インドで起業家になるには、とても刺激的な時代です。ほんの数か月前、ナレンドラ・モディ首相が世界起業家精神サミットを立ち上げた後、女性起業家を支援する20億ドルの国家基金が設立されました。
これは女性に貸し付けるためのお金ではありません。女性が運転資金を得て事業を成長させるために必要な支援体制を整えるためのお金です。比較的最近始まった金融包摂の国家的な取り組みに続くもので、今では国内のほぼすべての世帯が少なくとも1つの銀行口座を持っています。その数は約3億口座です。
ほかにも、いくつもの国家的な取り組みが進行中です。農村部のインドをデジタル社会に取り込むための全国的なデジタルリテラシー向上策は、世界最大規模です。また、国内製造業の強化に重点を置く「メイク・イン・インディア」と、外国直接投資の誘致に重点を置く「インベスト・イン・インディア」があります。
20年前にマン・デシ銀行を設立した当時、貧しい女性たちにはお金を預ける場所がありませんでした。銀行はどこも預金を受け入れてくれませんでした。彼女たちにサービスを提供するにはコストがかかりすぎたのです。私たちはインドで農村部の女性を対象とする初の銀行でした。今では、国内各地にある多くの女性向け銀行の一つです。
インドが起業を支援する用意が本当にできているかを判断するには、現場で農村部の女性たちと話すのが最善だと私は考えます。彼女たちは事業を成長させられているでしょうか。未来をどう見ているでしょうか。
数日前、小規模な事業を営む女性たちと話をしました。高校を卒業する前に結婚したシーマ・ガウリさんは、小柄ながら話し始めると迫力のある女性です。彼女は、主婦が日用品を収納するのに役立つ道具の製造を始めたことに、とてもわくわくしていると話してくれました。
マン・デシ銀行から小規模事業向け融資を受けて、彼女は事業を立ち上げました。事業は順調に進み、毎日さまざまな村の週市を訪れ、商品を販売しながら顧客について調べられるよう、小型のバンを購入しました。女性を6人ほど雇用し、アイデアが次々と湧いています。事業を拡大するには、さらに大幅に大きな融資も必要です。
話をした女性たちは皆、事業を次の段階へ進めたいと意欲的でした。興味深いのは、効率を高め、ついでに収入も得ようと、デジタル技術やキャッシュレス技術を積極的に取り入れようとしていることです。
ある才気あふれる若い女性は、政府のアプリを使って直接送金する方法を、自助グループの女性たちに教え始めたと話してくれました。あっという間に、村の何百人もの女性を指導しました。
7年生を終えたばかりの若い女性にも話を聞きました。彼女は現在、獣医補助員として働いています。ヤギの人工授精の専門家で、デジタル技術を使ってデータベースを作成・管理し、村に根強く残るさまざまなカーストやジェンダーに基づく序列にも果敢に挑んでいました。

インドは昔から起業家の国でした。そうならざるを得なかったのです。しかし、これまでほとんどの小規模事業者は、信用を得るためにインフォーマル経済に頼ってきました。正規の金融機関や政府機関が、インドに必要な大規模な雇用増加のかなりの部分は起業を育むことで実現すると認識し、この状況は変わりつつあります。
「ムドラ」や「スタンドアップ・インディア」など、社会的に不利な立場にある人々を対象とする銀行の再融資制度があります。情報や技術へのアクセスが広がるにつれて、現場からの事業融資の需要も高まっています。
実際、貧しい農村部の女性たちが今、マン・デシ銀行にリアルタイムで自宅訪問型のモバイルバンキングを求めているので、私はこの変化を毎日目にしています。こうしたサービスは、彼女たちがデジタル上の利用履歴を築く助けとなり、その履歴が信用力を示し、高めることにつながります。
インド国立証券取引所には、中小企業向けの専用プラットフォームがあります。設立からまだ6年足らずです。ほんの数週間前、商務大臣は、国の経済成長を育むうえでこのプラットフォームが果たし得る重要な役割に、特に言及しました。
近い将来、同様の仕組みを零細企業向けに設け、これまでにない形でインパクト投資や資金調達の道を開くことは、十分可能です。実際、世界では、社会的企業の参入や革新を促すために慈善資金を振り向けるソーシャルボンドへの関心が高まっています。
インドの政策環境は機が熟しています。短期間で何百万人もの人々を対象にプログラムを実施する能力は十分に確立されており、現場には大きな熱意があります。
さらに今後10年以内に、インドの中間層は5億人を超えるまでに膨らむでしょう。巨大な市場です。私が所属するマン・デシは最近、支援している女性90人を連れてムンバイで開催した展示会に参加し、彼女たちの商品を展示しました。展示会にはわずか4日間で3万人を超える人が訪れました。
女性起業家を支援する国家基金によって、特に村や小さな町、都市周辺地域にワンストップ型のイノベーション拠点が設けられることを期待しています。女性たちが、マイクロファイナンスを大きく上回る運転資金融資を利用できること、事業の効率化につながる最新技術(デジタル技術でもハードウェアでも)の情報を得られること、事業拡大に向けた個別対応のサービスを受けられること、債務相談や借り換えの仕組みを利用できること、そして、より大きく、より良質で、新しい市場にアクセスできることを願っています。活用されるのを待っている巨大なビジネスチャンスが、そこにあります。私が話しているのは、貧困から抜け出すことだけでなく、繁栄へ向かうことです。
分断された世界で共通の未来を築くために投資するなら、シーマさんのような女性を支える環境をつくらなければなりません。国内各地で、零細起業家向けの最新小型機械を紹介する何百もの見本市を巡る何千人もの女性たちを思い描いています。地元の物流会社とつながり、正規の金融機関やインパクト投資家から声をかけられ、個別対応のマーケティングやデジタルソフトウェアを豊富な選択肢から選ぶ女性たちです。
彼女に「教育」や「指導」は必要ありません。村の市から別の村の市へどうやって移動しているのか尋ねると、彼女は笑って「グーグル!」と答えました。マスワドでも、ニューヨークでも、ヨハネスブルクでも、女性たちに必要なのは、願いをかなえる機会だけです。
先ほど述べたように、起業家になるには刺激的な時代です。そして、インド農村部の女性が零細起業家になるには、とても刺激的な時代です。



