政選挙で、ナショナリズムや反移民の態度が問題となってきました。とりわけ、ここ数年にわたり、主にイスラム教徒が暮らす国々から難民が流入した後、その傾向が顕著になっています。しかし、ピュー・リサーチ・センターの分析によると、移民や宗教的少数派に対する肯定的または否定的な見方は、西欧でも国によって異なります。
こうした態度がどの程度広がっているかを詳しく調べるため、同センターは、ナショナリスト、反移民、反宗教的少数派(NIM)感情の強さを測る尺度を作成しました。NIM尺度は、22の調査質問への回答を組み合わせたもので、イスラム教徒、ユダヤ人、移民に対する見方や移民政策など、幅広い問題を対象としています。
回答者が、自国への移民を減らすべきだと答えた場合、イスラム教徒やユダヤ人と隣人または親族になることに抵抗があると答えた場合、特定の地域出身の移民は正直でも勤勉でもないと答えた場合、イスラム教は自国の文化や価値観と根本的に相いれないと答えた場合、自国で生まれたことが「真のフランス人」「真のドイツ人」などであるために重要だと答えた場合、また関連する他のさまざまな考えを表明した場合、得点は高くなります。得点が高いほど、調査中にナショナリスト、反移民、反宗教的少数派の感情を表明した可能性が高いことを示します。この尺度の得点は0から10までです。
調査対象となったどの国でも、尺度の得点が5を超えた成人は比較的少数です。ただし、国による差はかなりあります。スウェーデンでは、得点が5を超えた人は調査対象者のわずか8%で、全対象国の中で最も低い割合でした。一方、イタリアでは38%に上り、最も高い割合でした。ほとんどの国では、得点が5.01以上の人の割合は15%から25%の間でした。たとえば、ノルウェーとフランスでは、いずれも回答者の19%が5.01以上でした。
NIM尺度を使うことで、年齢、政治的イデオロギー、宗教への帰属意識などの要因が、こうした態度と関連しているかどうかも調べられます。分析から、次のことが分かりました。
- 自らを「政治的右派」と位置づける人は、「政治的左派」と位置づける人よりも、ナショナリスト、反移民、反宗教的少数派の態度を測る尺度で高い得点を取る傾向があります。調査対象となったほとんどの国で、政治的右派を自認する人の中央値は、政治的左派を自認する人より少なくとも1.5ポイント高くなっています。たとえばオーストリアでは、NIM得点の中央値は全体で3.3ですが、政治的右派を自認する人では6.2、政治的左派を自認する人では2.3です。(こちらをクリックすると、政治的イデオロギーの分類方法に関する詳しい分析をご覧いただけます。)
- 調査対象となったほとんどの国で、キリスト教徒を自認する人の得点中央値は、宗教に所属していない回答者の中央値より少なくとも1ポイント高くなっています。差が最も大きいのはデンマーク(キリスト教徒の中央値が1.9ポイント高い)、ドイツ(1.8ポイント)、フランス(1.7ポイント)、イタリア(1.7ポイント)です。たとえばイタリアでは、キリスト教徒の得点中央値は4.5で、宗教に所属していない成人では2.8です。
- イスラム教徒を個人的に知っていることは、NIM得点の低さと関連しています。ユダヤ人を個人的に知っている人にも、程度は小さいものの同じ傾向が見られます。ただし、今日の欧州では、ユダヤ人よりイスラム教徒と知り合いだと答える人の方が大幅に多くなっています。
- 調査対象となったすべての国で、若年成人のNIM尺度の得点中央値は、高齢者より低くなっています。たとえばイタリアでは、35歳未満の成人のNIM得点中央値は3.3で、年長のイタリア人では4.4です。またデンマークでは、若年成人のNIM得点中央値は1.6で、年長のデンマーク人では3.3です。
若年層はNIM得点が低い傾向にありますが、統計分析によると、西欧全体では、これは年齢よりも宗教やイスラム教徒との面識といった要因によるところが大きいようです。たとえば、西欧の若年層は、イスラム教徒を個人的に知っている、また宗教に所属していないと答える割合が高く、どちらの要因もNIM得点の低さと密接に関連しています。




